小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

まるちゃん、さよなら

ホント、ニポン人って気持ち悪いと最近つくづく思うのである。

あ、誤解されるといけないので最初にはっきり断っておくが、私が今ここで気持ち悪がっているのは 「ニポン人」 である。 皆さんや私が思い浮かべる 「日本人」 や 「にっぽん人」 と一致している保証はない (というか、たぶん一致してない) ので、勝手に怒り出さぬように。 右や左のややこしい政治思想をお持ちの方々にケンカを売る気はまったくない。 「ニポン人」 という語感が受け容れられない方は、こんな記事を読む必要ありませんので、「真の日本人とは・・」 とか 「本当の意味での日本人ならば ・・」 とかいった意味不明な深遠な言葉を代わりに使った議論をお仲間とお楽しみください。

 

皆さんご存知のとおり、先週の土曜日、大坂なおみさんが全豪オープンで優勝したのだが、NHK、何を思ったか急に夜の 7:30 に緊急特番を始めたのである。

「う、うわぁ! 大坂選手が優勝ですぅ! 北野たけしの通常番組なんかやってる場合ではありません! 緊急特番ですぅ!」 だと。 

頭おかしいよな、NHK。いろんな意味で。

大坂さんが優勝してなんでびっくりしてるんだよ。 大坂さんって、どこからどうみても、現在の世界最強 (を争う一人) だろうが。 「勝ってびっくり!」 なわけないだろうが。

ニポン人って、なんというか、心の底から負け犬根性が染みついているのな。 頭も悪いし身体も弱いから、何をやってもどうせ勝てっこないっていうのがどんな時でも話の前提 (笑)。

昔、飯田覚士というボクシングの世界チャンピオンがいたのだが、そのタイトル防衛戦で実況中継アナが、

「あーっ! チャンピオン、いけませんっ! 正面から挑戦者と打ち合ってはいけませんっ!」 

と絶叫するのを聴いて、家人と二人で爆笑したことを二十年ぶりに思い出したぞ。 どんなチャンピオンやねん、それ。

まさか NHK の連中って、大坂さんもその手のニポン人チャンピオンと同じレベルだと思ってるのかね? 「ニポン人はどうせ勝てないのだから、ゴールデンの通常放送枠に入れるのやめておこう」 ってなもんか。 でも、それってすべての関係者に相当に失礼なことをしてるぞ。 

「優勝した 『から』 緊急放送する」 って、他にもいろんな意味でみっともないのである。 どうせ放送するのなら、最初からその時間に放送予定に入れておけよ。 NHK ってホント情けない。 

 

*****

 

ニポン人って、頭も身体も弱いくせに (いや、正確には 「弱いからこそ」 か) 勝ち負けに異様にこだわるのが、とても気持ち悪い。 前にも書いたが(これね → ついでにベーコンもくれよ - 小野俊介 サル的日記)、ニポン人って今でも、明治維新以来の軍事教練みたいなので勝ち負けをつけるのが好きで好きで仕方ないのな。

ニポン人って、子供のときに、学校の運動会で訳も分からず紅組や白組に放り込まれ、勝ち負けへの執着を無理やり教えこまれる。 大人になったら、今度は政党や政治家や社内政治 (出世) の勝ち負けに命をかける。 ニポンの学校教育の成果がしっかり出てます。 で、その手のバカたちが一致団結してこだわるのが 「ニポン」 の勝ち負けである。  

聴くところによると、ニポンでは、ニポン代表チームは、ニポン人一丸となって応援しなきゃいかんらしい。 サムライジャパンだの、なでしこジャパンだの、妙な名前がついているやつ。 ニポンのチームじゃなくても、ニポン人がそこで活躍すればニポンの勝ちという解釈らしいね。 米国大リーグでニポン人大リーガーが、NBAでニポン人が、出場して活躍すればそれでニポンの勝ちなんでしょ? ニュースでそう言ってたもん。 

スポーツだけじゃない。 ノーベル賞をもらった人の国籍がニポンならニポンの勝ちで、ニポン以外なら負けである。 でも何年か前、「ニポンが勝った!」 と総理大臣を筆頭に大喜びしてたら、受賞者の中村修二先生に 「おまいら、勝手にオレを大嫌いなニポン人扱いすんな! オレはアメリカ人だ!」 って盛大に怒られたこともあったっけ (笑)

ニポン人がアメリカの大学で教授になって、自分の研究室を持ったときも、ニポンの勝ち。 その手のおっさんたちが凱旋帰国するとニポン中のメディアが歓声をあげる。

飛行機が墜落したときには、ニポン人が犠牲者に含まれていなければ、ニポンの勝ちという扱いになる。 テロリストがどこかの国で人質を取ったときにも、その中に日本人がいなければニポンの勝ち。 どこかの国で大地震が起きたときには、そこでニポン人被害者がいなければニポンの勝ち。

・・・ あー、書いてて気分が悪くなってきた。 あ、でも、もしニポン人がこれを読んでいたら、私とは逆の意味で気分が悪いんだろうね。 お気の毒に。

 

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で、コロナワクチン・治療薬である。 ニポン産ワクチン・治療薬の出遅れやニポンでのワクチン接種の遅れは、ニポン人にとっては「ニポンの惨敗」 らしいね。 「ニポンとしてなんとかしないといけない!」と、鼻息荒く、政治家やお役人がまたもやうごめき始めましたね。 「ニポンの創薬力の強化育成」 だの、「新たな医薬品産業ビジョン」だのと大騒ぎを開始しておる。

こいつら、完全にビョーキである。 遺伝子レベルでバカが組み込まれたバカである。

 

よーく耳かっぽじって聴けよ。 昭和、平成、令和とこれまで何十年間も、あんたらニポンの政治家・役人たちが、それと同じ政策をずーっとずーっとやってきたの。 「ニポンの勝利を目指して、ニポンの医薬品産業 (内資系企業) をグローバル勝者にしよう!」 などと、WTO の理想もクソもないようなこと・満州事変の頃と同じようなことを (笑) 言い続けてきたのよ。

にもかかわらず、その帰結が今の惨状なのである (注: ニポン人の目には惨状なんだろ? 私の目には 「当然の帰結」 にしか見えんが)。 あんたらと同じニポン人の、あんたらと同じ程度のおツムを持った政治家・役人がずーっとやり続けてきたことが、予想どおり、今の結果を生んでいるのである。 それをまた繰り返して、どうして今度は勝てるのよ? どうして勝てると思えるの? あんたらのやってること、何もかもが相当におかしいことに気付いてますか?

  

私はニポン人ではないので、ニポンに肩入れするような提案をする義理はない。 ニポン人の滑稽劇を大笑いして見てればそれでいいのだが、それではあまりに情がない。 あえて一言申し上げるとするならば、あなたたちが何十年も懲りもせずに掲げ続けている 「ニポンが勝つ」 っていう目標自体がとてつもなく変 であることに、あなたたちニポン人自身がそろそろ気付くべきなんじゃないかと思います。

勝ち負け以前の問題として、あなたたちの言う 「ニポン」 ってのがまるで意味不明なのである。 ぼんやりしてて、歪んでいて、形がない。 その 「ニポン」 ってやつ、モゾモゾと気持ち悪く蠢 (うごめ) いてるよ。 ありゃ、よく見ると 「ニポン」 って、あんたらニポン人を喰ってるぞ。 そうか、「ニポン」 のエサはニポン人なのね。 あんたら、ずっと前からそれに気付いているのに、黙ってるんだ。

 

ちなみに、世界のあらゆるところでゼニを稼いでメシを食ってるいわゆるグローバル企業 (ニューヨークやロンドンやバーゼルにいる top brass の方々) は、そんなニポン人の生態を完全に理解してますよね。 だから、たとえば国際機関 (WHOなど) でもICHでも、ニポン人は名誉白人・名誉支配層扱いにしておけば OK。 ニポン人を 「ニポンが勝った」 気分にさせてさえいれば、後はどんだけニポン人から搾取しようと思うがままである。 ワクチンなんかは当然後回しで OK。

 ニポン人社長がいるニポン企業だって、グローバル企業と本質的には同じである。 先日テレビを見てたら、 「ニポン人を救うのがニポン企業たるわが社の使命です。 ニポンの national security のためにワクチン開発頑張ります!」 などと胸を張り、ニポン人を喜ばせてるニポン人社長がいたが、それってもう根本的にダメな道筋・隘路 (あいろ) に陥っていることに気付いているのだろうか。(注 1) 社長さんのセリフって、北朝鮮のミサイル開発者のセリフとそっくりだよ。 満州事変の頃の国策企業の人たちのセリフとも似てる。 ニポン人はもはや 「勝ち」 と 「負け」 の区別すらつかなくなったのですね。 

かわいそうに。

(注 1) もしこの社長さんが、絶望的な状況に気づいてるのに、当面ニポン社会で甘い汁吸うためにニポンびいきを熱演してるのだとしたら、それはそれで、先の戦争でニポンをほとんど滅ぼした戦争指導者や財閥のヒトたちと同じ臭いがする系列のヒトである。

 

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養老先生のところのニャンコのまるが死んでしまった。 身内でもなんでもないのに、こんなに悲しいのはなぜだろう。

まるの好きだったお庭の昼寝場所に最期のまるを寝かせてやって、そのそばにポインセチアの鉢を置いた先生の奥さん。 出張先から帰ってきて、まるの亡き骸を見下ろしながら 「なんでここにポインセチアがあるの?」 と尋ねる養老先生。 「もうすぐクリスマスだから」 と奥さんは答え、養老先生は 「あ、そう」 とうなずく。

このやりとりに、涙が止まらなくなったサル的なヒト。

NHK はこんなに素晴らしい番組も作れるのですね。 今日の記事ではむやみにいぢめてしまってすまんかった。 ごめんなさい。

 

www6.nhk.or.jp

 

じゃあ、またね。

ワクチンはまだまだ手に入らぬが、皆さん、風邪ひかないようにね。

 

学食とともに生きる

衝撃的な新事実を発見してしまったのである。 この衝撃はゲーデル数を用いた不完全性定理の証明法を知ったときよりも大きいかもしれん。 ここに暴露していいものか迷っているのだが、この事実のパブリックヘルス的影響の大きさに鑑みると、黙っているわけにはいかん。 一人の学徒としてこっそり報告する。

コーヒーのドリップバッグというやつがありますね。 挽いた豆がフィルターの中に入れてあって、お湯を上から注ぐだけ、ってやつ。 でね、コーヒー好きなサル的なヒトは、昔から語られるコーヒー野郎の蘊蓄 (うんちく) に従い、「まず熱湯をトポトポと少し注ぎ豆を蒸らし、それから時間をかけて丁寧に少しずつお湯を注ぐ」 なんてことをやっていた。 「うーむ、この深い香りとコクはこのサル的なヒトにしか出せまいて。 ふふふ」 などと悦に入っておったのである。

ところが、最近気づいたのだ。 自分がこだわりのやり方で淹れる一杯よりも、家人やうちの研究室の秘書のおねいさんたちがぞんざいに淹れる一杯の方がなぜか旨いことに。

皆さんご想像のとおり、嫁さんや秘書さんたちは、コーヒーにも、むろん私にも、特段深い思い入れはないのである。 だからコーヒーの淹れ方もテキトー効率的である。 「もう。 この忙しい時に、あんた一人のんびりコーヒーだなんて、いい御身分よね」 などと心の中で毒づきつつ、沸いたお湯をぞんざいに超高速でドリップバッグに注ぎ、3秒くらいで全工程が終了する。 ホント、びっくりするくらい雑である速い。 高田延彦の光速タップ並みである。 そうすると、あら不思議、中年のおっさんがネチネチと蘊蓄語りながら時間をたっぷりかけて淹れるよりもずっと美味しいコーヒーが出来上がるのである。 おまいらも試しにやってみ。  

これってたぶん、安いドリップバッグはぞんざいな淹れ方の方が雑味や苦みが出ないような商品になっているからだろうね。 コーヒーに詳しい人、教えてください。(注 1)

(注 1) ・・・ などといい加減なことを書いたら、秘書のおねいさんから早速クレームが入ってしまった。 「失礼な! アタシはちょと豆を蒸らしてます!」 とのことである。すみません。 ちょと、ね。

 

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というわけで、皆さんお元気?

だいぶ更新してなくてすみませんね。 私のことを毛嫌いしている連中は 「あいつ、死んだんじゃねぇか?」 と喜んだかもしれんが、ぬか喜びです。 

数日前、古くからの戦友 (誰かにおもねったり忖度したりしないで堂々と権力者に立ち向かうから、四六時中炎上しているあの有名なセンセイ) が tweet してくださったおかげで、今一時的に読者数がふだんの10倍くらいになっているのである。

が、古くからの読者の皆さん、安心してください。 その戦友と同様、私も頑固者である。 読者確保のため、新たな読者に媚びてブログのスタイルや主義主張を変えるサル的なヒトではない。

戦友であるその医師の twitter を経由して本ブログに来る一見さんには、コロナ対策やワクチン承認の件などの論争で頭がキーッとなりがちな、短気で理屈っぽいおっさん・にーちゃんが多い気がする。 医者とか大学教授とか研究者とか役人とか、その類のいばりん坊系の人種 (笑)。 そういう人たちって、かわいそうなことに、もののあわれとか情趣とかを楽しむ心の余裕がないので、「いい加減に淹れた感じのコーヒーの方がなぜかうまいんだよね」 などとダラダラと書かれた情緒あふれる日々のよしなしごとなど読みもしないし、「ふふふ。 我が家も一緒だ」 などと窓の外を見てやさしく微笑んだりもしないのだ。 というか、その手の連中って妙な方向に進化しすぎて 140文字を超える文章が読めないって聞いたこともある。 

だから、あえて今回の記事は、いつも以上にダラダラと、情感たっぷりに、仕事(新薬開発やら薬効評価やら) 以外のことだけを書くことにします。 古くからの読者はそれが好きみたいだし、一見さんたちもくだらん文章に触れることで人の心とやさしさを取り戻せるかもしれんからな。

さて何日で読者数がもともとのレベルに戻るかが楽しみである ・・・ お、もうすでに相当に減ってる (笑)

 

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ここ数か月ずっと、生協食堂の天丼が食べたくて仕方なかったのである。 が、お昼時にはいつも長い列ができ、列に並ぶ勇気が出なかったのだが、ついに昨日、誰も並んでいない状況に出くわした。 やっとありつけましたよ。 野菜天丼。 でもエビ天もちゃんと一尾ついておる。 お味噌汁とセットで 604円。 う、ちょっと身震いするような金額だ。 ワンコイン以上の昼飯を食うことは年に数回しかないサル的なヒト。

期待に震えながら食べ始める。 旨い。 旨くてじんわり涙が出る。 ちょっと揚げ過ぎでプラスチックっぽい気もするが、なーに、コロナ対策と思えばむしろありがたかろう。 僕らのような貧乏人には、このくらい歯ごたえがある方がモノを食った気分になるのでいいのである。 生協さん、いつもありがとう。

東大生協、最近になってやっと 「おまえら、食堂でペチャクチャしゃべるな」 の実効的な対策をするようになったのである。 これまで何度も書いたとおり (これ → 顔をこっちに固定したまま大声で話さない - 小野俊介 サル的日記 とか、これ → 自分、不器用ですから ・・・ - 小野俊介 サル的日記 とか)、大学生ってまだ子供で頭が成熟してないので 「黙れ」 と言ってもなかなか黙らないのだ。

数か月前から食堂入り口に 「学食では会話はご遠慮ください」 という看板が立ててはあったのだが、大学生はそんなもの見ないのよ。 子供って注意力散漫なのだから。 数週間前から 「食事中は会話しないで」 と音声で15分に1回くらい館内アナウンスを始めたが、大学生って記憶力がまだ未成熟 (ニワトリ並み) なので、アナウンスの 30秒後にはまた会話を始めてしまう。

何度も言うが、学食は貧乏人の最後の砦である。 万一学食でクラスターが発生し、営業停止にでもなったら、貧乏人のお昼の幸せのすべてが終わってしまうのである。

頭上から唾液が飛び交う状況にイライラして、ご意見募集コーナーに何度も 「あのね、生協さん、大学生って頭がまだ不自由なんだから、そんなやり方じゃダメなのよ。 全ての席のパーティションに、大きく 「黙れ」 って掲示を貼って、メシ食ってる間中ずっと見えるようにしとかないと、幼い子供には伝わらないの!」 と投稿してたのである。 そしたら、同じような投稿が他にもあったらしく、ようやく今日(1/28)になって全部のテーブルに 「おまいら、食事中は大口開けてしゃべるな。 な。 とにかく黙れ」 という掲示 (注 2) が貼られたのであった。 今日の食堂はこれまでになく静かでした。

(注 2) ホントははっきりこう書いて欲しいところだが、実際の掲示はもっとやさしく穏当である。 あ、あとね、生協さん、警告が貼ってない席が一部にあるので、貼った方がいいですよ。 いや、偏執狂的なお願いをしているわけではない。 ペチャクチャやりたい子供たちは、警告が貼ってないその席を無意識に (あるいは意識的に) 「見つけて・選んで」 座るからです。 これまで様々な学生と接してきた経験上。

 

安心な生協食堂がやっと実現。 あー、ここに至るまでホント長かった。

皆さんお気づきだと思うが、これって、ニポン政府のコロナ対応となんか似てるよね。 国会でお上のトップが 「私自身は精いっぱい、コロナ対応に取り組んできたんだから、れんぽー、むやみにオレをいじめるなぁ! ムッキー!」 と逆上してましたね。 まるで小学生 (笑)。 あなたがあなたなりに精一杯やってきたことはさほど疑ってない。 国民は 「あなたの 『やり方』、下手くそ過ぎないか?」 って怒ってるのである。

生協さんも真剣に対策を考えてくれている。 そこはまったく疑ってません (疑ってないどころか、感謝してます)。 だけど残念ながら、対策が斜め上45度だったり、後手後手だったりしてたってこと。(注 3)

(注 3) むろん生協にとっては学生はお客様だから、むやみに厳しいことを命じてはいけないことも理解します。 いろんな二律背反を考えながら少しずつ厳しい対策を採ってきたことはむしろ当然かもしれない。

 

でもね、いろいろ書いたが (失礼しました ・・)、サル的なヒトは学食・生協の超絶的な応援団である。 なぜって、私の身体そして知恵の 87% くらいは生協の商品でできているのだから。 身体は生協食堂と購買部のお菓子で、知恵は生協書籍部(本屋さん)で、日々培われておる。

コロナで商売厳しいが、がんばれ、生協さん! 負けるな、生協さん! 精一杯応援してます。

 

*****

 

というわけで、今回はこの辺で。 コロナで暗い気分になりそうなら、元気にトトロの歌を歌いながらお散歩しよう。

また卒業の季節が来るのだなぁ。 かわいそうな大学生活を送らざるを得なかった学生さんたちにもその季節はやって来る。 みんな、大変だったね。 なんだか涙が。

 


ハイ・ファイ・セット「最後の春休み」

それはチェアリングなのだろうか

アメリカ、ボストンのニュース見てたら、見慣れた CVS という薬局チェーン店で高齢者がワクチンの注射を受けている。 「ほう、アメリカでは薬局まで看護師さんが出向いてくれるのか」 と思ってたら、高齢者にワクチンをお注射してるのは薬剤師さんなのね。 研修受けて認証を受ければ、薬剤師もワクチン接種できる。 合理的。

で、ニポン人がこういうニュースを見ると、「ほれ、薬剤師や看護師にもっと医療行為をさせろ」 派と 「医療行為はお医者さんの仕事だ」 派がまたグチグチとケンカ始めるのな。 無駄とは言わんが、割とどーでもいいケンカである。 国民や患者が死にそうになっているこんなときに縄張り争いのケンカ始めるなよ。 見苦しいからな。

ところで、コロナ禍で医療の専門家連中が 「オレの言うことこそ正しいのだ! オレの言うことを聞け!」 とキーキー叫び声を上げる中、妙におとなしい一群がいますね。 そう、医療経済学や HTA(Health Technology Assessment) の専門家たち。

こんな時こそ、その手の専門家が人々を煙に巻く説得するために使っている仰々しい理屈、たとえば、

「多くの先進国で命の値段を 500万円/1年間 としてます。 つまり Go-To 事業は、○○人までの犠牲であれば正当化されます」

だの

功利主義に基づく健康最大化の立場からは、副作用で死にそうになる人が数人出たとしても、ワクチン接種は正当化されます」

だのといったことを、もっと大声でメディアで主張すればいいのに。 むろん 火だるまになる だろうけどな。(注 1)  でもそれで本望だよね。 え、ちがうの?

(注 1) いや、すべての人たちから叱られるわけでもない。 テレ朝のモーニングショーの辛口コメンテーター玉川さんや池田信夫さんあたりは褒めてくれるから安心しろ(笑)。 私も 「そういう考え方が医療経済学では幅を利かせています」 と解説してあげる。 人として応援するかどうかは別だが。

 

 学者としてそうした「学問的な信念」 を本気で持っているのなら、火だるまになろうがなるまいが言うことは言うはずだよね。 というか、学者の本性として、言いたくて仕方がないはずだよね。 サル的なヒトなんて、「薬が効く」 という文の意味不明さ (有効性評価をめぐる意味論モデルの欠如) や「承認審査は神事」(意思決定論的な大穴) を深遠で楽しい学問的問いだと心の底から思ってます。 なので、相手が学者だろうとメディアだろうと政治家だろうとお役人だろうと、誰彼構わずに主張しまくり、そして、火だるまになっています。 だけど、火だるまになっても全然つらくないぞ。 むしろ本望。

ニポンの医療経済学者連中も、堂々と 「日本政府のこれまでのコロナ対策の費用対効果分析」 を行って、結果を世に問えばいいのに、と思う。 「Go-To の費用対効果って結構良好だから、継続しなさい」 とかね。 だってあんたら学者だろ?

もっとも医療経済評価や HTA の領域って、特に日本ではほぼ完全に「官製学問」 である。 政府の政策として採用されるから、その限りにおいて需要が発生し、流行る。 だからこの領域の学者の皆さんが、「このコロナが収まった後、また御用学者として (あるいはグローバル企業お抱え学者として)、 政府 (グローバル企業) からメシを食わせてもらわないといけないのだから、ここは波風立てないでおこう」 などと考えていたとしてもまったく不思議ではないし、それを批判する気も毛頭ない。 ほれ、私がよくそれでメシを食っていると誤解される 「れぎゅらとりーさいえんす」 とやらもまったく同じ構図だもの。

個々の学者の腹の中は分からん。 が、とにかくもう少しがんばってくださいよ。 ね。 これって別に皮肉だけで申し上げているわけではない。 実際のところ、多くの国民は 「今のコロナ禍の諸政策 (例:PCR検査の抑制、Go-Toキャンペーン、ワクチン導入の遅れ など)で、政府は国民の命 (失われる健康量) にいったいいくらの値段をつけているのか?」 を知りたがっていると思いますよ。 ここまでのコロナ対策を見ていると、政府は、人の命を値段をつける対象とすら扱わず、単なるモノとして1個、2個、3個 ・・・と数えているだけに思えることがある。

やはり今こそ医療経済学の諸先生方の出番なのですよ。

 

*****

今、団地のベランダで読書するのが楽しくて仕方がないのである。 小さな丸椅子を持ち出すので、これも広義のチェアリング ・・・ と勝手に主張して家人にバカにされているのだが、いいのよ、それで。 チェアリングの心はチェアリングをする者にしか分からんのだから。

低層階なので散歩中のワンコの声が聞こえる。 掃除のおじさんのほうきがけの音。 どこかから舞い込んでくる落ち葉。 干しているお布団に陽が当たる匂い。 頬を撫でる冷たい風。 飛んできたカメムシ。 もうサイコーという表現しか思い浮かばないぞ、この状況。

♪ 鼻で知る春 木の芽の匂いー、 耳で知る秋 つくつくぼうしー

座頭の市っつぁんでなくとも、こんな歌が口からこぼれ出る。

こんなときにも渋谷に繰り出して大騒ぎしているバカ若者たちには、この幸せは伝わらんのだろうな。 残念ながら。

 

チェアリング (自称) をしながらこんな本を読んでますよ。

まずはこれ。 待ってました。  

詩歌川百景(1) (flowers コミックス)

詩歌川百景(1) (flowers コミックス)

 

 海街 diary の最終巻のサイドストーリーがサイコーすぎると以前書いたのだが、そのサイドストーリーが本編となって帰ってきましたよ。 山間の温泉町で暮らす、すずちゃんの弟たちの物語 ・・・ あ、思い出すだけでじんわり涙が出てきてしまう。

 

 

 こちらも別の意味で涙が出る本。 「あなたは、自分が意味のある (誰かの役に立つ) 仕事をしてると思いますか?」 と問われて、「まったく役に立ってません」 と答えるとすれば、あなたの仕事は立派な bullshit job (クソのような仕事) である。 詳細はこの本を読んでもらわないといけないのだが、bullshit job の多くは、ホワイトカラーのサラリーマン、公務員、軍隊、おエライさんまわりで生じる。 

私が厚労省で働いていた間にも、明らかな bullshit job を何年間か (何回か) やらされたっけ。 たとえば、実は私自身にはまったく権限も知識もノウハウもないのに、厚労省職員という肩書があるというそれだけの理由で、会議でそれらしいことをテキトーに言うだけの仕事をしていた半年間とか。 エラソーに発言しながら、心の中で 「ホントは自分、なんも分かってないシロウトなんです。 シロウトの発言に耳を貸さないでください」 と謝罪してた。 エラソーな職名の割に、やることは会議の予定日を FAX で送るだけ、なんていう時期もあったなぁ。 むろん大学教員の仕事の中にもクソのような仕事が山ほどある。 このあたりはまた別の機会にブログで書きますね。 

私のような糞まみれの人生を送ってきた人でなくても、皆さんそれなりに自分の仕事の意味を疑うことは多いでしょ? そういうヒト誰にとってもおすすめですよ。 著者は人類学者です。

 

*****

というわけで、今年もみなさんお疲れさまでした。 なんともつらい一年だったですね。 特に学生さん、大変だったね。 どうにもならんほど無責任なニポンのお上のコロナ対応を見ていると、もうしばらくはこの状況が続くことは確実です。 うちの研究室の学生でなくとも、なんかつらいことがあったら、いつでも研究室に遊びに来てください。 お茶でも飲みながら、バカ話でもしようか、ね。

あとな、おまいら、このブログ読んでるのなら、たまにはコメント入れてもいいんだからな。 結構な数の方々がアクセスしてることは、こっちはまるまるまるっとお見通しなのだ。 

じゃ、また来年。 良いお年をお迎えください。

吉野家を目指す金字塔のFDA

う、う、・・・ うわーん  。゚(゚´Д`゚)゚。

小田さんの 「クリスマスの約束 (TBS)」 が、今年はないらしい。 一年間、あの番組を見るためだけに頑張っているのに、そりゃないよ ・・・ う、う。 年内のこれからの仕事なんぞもうどうでもいい気がしてきた。 うちの研究室の学生さん、すまんな。 指導のための気力が萎えてしまったよ ・・・ む、そこの何人か、むしろ嬉しそうな顔をしとるな。 そんな悪い子は廊下に立ってなさい!

元気が出ない。 こうなったら、生協書籍部で昨日仕入れた最終兵器を読むしかないか。 ほれ、あれですよ。 あれ。 

 

鬼滅の刃 23 (ジャンプコミックスDIGITAL)

鬼滅の刃 23 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 

・・・

・・・ う、う、うわーん  。゚(゚´Д`゚)゚。

結局泣くことになるんだな、自分。 涙が、涙が止まらないじゃないか。

感動のクライマックス、そして後日談。 炭治郎も、善逸も、伊之助も、みんなよく頑張ったなぁ。 家に帰れてよかったなぁ。 

生きていると辛いことが山ほどがあるが、みんな 「家 (うち) に帰る」 という目標があるから頑張れるのだ。 会社で腐れ上司にどんなにひどい目に遭わされても、エラそうな連中にどんなにひどいことを言われても、家に帰れると思うから、我慢ができるのだ。 「鬼滅の刃」 の作者はそこんとこをよく分かっておられる。

そういえば、昔見た映画でも最後に 「うちに帰る」 って誰かが言ってたなぁ ・・・ と思案してたら、思い出した。 Dawn of the Dead (リメイクの方ね)の News footage (注 1)。 ゾンビ感染症のせいでアメリカという国家が完全に崩壊してしまい、テレビ放送も停波するという状況である。 もはやカメラマンが残っているのかすら怪しいカメラに向かって、格調高いニュース番組の司会者が語りかける最後のセリフが

Honey, I'm coming home, and get the kids ready now. I'll be there soon.

(嫁さんに) うちに帰るよ。 子供と一緒に逃げる準備をしなきゃ。 待っててね。 

であった。 サル的なヒトって目の前の学生や秘書さんの名前が時々思い出せないことがあるのに、こんなセリフはありありと思い出せるのである。 不思議なり。

(注 1) これ、YouTubeで検索すれば見れますよ。 いわゆる fake news だけど、今の米国の感染状況と照らし合わせてみるとしみじみ恐ろしくなる。 ゾンビ耐性のある方はぜひどうぞ。

しかし本来は 「うちに帰る」 ってフレーズを聴いたら、ゾンビものの映画などではなく、もっと健全な何か、たとえば積水ハウスの村上ゆきさんのCMソングや斉藤和義の 「歩いて帰ろう」 なんかを先に思い出さねばならないのだろうな。 根っから不健全なサルなもんで、すまんね。

 


歩いて帰ろう

 

*****

今日は自宅から某大学のオンライン講義。 コロナのせいで、規制も学問も医療も産業もまともに機能していないので、「大学の講義なんて、とにかく最近業界で起きたネタをスライドに盛り込んでおけばいいんだろ」 的な作戦 (業界人のゆるい講演でよくあるパターン) をとることができぬ今日この頃。

しかし、このコロナ禍でも、いや、コロナ禍だからこそ、大笑いのできごとは結構起きる。 たとえばこれね。

 

米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は3日、英規制当局が米ファイザー新型コロナウイルスワクチンをスピード承認したことに批判的な見方を示した。

ファウチ氏は英当局が 「非常に綿密な審査を怠り、ファイザーから入手したデータをそれで良しとし、承認した」 と批判した。

その上で、米食品医薬品局(FDA)は規制上の「金字塔」で、非常に慎重にワクチンデータを精査していると強調。 「1週間もしくは1週間半ほどの時間を稼ぐために、ここで性急かつ不適切にハードルを飛び越えれば、規制上の手続きに対する信認は失墜するだろう」 と述べた。

英政府は前日、ファイザーが独ビオンテックと共同開発した新型コロナワクチンの緊急使用を承認。 来週から接種が始まる見通し。規制当局の英国医薬品庁(MHRA)のレイン長官は「いかなる手続きも省いていない」と強調した。

MHRAはファウチ氏の批判を受け声明を発表し、「完璧な審査プロセスを怠ることなく、最短期間でデータを綿密に精査した」 と反論した。

 (ロイター 201203)

 

FDA は規制の金字塔」 ときたもんだ。 ウソではないけど、大笑い。 その手の自画自賛って、「審査時間世界最速」 などとまったく意味不明なことを口走って世界を呆れさせている極東アジアの島国の規制当局の専売特許だと思ってたよ。

ファウチさん、ファイザーのワクチンを抜け駆けして承認してしまった英国の審査当局がよっぽど頭にきたのですね。 極東アジアにも抜け駆け・手抜きを臆面もなく標榜している小国があるのだが (抜け駆け審査制度とか、条件付きテキトー承認制度とかいうのを誇っている国があるでしょ?)、その国も最近アメリカ様の神経を逆なでしていることは、皆さんもご存知のとおり。 ほれ、サイエンス誌が 「極東の島国がいい加減な承認しやがって」 って噛みついてきた例の件が分かりやすい。

アメリカ様の関係者たちって、「どいつもこいつも、オレたち優秀なアメリカ人が血と汗と涙で長年築き上げてきた 『薬効評価科学・規制科学』 が無ければ何もできないくせに、オレたちに何の断りもなく制度のうわべだけ変えて 『米国よりも進化しましたよ、我が国は』 みたいな顔をして、自分の手柄にしてやがる!」 と怒り心頭なんだろうな。 ははは。 100% そのとおりだから、怒るのも無理はない。

もちろん、ファウチさんが怒っているホントの理由は、そういった薬屋 (薬の専門家) の世界の体面・メンツみたいなことではない。 怒っているのは、ファイザーのワクチンが先にイギリスに分捕られると、米国への初期供給量が少なくなるから。 ファウチさんって、薬屋ではなく、パブリックヘルスの人だから。

皆さんよくご存知のとおり、ファウチさんってトランプの天敵。 パブリックヘルスの守護神のようにメディアで扱われてるエラいヒトである。 確かにこのヒト、ハキハキしていて気持ちがいい。 専門家のはずなのに何を言っているのかがさっぱり分からないニポンの国立研究所の所長さんたちと違って、ファウチ所長は 「失敗は失敗」 とはっきり認める。 昔からそうである。 たとえば 15年くらい前、失敗続きの HIV ワクチンプロジェクトが批判されたときにも、「なんか方向を間違えてるかもな、俺たち」 と自らがプロジェクト推進者であるにもかかわらず非を認めたりして。

だからこそ忠告申し上げるが、ファウチさん、薬の承認審査の中身や審査時間にケチをつけても無駄だと思うよ。 だって、世界中の薬の承認審査って昔からずっと神事なんだもん。

アメリカ様がつくった薬効評価・承認審査の体系に立派な科学が宿っていることは確かだと思う。 でも、その実践として世界各国 (米国を含む) の政府がやってることは神事そのもの。 うわべの形・儀式を真似して、シロウト目には立派なことをやってるように見せているだけ。 良い審査とか悪い審査とか言ってみても、最後は水掛け論にしかならないのよ。 「薬が効く」 の意味を語れない私たちのようなサルが審査やってるんだから。 自分たちがやってることの意味を誰も分かってないんだから。

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あとね、ファウチさん。 審査時間についても 「キーッ!」 とならん方がいいと思うぞ。 見かけの審査時間なんて、お役人の腹一つでどうにでもなるんだから。

それって、ちょっと考えてみればすぐわかる。 「審査時間が1年」 だとして、やる気のあるまじめな審査官が実際に資料を読んだり、申請者に確認したりして、企業が隠し事をしてないかと探したり、悪いこと(副作用)が起きる可能性などを真剣に考えたりしている時間 (つまり、国民の健康改善にホントに役に立っている時間) って、1品目当たりたぶん延べ数日間、多くても数週間だと思うよ。 残りの350日くらいの時間は、PMDAのロッカーの中で資料が眠っている (審査官だって夜は帰宅して眠るし)か、あるいは、お役人と儀式を繰り広げているだけの時間ですよ。

見かけの審査時間と、審査をちゃんとする・しないとは、そもそも別の話である。 さらに困ったことには、「ちゃんと審査した」 と言ってみたところで、それが神事だったりするんだから。 あいやー。 どこにも救いが無い (笑)。

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少し前に 「ニポンは審査時間が世界最速になりました!」 などとアチコチで自慢しまくっているニポンの当局のおエライさんたちがいましたよね (過去形じゃなくて、今もいるのか)。 陰で 「アホか。 PMDA は牛丼の吉野家かよ」 (注 2) と盛大に失笑されていたのだが、審査時間にこだわりすぎると、その手のぬるいニポンのおっさんたちと同類になっちゃいますよ、ファウチさん。 気をつけてね。

(注 2) あ、今の若い連中は、吉野家の昔のCM(♪ 早い、うまい、安いの三拍子)を知らないのか。

サル的なヒトとしては、しかし、ファウチさんやメディアがこんなふうに大騒ぎすればするほど、「新薬の承認審査って神事」 「新薬の審査は3日でできる」 という二十年モノの自説が着実に確からしくなっていくので、とてもうれしいのである。 「ほれ、言ったとおりでしょ?」 って感じ。

バカ騒ぎがもっと激しく、あからさまになることを密かに期待しているのである。

 

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ということで今日はこの辺で。 寒くなってきたから体調に気を付けましょう。 出産を控えた京都あたりのおねいさん、大変な時期だけどがんばってね。

心労の多いこの世だが、「まいにち 養老先生、ときどき まる 「秋を漂う」」NHK BSプレミアム、12/4 23:15-23:45) はサイコーである。 養老先生と、じいさんネコのまるがヨボヨボと自宅まわりを歩いているだけの素晴らしさ。 それの何が素晴らしいのかがバカには分かるまい。 次回放送は 12/11 。 必見ですよ。 見逃した人は NHK オンディマンドで。

じゃまたね。

トランプに票を投じるヒト

「ふー、疲れた」 と呟きながらオフィスを出た夜10時。 いつものように医学部前の広場をトボトボと歩いていたら、ベンチの上に何かが置いてある。 ムムっ、何だろうと思って近づいたら ・・・ 黄色い、小さな長靴 が片方。

なんでチビッ子ってこうも懲りずに靴を落とすのだろう (笑)。 新橋とかで飲んだくれてる酔っ払いのオッサンも財布とか鞄とかいろんなモノを落とすけど、靴はなかなか落とさないよね。 フフフ ・・・などと愉快になったりする。 そういえば今朝の NHK のあさいちに、「雨なんか1ミリも降っとりゃせんのに、うちの子は 『長靴履きたい、長靴履きたい』 って騒ぎよる」 と嘆くお母さんが出演してたっけ。 

翌朝、ベンチをのぞいたら黄色い長靴はなかったから、無事誰かが回収した模様。 よかったよかった。 戻って来た長靴を履いて  ♪ あるこう あるこう あたしはげんきぃ ♪ などとご機嫌に歌いながら散歩するチビッ子を想像するだけで、幸せな気分になれる。 ホント安上がりな自分。

 

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と、今日はほのぼのした雰囲気で始まったサル的日記。 皆さんお元気? 「今回はほのぼの回なのね」 と思うかもしれんが、違うのだ。 申し訳ないが殺伐としてるのだ。 正確に言うと、30分前まではほのぼのしてたのに、今は殺伐としているのである。 Amazon のせいで。

Amazonワンクリック詐欺」 って耳にしたことがある人も多かろう。 読者の中にも被害者がおられるだろうと推察する。 Amazon で何かを買うときに、支払い方法とか、送付先の選択とか、何回かクリックを求められますよね。 そのどこかの段階で、いつの間にか「Amazon Prime」に入ったことにされてしまう。 むろん無料サービスなどではない。 顧客の口座から毎月の料金をいきなり引っこ抜きやがるのである。

立派な詐欺 だろ、これ。

届いたメールに運良く気付いたからよかったようなものの、Amazon の野郎、気付かなかったら、この貧乏ザルから毎月数百円をふんだくるつもりだったらしい。 ふざけやがって。

実はこのワンクリック詐欺に引っかかったのは初めてではない。 二度目である。 以前も今回と同様に、まったく覚えがないのに勝手に会員にされてしまった。

怒りの抗議の電話をかけようと思ってもあいつらズルいから電話の窓口がないのな。 だから、激怒しながらも、入った記憶のまったくない Prime の解約という、気が狂ったような作業を強いられるのだが、これがまた面倒くさいのよ クリックごとにいろんな分岐があって、結局5回くらい選択肢を正しくクリックしないと解約できないのである。 心理学的な理論を踏まえての、脱会をとどまらせるための手法なんてものが使われているんだろうな。 「お年寄りだろうとなんだろうと、むしり取れるものはむしり取れ」 なんて教えそうなビジネススクール系の薄っぺらいやつらのやりそうなことである。 くそくらえ。

 

醜いぞ、Amazon

消費者だまして恥ずかしくないのか。

 

最近テレビのコマーシャルで会社のイメージアップを図ろうとしているが、結局おまえらの本質はグローバル規模の詐欺師集団そのものじゃねーか。

国民生活センターに報告はしたものの、Amazon のこのワンクリック詐欺って何年も前から知られていて(ググってみてください。 何件も怒りの告発があります。)、すでに何百件 (何千件?) も報告されているはずだから、お上は本気で対応する気はないのだろうな。 確かにニポンのお役人が Amazon の弁護士連中に勝てるとも思えんが、しかし、経産省消費者庁の皆さん、ちょっとやる気を出してはもらえませんか。 応援します。

 

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アメリカ大統領選挙。 トランプ氏に票を投じた人たちが7000万人もいましたね。 実はサル的なヒトも 「いったいどんなバカがトランプに票を入れたんだよ?」 と半笑いで高みの見物をしていたのである。

が、Amazon の件でイライラしていたときに、ふと気づいた。 気付いたというよりもストンと腑に落ちたのである。

 

あ、オレだ。

オレのようなヤツがトランプに投票するんだ、と。

 

抜け目なく頭のいいヤツらが、貧乏人からむしり取れるだけむしり取る今の巨大・グローバルビジネス。 都会の超高級マンションに住む連中が手を汚さずに大儲けしてやがる。 今のネットビジネスや金融・投資ビジネスって鵺 (ぬえ) のようなものだから、貧乏人がひどい目にあっても、苦情を言うべき窓口がない。 メールなんて平気で無視される(経験ずみ)。 実店舗がないと店員もいないから、泣きついたり、八つ当たりする先もない。 理不尽な目に遭わされて怒りのこぶしを振り上げたとしても、ビジネス界の奴らを (逮捕されること覚悟で) 殴りつけることすらできない。

そんな絶望的な閉塞感を持った人たちが、最後の切り札のような感覚でトランプを支持するのはむしろ当然である。 「ゼニカネや情報を右から左に動かすだけのマネーゲームで大儲けして、貧乏人から手の届かないところですました顔をしているあの金持ち連中に鉄槌を下してはくれまいか。 できれば地獄に叩き落してはくれまいか」 と心の底から願う気持ち。

トランプが救世主などであろうはずがない。 が、しかし、救世主を求める気持ちは腑に落ちた。 今の民主主義の仕組みと、そういう昏 (くら) い激情が結び付くと、アメリカのようなことが起きるに決まってる。 だいぶ前から、当然のように同じことが日本でも起きているよね。 たとえばいわゆるB層がらみの話。 ため息しか出てこない。

 

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ファイザーのワクチンの記事の件。 今の新聞社やメディアには日本語を母国語にするニポン人がいないのだろうか。 医学・薬学の専門知識の問題ではない。 日本語が書けない人たちばかり。

「発症を防ぐ有効性が90%以上であった」

「有効率が90%を超えたワクチン」 

「ワクチンの効果9割超に」

などと記事にしているが、これらの見出しや文の日本語の意味、まったく分からんぞ。 何が言いたいんだ、おまえら? 記者さんたちも、自分の書いていることを理解してないでしょ? こんな日本語を書いて恥ずかしくないの?

もっとも、これってメディア・記者さんだけの問題ではない。 このサル的日記で100回くらい繰り返し指摘しているとおり、 「有効性」 とか 「薬が効く」 とかの (意味論的な) 意味がまったく不明であるという事実を無視しているから、こういう文章が世の中に蔓延することになる。 情けないとしかいいようがない。 

これが今の日本のメディア、そして、れぎゅらとりーさいえんすとやらのレベル。 またもや出るのはため息ばかり。

 

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ため息ついていると悲しくなるから、こういう素晴らしい本でも買ってしまおう。 「猫と東大」。 駒場にたくさん住んでいたぬこたちのことが盛大に書いてあって、2200円。 超お買い得ですよ。 あ、でも Amazon の下のリンクからは買うなよ。 近所の本屋さんで買おう。 

猫と東大。:猫を愛し、猫に学ぶ

猫と東大。:猫を愛し、猫に学ぶ

  • 発売日: 2020/11/10
  • メディア: 単行本
 

 さっそく今日(11月10日)、東大生協に駆け込んで、

「おねいさん、この本なのです! この本、ください!」

と書籍部のおねいさんにおおきな声で言ったら、「ごめんなさい、その本、明日にならないと入荷しないんです」 とのこと。 ちょっと涙目になってトボトボとオフィスに戻ったサル的なヒト。

またため息が ・・・

 

あれ? くちゅがない

朝、いつものように赤門から大学構内に入ったら、銀杏並木の通りにあいつらがいたのである。 大学内にある保育園の2、3歳のちびっこたち。 午前中のお散歩タイムらしい。 みんなおそろいの青いスモックと黄色い帽子を着せられて、かわゆいのぉ。

お散歩軍団の先頭は男の子が二人、保母のセンセとしっかりと手をつないで歩いておる。 その後ろに、4、5人が乗せられたでかい乳母車、 通称 「しとしとぴっちゃん号(子連れ狼仕様)」 が2台続く。 相当に大規模な行列である。 乳母車に乗ってるちびっこたちは、車両から体を半分乗り出して、嬉しそうに手を振ったりしておる。 みんな楽しそう。 見ているこっちまで楽しくなる。

ちびっこが好きでたまらないサル的なヒトは、横に並んで彼らを観察しながらオフィスに向かっていたのである。 と、後ろに位置する2号車の乳母車が急停止した。 2号車の前に小さな白いスニーカーが片方だけ落ちている。 保母さんがそれを拾い上げ、前を行く1号車のちびっこたちに 「誰か、靴を落っことしたわよ! 誰の靴なの?」 と大きな声で尋ねたのである。

誰一人予想してなかった衝撃の事実が判明したのはそのときであった。 センセと手をつないで先頭を元気に歩いていた男の子が急に立ち止まって、

「あれ? くちゅが、ない・・・」

と靴下しか履いていない自分の右足を見ながら、不思議そうにつぶやいておる。

 

 ・・・ ( ゚д゚) ・・・

 

保母さんたち大慌て。 私を含むギャラリーは爆笑。 ここ数年で一番素晴らしいドラマを見た気がする。

自分の靴が片方脱げたのに気づかずに、そのままトコトコと歩き続けていた男の子。 高野山の山伏並みのそんな荒業がどうして3歳児に可能なのかは、現在の科学レベルでは解明困難である。 行動科学を研究している私でもよくわからない。 手をつないでいたセンセも気付かなかったらしい。 

子供って、靴の左右を間違えて履いたり、パンツの前後間違えて履いたりしてもなぜか平気なのである。 おかあさんやセンセに言われるまで気づかなかったりして。 私もちびっこの時にそうだったことをふと思い出した。 皆さんはどうでしたか?

・・・ と、遠い目をして子供の頃を懐かしんでいるが、実はつい数日前、ステテコ (ズボン下) の前後を履き間違えていて、トイレでおしっこをしようとした時におチ○チ○を出すはずの穴がなくて、「う、うわーっ!」 と焦ってしまい、だいぶ少しだけチビったことを思い出したサル的なヒト。 ジジイになると、やってることがちびっこと大して変わらない。 

 

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 というわけで皆さんお元気ですか。 大学は後期の授業が始まり、対面での講義や実習も少しずつ復活。 が、まだまだ基本はオンライン講義という厳しい状況である。

例年だと5月に始まる社会人向けの講習会 (医薬品評価科学レギュラーコース (RC))も、今年は8月開講であった。 今週ようやく前半のディスカッション課題の発表が終了したところである。

今年もややこしいテーマを4つ出してグループ討論をしてもらったのだが、初めて顔を合わせた人たちとオンラインでしか対話できないという障壁は相当に大きかったかも。 討論の最中にフラッと私やアドバイザーが突っ込みを入れるのも難しかったし。 うーむ。 謝ってもしょうがないのだが、一応コロナに代わって謝っておこう。 すまんね。

しかし、そんな悪条件下であったとしても、皆さんにはもう一歩踏み込んだ議論をしてもらいたかったなぁというのが私の偽らざる感想である (毎年そうなのだけど)。

皆さんの議論って、なんかステレオタイプである。 製○協や D○A や 「れぎゅらとりーさいえんす」 うんぬん系の学会でよく見かける、業界人の既視感あふれるプレゼンっぽい。 RISF○X などの業界紙の記者さんなら3分もあれば書けてしまいそうなことばかり結論に並んでる。

あとね、皆さんの議論ってタブー・自主規制が多すぎよ。 笑ってしまうくらい。「製薬企業って儲け過ぎ」 、「いくらなんでも新薬の価格、高すぎだよ。 値段下げろよ」 といった議論から必死で顔を背ける様は、見ていて痛々しいほどである。 タブーに触れるとシャッチョさんに怒られるの? あなたの会社のシャッチョさんって、ずいぶんと了見が狭いんだな (笑)

製薬企業の欲深さをめぐるそうした問題意識 (業界人はそれを stigma (汚名、烙印) と呼びたいだろうけど) は、これまで何十年も社会 (政治、経済、倫理) のど真ん中に鎮座してるのよ。 製薬企業を批判し、嘲笑する映画がたくさんあるほどである。 「ダラスバイヤーズクラブ」とか、先週公開の 「薬の神じゃない」 とか。「ナイロビの蜂」 ではもっと分かりやすく 「製薬企業って極悪非道」 と扱われているし、「猿の惑星:創世記」 に至っては製薬企業が人類を滅ぼしておる (大笑)。 その手の映画で製薬企業社員は 「ロレックス着けて、高級コートを着た連中」 と皮肉たっぷりに戯画化されているのだが、実際、私のお付き合いのある企業のおエラいさんたちもそのまんまだったりするから、笑うに笑えないのですよ。(注 1)

(注 1) 「そんな創作やイメージで業界人にいちゃもんつけるな! このサル野郎!」 と殴りかかってくる阿呆がいるかもしれんな。 そういうやつらには、過去の凄惨な薬害年表や醜悪なデータ改ざんの歴史や企業トップの驚くべき高額年収リストを顔面に突き付けて、アンパーンチ!の一撃で返り討ちにしてやる。 遠慮なくかかってこい。

つまり、皆さんが見て見ぬふりしたところで問題意識は無くならないってこと。 (まともな) 先輩たちにならって、皆さんも正面からそうした批判と向き合わないと。 そして議論しないと。 ね。

ニポン政府とか PMDA とか AMED の話も同じ。 「政府機関やお役人のやっていることが基本的に正しい」 なんていうバカげた想定は、建設的な議論をする上で有害無益です。 実際、彼らの政策・施策・プログラムに見込み違いや間違いがたくさんあることは一目瞭然。 発表者のほとんどが、まともな根拠もなく 「ニポン発・ニポン産の薬をもっと応援すべき」 と結論づけていたことにも驚いた。 皆さんって 「機会費用」 という概念をちゃんと持ってる? グローバル企業の社員さんは、自らの会社 (本社の連中) がなぜ 「ニポンを (今以上に) 応援しないのか・応援しなくなったのか」 の理由を考えたりはしないのかしら。

・・・ といった論点をタブー扱いせずに分かりやすく議論するやり方を知ってもらうのが本研修のディスカッションの大きな目的です。 そのためには若干のコツが必要だし、いくつかの学問的な枠組み(概念) も必要だったりするので、ちゃんと学ばないといけません。 腹を括って知らないことを勉強してみてください。 ヒントは出すし、勉強の仕方も教えますから ・・・ 開かれたマインドを持った人たちには、ね。

「見ないふりして逃げ回って来た論点をきちんと議論できるようになる爽快感」 ってすごく大きいよ。 保証します。 

二回目のディスカッションでも、今回に輪をかけてややこしい課題が出されます。 思う存分に楽しんでね。 Enjoy !

 

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恐ろしいのは、アメリカ人の4割が今でも 「トランプを支持する」 と答えていること。 いや、それを恐ろしいと感じているのは私だけで、皆さんの多くはそうは思わないのですよね。 なんたってニポンの前総理と仲良しなんだもんね。 あー、こわ。  

ジョン・ボルトンさんって、容貌・雰囲気がちょっと FDA の Bob Temple さんに似てるよな、と思ったりする (笑)。 Bob、さすがにもう引退したのだろうか。 知ってる人がいたら教えてください。 

出征兵士を温かく見送ろう

う、うわぁ! 汁が! じる が! おいなりさんのねっちょりした汁がバックパックの中で飛び散っておる! ・・・ などと明らかに気が動転しているサル的なヒト。 コンビニで買ったおいなりさん(3個入り)をバックパックに放り込んで走って学校に着いたら、稲荷汁が漏れてたのである。 買ったばかりの経済学のテキストがベトベトに。 稲荷汁ってぬるぬるでちょっとたまらんぞ。 おいしいけど。

というわけで、皆さんお元気ですか。 涼しくなっていい気分ですね。 キンモクセイの香りがふんわりと外から舞い込む季節。 昨日は空からも匂いが頭上に降ってきた。 東大の構内ではこの季節、銀杏がポトポトと文字通り降ってくるのだ。 頭の上にポトリと落ちてくるビミョーな臭いの銀杏。 今、東大は近所の人たちの入構を禁止しているので、銀杏を拾ってくれるおばさんたちがいない。 なので、大量の銀杏が路上に散乱しているのである。 もったいない。 ちなみに構内を散歩するワンコもいない。

レジ袋禁止も、コロナへの過剰防衛も、どっちもクソくらえ。 と小さな声で呟く。

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コロナ、みんなの辛抱のタガが外れてしまいましたね。 毎晩通勤で通り抜ける繁華街は、コロナ以前の状態にほぼ戻ってしまった。 さらにニポン人って、お上の Go-To キャンペーンに絶賛協力中なんだってな。 みんなニコニコして大口開けて外食したり、密室の乗り物に長時間閉じ込められたりしておる。

誤解してほしくないのだが、私はキャンペーンに反対してないし、キャンペーンに乗せられた連中をバカチャレンジャー呼ばわりする気も毛頭ない。 若くて身体が丈夫で勇気のある人たちが、死にかけている外食産業、旅行産業、そして地方の観光地にお金をじゃんじゃん落としてくれるのは実にありがたいことに決まってる。 ただ、私自身はその手のキャンペーンに協力する気は一切ない。 すまんね。 だって自分、身体が弱くて感染が怖いビビりーなんだもの。 貧乏だから旅行・外食する金もない。

今の気分をたとえるとすれば 「先の戦争で出征兵士を見送る隣組のおじさん」 って感じ。 お上の赤紙一枚 (クーポン券) で召集され、生きて帰れるとは限らぬ戦地に赴く若者に万歳三唱してやりたい。 「お上に協力するのは名誉なことだから精一杯がんばりなさい」 なんて声をかけたりしてね。 内心 「お気の毒に・・」 って思ってるが、むろん口には出さぬ。 無事に生きて帰ってほしいと願ってますよ。

だけど賢明な読者の皆さんは、太平洋戦争と今回のコロナ騒動では大きな違いがあることにもう気づいてますね。 戦中の出征兵士が生きながらえて故郷に戻るときには武装解除されてるけど、コロナ禍で出征する兵士たちの一部は、武装解除どころか、重機関銃でウイルス弾を敵味方関係なくぶっぱなしながら職場や近所に戻ってくるんだよな (笑)。 そこが問題。 まぁしかしそれも仕方あるまい。 なんたって彼らは危険を冒して自ら出征してくれたのだ。 オトナの流儀は、温かい目で彼ら出征兵士を見守ってやることだろう ・・・ 唾が届かない、うんと遠くから。

東京駅や羽田空港で出征兵士を見送るときには、こんな歌を歌ってあげると喜ばれよう。 


<軍歌>出征兵士を送る歌

 

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政治家がここまで愚劣なのは、私たち国民自身が愚劣だからだよな。 サル的なヒト並みに薄っぺらい知性しか持たぬ阿呆が政治家や役人になっている気がする。 ダメだろ、それ。

米国大統領選のテレビ討論会でのトランプの振る舞いに吐き気を覚えてたら、ニポンでも少し前から 「政府の気に入らんことを言う学者はニポンの正統な御用学者に認定しないことにする」 というニュースが。 ハハハ。 純度100% の意地悪、嫌がらせ。 おまえら、小学生かよ。

各省庁のお役人が特定分野の政策や方針を正当化するために、政策を支持してくれる御用学者のみを審議会の委員にするのは日常茶飯事である。 むろんそうした振る舞いは不透明、不公正、醜悪で、かつ当の政策意図の達成の意味からも非効率であることが多いのだが、そこには政策実現の現場ならではの一応の (鼻クソくらいの) 合理性はある。 ところが今回の学術会議委員の決定にはそうした合理性はどこにも見当たらない。 背景にあるのは、権力を持って何かを勘違いした官邸まわりのおっさんたちの 「学者の野郎ども、ちょっと自分たちが賢いと思って、オレら権力者にたてつきやがって。 気に食わん」 という卑小な復讐心だけ (他にある? あるんだったらぜひ教えてください)。 自らの料簡の狭さ、けつの穴の小ささを告白してるだけ。 あーあ、いい年して情けない。 

私のまわりにも (お役所・業界、そして大学にも)、この手のミニ独裁者の腐れオヤジが何人もいる。 「ちっきしょー。 あのサル、若造 (あるいは元木っ端役人) の分際で、このオレ様に逆らいやがって」 と、何(十)年もネチネチと私に嫌がらせをしてくださっているのだが、そいつらにだって、嫌がらせは公には見えぬところで陰湿に行うくらいの知恵はある。 だって衆人環視の下で露骨に嫌がらせしたら、大人物然とした権力オヤジが実はケツの穴の小さい小心者だってバレちゃうもんね (実際そうなんだけど)。 しかし今回の嫌がらせは全国民に公開生中継されておる。 相当にカッコ悪いことになってますよ。

仮に政権の側に立って考えても今回の件はダメダメである。 学術会議のメンバーを見れば (医学、薬学のメンツをご覧ください)、「ああ、なるほど。 いつもの、そういう類の、政府御用達の委員会なのね」 と一目で分かる。 ニポン政府の委員会・審議会なんてすべてそうなのだし、誰も特段気にもとめてなかったのに、官邸自らが火のないところにガソリンまいて放火しておる。 愚かなり。 

政治家も、役人も、専門家も、サルも、国民一丸となってみーんなトランプ並みの愚劣。 芥川先生、この令和の御代、良心を持たぬバカはもはや国民の9割どころじゃありませんぜ。

一国民の九割強は一生良心を持たぬものである。

芥川龍之介. 「侏儒の言葉」)

 

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うっ、ゲロ吐きそう。 そんな気分を味わいたい方におすすめの映画がこれである。 「ミッドサマー」。 遅くなったけど、やっと見ました。

 


『ミッドサマー』本編映像&予告編(15歳未満は見ちゃダメ)

 

うっかりしてたのだが、これってあの「ヘレディタリー Hereditary」 の監督の作品なのである。 「ヘレディタリー」 って 「エクソシスト並みに怖い (つまり、素晴らしい)」 と評判だったので、ビビりーなサル的なヒトはついネタバレ映画評を読んでしまったのであった。 それで映画を見た気分になってしまって、映画館に行きそびれてしまったのである。 不覚であった。

で、この 「ミッドサマー」だが、とにかく気持ちが悪い。 監督は確信犯で観客を 「気持ち悪く」 させようとしてます。 時々登場するグロ描写もそう。 恐怖映画には 「気持ちのいいグロ描写」 と 「気持ちの悪いグロ描写」 があるのだが、この映画に登場するのは典型的な後者。 (注: 前者はたとえば 「死霊のしたたり」 とか。 興味のある方はぜひどうぞ (笑))

うつ病パニック障害のヒトは、この映画見ちゃいけない。 危ないのは、話が盛り上がる後半ではなく、むしろ前半。 映画館で見てたら私も相当にやばかったと思う。 そういう意味での問題がない人はぜひどうぞ。 なかなかの怪作ですよ。 3億点くらいはつけてあげたい。