小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

あ、そうだ、大学院に行こう!

今年もこの季節がやってきた。 大学院の学生募集の季節。 東京大学大学院薬学系研究科の学生募集の詳細については、webサイトをご覧ください。 → 入試情報|大学院入試情報|東京大学大学院 薬学系研究科・薬学部

念のため、願書受付は平成26年6月24日(火)から7月1日(火)までです。 「うーん、学位を取りたいんだけど、どうしようかなぁ」 と迷っているヒトもおられようが、まだ間がありますので、じっくりご検討ください。 来年度でなくて再来年度、という結論であってもオケー。 人生80年、そう慌てる必要もない。

で、ここからは、うちの研究室、東大の医薬品評価科学教室についての宣伝である。 個人ブログならではの強み、好き勝手に宣伝させてもらおう。 Q&A形式でいきますね。

Q1: 東大の医薬品評価科学教室では何を研究しているの?
A1: 社会における薬の評価のあり方を、社会科学、すなわち 「人間の選択行動を明らかにする」 という立場から研究しています。

Q2: なんのことかわかりません。 難しいこと言えば尊敬してもらえると思ってませんか? ヤなオヤジですね。
A2: い、いや、すまんかった。 正直ちょっとカッコつけてました。 言いたいのは、要は、薬そのものを評価するのではなく(それは医学者・薬学者が懸命に取り組んでいます)、薬が評価されるプロセス・制度・仕組み・方法論、そしてその帰結 (健康上の帰結(有効性や安全性)や社会の満足 等)を、そこに登場してるプレイヤー (例: 患者、企業、当局、納税者 ・・) と制約を明示して、彼らの行為や幸せに着目して、研究するということです。

Q3: ますますわからなくなりました。 
A3: そうだろうなぁ。 医薬品関係者って、モノを評価しているのか、ヒトの状態を評価してるのか、複数のヒトたちからなる社会の状態を評価しているのかの区別がついてない人たちが多いからなぁ。

Q4: あんた、出願するかもしれない私に喧嘩を売ってるんですか? 出願やめるぞ。
A4: い、いや、すまんかった。 そんなつもりはないのだが、つい愚痴が ・・・。 取り組んでいる研究の具体例は教室のホームページ (これね → 研究概要 | 医薬品評価科学講座) をご覧ください。 これまで、有効性評価、安全性評価、承認審査システムのパフォーマンス評価、産業論(ドラッグラグと成功確率)、人種差(PK/PDとの関係) ・・ といろいろ取り組んできたので、研究ノウハウは相当にありますよ。

Q5: 学位取得には、公表論文はいくつ書かないといけないの?
A5: 2本です。 1本目が書ければ、2本目は大した苦労なく書けます (本当です)。 2本目の方が愛情が湧きます。 それらの公表論文に基づいて、学位論文そのものを書きます。 他人の文章、コピペすんなよ。

Q6: 社会人学生は、週に何回くらい通学しないといけないの?
A6: セミナーの時間を夜間に設定するなど、負担が軽くなるように配慮しています。 指導教員(私)と相談しましょう。 

Q7: 学生に 「勉強しろ!」 って言う? しつこく言う? コワい顔で言う?
Q7: 言います。 すっごく言います。 それこそが教員の使命であり、学生に対する最上級のサービスなので。 大学院に入って授業料払うだけで、何もせずにホワーンと知恵がつき、学が成るのなら楽で良いのですが、残念ながら神様はそのようには世界を創っていません。 というか、一生懸命に勉強をしないで楽に取れる学位にいったい何の価値があるのでしょうか。 

具体的に何を勉強してもらうかですが、実はそこに教育能力と直結したノウハウがあるので詳細は秘密です。 が、本ブログの読者にだけ特別にこっそり教えると、経済学 (ミクロ、マクロ、計量経済学厚生経済学ゲーム理論)、統計学、因果関係論、社会選択論、意思決定論、産業組織論、政治哲学・公共哲学 (いわゆる倫理) です。 これらの学問・科学の理解なしに医薬品評価科学はありえません。 なんだか耳慣れない学問ばかりかもしれませんが、大丈夫、ちゃんと個別指導しますから安心してください。 教材もちゃんと指定します。 疫学や狭義の生物統計学などについては業界人の常識、商売道具なので、勉強しろなどと改めては言いません。

なお、私はまったくコワくありません。(注 1) 学生や秘書さんに激しく詰め寄られ、涙目になっているのは大体は私の方です。

(注 1) そうはいっても、年齢が離れた若い学生さんから見たら、49歳のおじさんはやっぱり怖くて鬱陶しい存在に決まっている。 おじさん本人がそれを自覚していないからなおさらタチが悪い。 ごめんね。

Q8: 学位はちゃんととれるの?  
A8: まじめに勉強・研究しさえすればもちろんとれます。 仕事や家庭の事情で履修期間 (通常は3年) が長くなりそうな学生さんには、あらかじめ履修期間を4年(あるいは5年)と延長宣言して、納める授業料は3年分でOKという制度もあるので要相談。

Q9: 医薬品評価科学教室の他に、同じような領域の大学院はありますか? なんかここまでの回答に若干の不安を感じるんで、いろいろな大学の先生に話を聞きたいんですけど ・・
A9: おおっ、それは良いことです。 というか、むしろ積極的にそうしなければいけません。 勉強するのはあなた自身ですから。

東大には、同じ薬学系研究科に、いくつかドライラボ系の研究室があります。 医学系研究科には公共健康医学専攻 (いわゆる School of Public Health) のコースがあります。 工学系研究科には技術経営戦略学専攻があります。 またそれらとは別に、大学院 新領域創成科学研究科もあります。 それぞれに特徴がありますので、比較検討してみてください。

他の大学では、例えば、京都大学北里大学など (他にもたくさんありますよ) に優れたコースがあります。 まずは web で確認した上で、指導教員になってもらいたい先生と直接話をしてみてください。 必ず直接話をしてみて、相性やお互いの熱意を確認しましょう。 言うまでもなくもっとも大切なのは、箱 (大学名・講座名) ではなく、ヒト (十分な学問的知識を持つ教員が、愛情を持ってちゃんと時間を割いて指導してくれるか、共に切磋琢磨する同僚の学生がいるか) です。

Q10: 研究室の雰囲気はどうですか? 殺伐とはしてませんか? しっかりものの秘書さんたちを怒らせると、雑巾汁がコーヒーに入ってくるのですか?
A10: ふふふ ・・・ それは来てのお楽しみ。(注 2)

(注 2) 上は 50歳代のベテランおじさんから、下はピチピチの学部学生まで、実に和やかに、楽しくやっています。 うちの社会人学生さんは皆、おそろしく性格がやさしくて、エラぶらない人格者ばかりなので、どんな方でもまったく問題なくやっていけます。 滑り気味のギャグを乱発するサル的な指導教員にすら、薄ら笑いを浮かべながら、やさしい態度で接してくれます。

ということで、今日はこの辺で。 本教室への進学に限らず、大学院進学のことで疑問や質問があったら遠慮なく私に直接コンタクトしてください。 どんな質問でもお答えしますよ。