小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

底を抜かない

お上が大好きな皆さんにも、さすがに分かったでしょ? このニポンという国、完全に底が抜けていること。 政府・企業の不祥事の数々。 次から次に温泉のように湧いてくる。

だいぶ前から実態としてのニポンの底が抜けかけていたことは疑いがない。 しかし何十年もの間、お役人は国の体裁として守るべき最後の一線は守ってきた。 だからこそ私たちはお上・お役人を (好きではなくても) 信頼はしてきたのである。

ところが、あの国会答弁。 公務員 (大臣を含む) が 「決裁文書? あんなもの全部読んでるわけないでしょ?」 などと国民に向かって言ったら、行政の、そして法治国家の体裁はもはや崩壊してる。 身も蓋もないことは (歯を食いしばってでも) 言わないのが公務員の役割であり、責任だろうが。 役人の矜持はどこに行ってしまったのだ?

「決裁文書に書いてあることを実際に決裁者がどのくらい理解しているか?」 はむろんタテマエ論ではすまない話である。 それはたとえば行政組織論、社会学、心理学などの文脈で、専門家が本気で追究すべき課題であろう。 そうした文脈などおかまいなしに、公務員自身が、こともあろうに国会で 「あ、俺、決裁文書の内容なんて理解してないし。 忙しくて決裁文書読む時間もないから」 などと言い始めたら、終わりなのよ。 社会が。

PMDAの審査官が 「ホントは私、薬効評価なんて知らないんです。 だって薬の開発なんて携わったこと、一度もないから。 テヘ」 と言ってたら、終わりでしょ? 実際、そういうことを真正直に人前で話す若手審査官は後を絶たないが、その都度上司から厳しく叱責される (はずである)。 よく知られた話だが、そりゃ叱責されて当然である。

もっとも、本来 「規制当局の人たちって、ホントに審査能力があるの?」 「この数十年の国の医薬品開発支援政策はホントに成果を生んでいるの?」 などと声を発しなければならないのは、ほれ、れぎゅ〇とりーさいえんすとやらの専門家のはずである。 これらの問題は政策科学的にきわめて重要 (誰か否定する人がいる?) だし、評価・対応には科学的なアプローチが必要だ。 が、その手の専門家って、忖度して、その手の重要な課題については何一つ触れないのな。 科学者のくせにタブーがあるなんて情けない。

そうした専門家の情けなさと上述の正直すぎる若手審査官の情けなさは、ニポンの医薬品行政の伝統的な脆弱さの表と裏である。

弱点を克服できないニポンの医薬品規制の世界の底は、いずれまた、抜けるかもしれない。 ここ数十年、数々の薬害事件や不祥事で何度も抜けたように。 しかし、これだけ何度も抜けて、何度も作り直したのだから、ニポンの医薬品規制の底は、他の行政領域よりはしっかりしているはずである。 そう信じたい。 がんばれ、医薬品の世界のお役人。 矜持をもって働いてください。 こんな政治的状況だからこそあえて応援するのがサル的精神。

お役人だけではない。 みんなね、落ち着こう。 自分にできる仕事をコツコツと。

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東大構内ってホントいろんな生き物が生息している。 あ、サル的なヒトは別にして。

数か月前の夜。 帰宅しようと赤門から少し離れた通用門へ向かっていたら、なんだか大きな丸い物体がノソノソとこちらに向かって歩いてくる。 誰かが犬の散歩をさせているのだろうと思い、飼い主の姿を探したが、姿が見えない。 こちとら根っからの動物好きなので、それはそれで嬉しくて 「オーよしよし、こっちにおいで。 おぢさんが抱っこしちゃるぞ」 と思って手を差し出したら ・・・ せ、節子。 こいつ、犬やない。 タヌキや。

でっかいタヌキのようなヤツが、人間様の通路をのっしのっしと歩いておる。 こちらが目を丸くしてる間に、そいつは私の足元10センチくらいのところをすれ違って、構内の奥へと歩き去っていったのであった。 なんと堂々とした態度。 まるで家人トトロを彷彿とさせる体形、貫禄である。

今思うに、あれはタヌキではなくて、ハクビシンあるいはアライグマではないか。 目撃者、他にもいるはずである。 情報ください。

昨日はまた別の生き物が医学部のあたりに。 やはり夜8時ごろ、目の前を横切ったのは、先日のタヌキとはだいぶ違う細長い体形の素早いヤツ。 おおっ、あれは ・・・ イタチかフェレットだ! 暗くて識別ができないけど。 どこかから逃げたか、誰かが構内に捨てたか。

ネズミ (実験室から逃亡したヤツも野生も) は昔から時々構内で見かける常連である。 ワンコは散歩中のやつらが掃いて捨てるほどいる。 野生じゃないけど。 カラスは東京中にいるから別格。 そして、大学構内といえばこいつら。

春になるとデローンと緊張感なく延びるのがニャンコの特徴である。 かわゆいのぉ。

虫さんもたくさんいるぞ。 薬学部のそばの花壇ではクマバチがコロコロと転がるように花粉と蜜を集めてる。

春の大学構内は生き物がたくさん活躍していて、とても幸せな気分。 これで人間という醜い生き物が一匹もいなければどんなに素晴らしいことだろう。

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久しぶりに最後まで安心して見ていられる (つまり、お話としてきちんと起承転結が成立している) ホラー映画に出会う。 「Get Out !」

ここまで見事に人種差別を手玉に取るとは、この監督、相当に腹が据わった偏屈者である。 素晴らしい。 映画の中で、名誉白人扱いされているニポン人の扱いがお見事。 哀れな名誉白人ならではのセリフをニポン人のじいさんが吐いてくれるので、ぜひ皆さんも楽しんでください。 外資系企業で働く人たちも 「あ、これ、私たちニポン人が言いそうなセリフだ」 と気づくと思うよ。

あからさまな差別主義者トランプが大統領になってしまったので、監督がエンディングを差し替えたらしいが、それも見ていてすぐに分かりましたよ。

この映画、特に米国で暮らしたことのある方々におすすめ。 良質の (笑) B級ホラーです。