小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

エスパー伊東に触発されない

私の来年の目標? そんなもん決まってるじゃないか・・・

超能力でスプーンを曲げること

である。

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というわけで、ホントに今年も終わるのである。 1年が早い。 このスピード感だと、5日後くらいには火葬場で焼かれながら 「おじいちゃん、そこそこ長生きしたから幸せだったわね。 ちょっとサル的なヒトだったけど・・・」 などと褒められているのか貶されているのか分からんようなことを身内に言われているような気がする。 ちっきしょー。 千の風になって化けて出てやる。 成仏してるんだかしてないんだか分からんな、自分。

大学は教務スケジュールが厳しいので、年末ギリギリまで当然のような顔をして講義がある。 今年は私も学内外の講義が例年の3割増しくらいで入っていて、軽くイライラする。 が、これでメシを食っているのだから仕方ない。

大学の講義。 学生はつまらないだろうが、教員だってつまらない。 いや、くだらないいちゃもんをつけるバカが溢れているご時世だから正確に言うと 「つまらない講義もあることはある」。

たとえば薬事法。 薬剤師の国家試験で出題されるから6年制の薬学部ではむろん必修科目ですね。 でも、社会の中での役割・使命をもらってもいない学生が薬事法に書かれている製造販売業者の責務だの麻薬原料の取扱いだのと言われても何のことやらさっぱりで、腑に落ちることなどあるまい。 意味も意義もまったく分からず、ただ丸暗記するだけ。

いや、もし薬事法が般若心経並みにありがたい真理か何かを含んでいるのなら、むしろ丸暗記上等である。 でもね、薬事法なんて、2年くらいでローテーションする素人同然の役人でも増改築 (改正) できて、「私は法改正に携わりましたよ。 えへん」 などと自慢できる程度の安普請の代物なのよ。

最近は 「仮承認」 だの 「条件付き承認」 だのと意味不明の仕組みを法律に盛り込んで、 「ニポンが世界に先駆けて」 だのとあちこちで自慢してる方々が多くてめまいがする。 それって 「薬を承認するとは何か」、つまりは 「薬が効く・安全であるとは何か」 の根っこがグラグラで、お役所や製薬企業が基準をどうとでも恣意的に変えられること、つまり日本の薬事法がまともな理論的・規範的支柱を欠いたザル法であることを自ら世界にさらけ出しているようなものなのだが、恥ずかしくないのかね。

その程度の薬事法である。 丸暗記して門前の小僧になったところでご利益などあるわけがない。 あ、国家試験は受かるけど(笑)。

矛盾したことを言うようだが、薬事法というザル法がカバーする 「医薬品の世界」 はとても面白い。 製薬会社や医師や薬剤師や不正を働く悪者や、そんな奴らが縦横無尽に大活躍してるんだもん。 そんなワクワクワールドに狭義の規制 (法律など) や広義の規制 (社会規範を含む) がどう働いているのか、なんていうのは、法学のみならず、経済学(制度論・社会選択論・ゲーム理論)、行政学、公共哲学・倫理など様々な学問が関わる一生モノの興味深い題材である。 私のようなサル的なレベルの教員でさえ教えたいことは山ほどある。 でもね、そんなことは講義で学生には教えちゃいかんのだよな。 国家試験落ちるから(笑)。

だからつまらない講義をする。 あーあ、つまらん。

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もちろん、人類の知とその歴史を伝えられる講義もある。 とても楽しい。 先日の某大学での統計学の講義ではこんなスライド作って一人でニマニマしてたのである。

どう? 楽しいでしょ? 「ぐるん ぐるん」 がキュートだよね。

医学・薬学における 「薬が効く」 の意味がまったく分からん、という重大な懸念 (の一部) を分かりやすく表現するとこうなるわけです。 論理学 (意味論) の体系をいきなり持ち出しても、薬学部の学生なんて (正確には、医薬品業界人 (産官学すべて) なんて) 学問の基礎体力がないからまったく問題の所在を理解できないのだが、さすがにこのスライドを見れば分かるよね。 現在の医薬品評価や規制の言葉に魂 (=意味) がないことに。 薬事法が意味不明のザル法なのも仕方ないってことにも、ほんの少しだけ気づいてもらえるかもしれぬ。

が、世の中は5年や10年では変わらん。 裏リスで豚さんが書いていたが (12/26)、お役所の委員会なんかに鎮座する大御所って若い奴らに席を譲らないんだってな。 超狭いニポンの椅子取りゲームに命をかけるニポンの重鎮たち。 ご苦労なことである。 しかしそのうち年寄はみんな死に絶える。 気長に同士が増えるのを待つとしよう。 しかし自分もジジイになるんだけど(笑)。

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というわけで、皆さん、今年もお疲れさま。 来年もがんばってサル的日記更新しますので、気が向かなくても読んでね。 あなたの周囲のサル的なヒトたちにも熱心にすすめること。

最近みんな気合が足りんよ

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(注 1) ろくにブログを更新しないヒトが言っても説得力がなかったりする。

よいお年をお迎えください。


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博士論文のドラフトを書いているお二人はがんばること。 とにかくがんばれるだけがんばること。 そうしないと先生が死にそうになる。