小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

下ネタに固執しない

ぼく、おしっこちょっぴりもれたろう。

おしっこをするまえかしたあとに、いつもちょっぴりもれちゃうから、いつもおかあさんにおこられる。

・・・ で始まる「おしっこちょっぴりもれたろう」。 トシタケシンスケ著。

いや、前回の記事に引き続き、平成最後の冬をそっちの路線で突っ走る気はないのだが、生協に平積みしてあるこの絵本があまりに素晴らしくて、つい衝動買いをしてしまったのである。

もれたろう君、いろんな人に 「ねぇ、キミ、もれたろう?」 と尋ねるのだが、誰も自分がもれたろうだとは言わない。 中年のおじさんにそう尋ねたら、「なんだキミは。 しつれいな!」 などと怒られてしまったぞ。 かわいそうなもれたろう。

まったくもう。 おっさんって正直じゃないよな。 おっさん歴が長いサル的なヒトがここに断言してやろう。

この世にもれたろうぢゃない男なんているわけなかろうが (笑)

エラソーなジジイも、さわやかな兄ちゃんも、テレビに出てるタレントも、みーんなもれたろう。 ズボン脱いだらみんなパンツに染み付きよ。 で、それのどこが恥ずかしい?

おねいさんたちのもれたろう事情も結構悲惨なものだと聞くが、そっちについては直接尋ねるとぶん殴られるので、誰かこっそり教えてください。

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日曜日の朝、ボーっとしながらTBSラジオ 「安住紳一郎の日曜天国」 を聴いていたら、安住さんがインフルエンザの薬のことを話題に。

「『ゾフルーザ』 って、ドラクエに出てくる魔法のようだよね。『ザラキーマ』 とか」 といつもの安住さんらしく笑わせてくれていたのである。

が、話の途中で突然トーンが変わって、まじめな声でこんな釈明をし始めた。

「先週、飛び降り等の異常行動を薬の副作用と言ってしまったが、間違えていました。 あれは副作用ではありません。 失礼しました」

だって。

おそらくは、その前の週に抗インフルエンザ薬の話をするときに安住さんが薬にはその手の副作用があるとかなんとかしゃべっているのを、どこかの医薬品のプロ、あるいは製薬企業の方々がケチ付けたんだろうな。 「エラい専門家たちが検討した結果、あれは副作用じゃなくなったんです! そんなことも知らないんですか? え?」 とかな。 ご苦労なことである。

もしそうだとすれば、ビョーキだよね。 むろん、ケチを付けた連中が、である。 どこかの誰かにある時に起きた事象について、誰かが 「因果関係あり」 と言ったら副作用になって、誰かがそうではないと言ったら副作用でなくなるのかね。 事象 (あるいはトークン) レベルでそんな判定ができる神様が平成の御代にはいるんだ。 誰かその神様とやらをオレの目の前に連れて来てくれ。 連れてきてくれたら 1000円やるから(笑)。

添付文書に 「因果関係が不明であるが・・・」 とかいうインクの染みを印刷会社が付けたとたんに、異常行動は副作用じゃなくなるんだ。 添付文書のインクからビビビと電波のようなものが出て、100キロくらい離れたところにいる患者の身体に影響を及ぼすんだ。 すげーな、それ。 印刷会社って黒魔術かなんか使えるんだ。 というか、そのインク、確実に薬よりも効いてるぞ(笑)。

ねぇ、薬のプロさん。 「薬に副作用がある」 にせよ 「薬に副作用が無い」 にせよ、その文章がどういう意味なのかをあなたは説明できるのでしょうか? そんな説明、一度も聞いたことがないぞ。

医薬品の専門家連中って、どうやら、個々の事象 (トークン) レベルでは線が引けないのに、概念 (タイプ) としては線が引けるのだと信じているらしいのである。 それって言ってしまえば形而上学 (笑)。(注 1) 宗教と言ってもよいかもしれぬ。 しかし、形而上学 (宗教) には形而上学 (宗教) の役割があるわけで、そうしたレベルでの概念の使用は大いに結構だと思う。

(注 1) ざっくり言うと 「神は存在するのか」 などと同じ領域ってことね。

しかし 「副作用」 というややこしい概念・言葉遣いを、健全な一般人・シロートさんに強要するのは異常であり、ビョーキである。 というか、パブリックヘルス上の実害を生むぜ、それ。 ただでさえ、不安なシロートさんの行動って超保守と超過激の間でブンブン揺れ動くのだ。 その振れ幅をいい塩梅に落ち着かせるのが医薬品のプロの腕の見せ所だろうに、宗教用語を使って逆に火に油を注いでどうすんのよ。

もっと正確に言うと、その辺にゴロゴロいる薬のプロの 「薬の副作用」 という語の認識・使い方は、形而上学・宗教ですらないよね。 「因果関係が否定できない」 だの 「添付文書に記載のある」 だのといった、薬事法ガイドラインの定義を言い換えているだけ。 単なる事務的な決まりごととしか思ってない。 スーパーのレジ打ちのおばちゃんが 「30%引き」 のシールが商品に貼ってあれば何も考えずに30%値引きする、とかいうのと同レベルである。 「ああ、あの薬には 『行動異常』 の副作用がありますね」 と3日前には言っていたのに、添付文書の「副作用:行動異常」 シールをぺりっと誰かが剥がしたとたんに、「ああ、あの薬には 『行動異常』 の副作用はありません」。

そんな言葉尻の定義で善良なシロートさんの健康の実体に影響を与えている、という愚挙をいつまで薬のプロ連中は続けるのかね。 なんとかしようよ。 添付文書 (使用上の注意) の様式を見かけだけ変えて一仕事したつもりになっていても仕方ないのよ。 解決にこの先何百年かかるかは分からん大問題だが、大問題だからこそ、逃げるのではなく、取り組もうよ。 ね。 あんたもプロでしょうが。

安住さんが

「異常行動、あれは薬の副作用ではありません。 私は先週の放送で 「あれは薬の副作用」 などと間違ったことを言ってました。 失礼しました。 あれは薬の副作用ではありません」

と恐縮して何度も説明しているのを聴いていたら、

アメリカ様は素晴らしい国です。 昨日まで 「日本軍万歳、鬼畜米英」 などと間違ったことを言ってました。 失礼しました。 アメリカ様は鬼畜ではありません」

と態度を変節させた昭和20年のニポン人をふと思い出した。 むろん今回の放送では安住さんは悪くない。 変節のセリフを安住さんに言わせた誰かが病気なのだが、たぶんその (正義感の強い) 誰かは自分が病気であることに気付いてない。 それが問題の根っこである。

安住さん、変なこと言わせてごめんね。 まともな薬のプロもまわりに少しはいるはずだから、そういう人たちからもっとじっくり話を聞くことをお勧めします。 番組に呼んでくれれば、サル的なヒトが説明してあげますよ (笑)。