小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

敵を増やさない

へへへ、今日は何の日だ? そう、8の付く日ですね。 8の付く日は ・・・ 東大赤門前の海鮮丼屋さんでスタンプを2個押してくれる日なのである。 さらに素晴らしいことがある。 これまでコツコツとスタンプを貯めてきたおかげで、今日2つスタンプを押してもらうと合計20個になり、なんと1000円分の食券がもらえるのだ。 

でね、お昼ごはんを無事にお店で食べて、貰ってきましたよ。 1000円分の食券。

ここ半年間で一番うれしかった出来事は疑うことなくこれですね。ふふふ。 孫正義とかビルゲイツとかはこの喜びを知らんのだろうなぁ。 かわいそうに。

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相も変わらず訳の分からんことを言うのな、みんな。 ワクチンがらみの名誉棄損訴訟の判決が出たとのニュースがあったので仕事の手を休めて読んでいたのだが、とあるメディアがらみの人が

「判決にかかわらずワクチンの有効性と安全性は揺らぎません」

とか呟いておった。

前から書いているとおり、判決自体に関しては (そしてワクチンそのものに関しても) 私はどっちの味方でもないのだが (で、そういうヤツは日本では両方の陣営から敵扱いされるのだが(笑))、この手の短絡的な言明を見るとイライラするのである。

あのな、あんた、有効性って何のこと? 安全性って何のこと? どちらもまったく定義がない印象だけの言葉である。 もっと正確にいうと、意味が分からない、幽霊のような言葉。 そんな幽霊のようなものが揺らぐも揺らがぬもあるかい。 ナンセンス。

すでに数百回くらいこのブログに書いてきたので長年の読者はもうミニにタコ、いや耳にタコだと思うが、日本の医薬品規制のご本尊である薬機法という法律の規定がそもそも意味不明なのである。 「効能又は効果を有すると認められるときに医薬品を承認する」 って書いてあるけど、その 「医薬品が効能又は効果を有する」 とはどういうことなのかを説明できる人なんてどこにもいない。

「薬が効く」 を説明するには少なくとも因果関係と不確実性 (確率) の意味論が必要になってくるのだが、因果関係戦線はご存知のとおり数千年の興味深い論戦が続いている状況。 確率の意味論は壊滅している (らしい)。 つまり学者としては心ときめく状況なのだが、お役人や素人さんが日常生活で使えるような消費財にはなっていない。 

「(薬が効く) と認められる ・・・」 の方も 「薬が効く」 の難しさとセットである。 業界人は 「あ、承認に必要な臨床試験の本数やデザインのことでしょ? それってもうガイドラインありますよ」 などと言うのだが、そんなくだらん cookbook レベルの話以前に、認識論的なスタンスの問題が (ここにも) あることに社会科学を専門にされている方々はお気づきだろう。

要は、「薬が効く」 という薬機法の要請がどういうことなのかを誰もきちんと (学問として) 説明できないのよ。 安全性とやらについても同様。

「この薬は有効性が示され ・・」 だの 「安全性が証明されている」 だのと大声を出している方々 (政府、学会を含む) って、自分でも何を言っているのかが本当は分からないから、なんかコトが起きるとすぐに 「そこはさ、ほら、サイエンスでしょ? れぎゅらとりーさいえんす、なんでしょ?」 とサイエンス方面に一目散に逃げるんだよな。 真っ先に逃走するのは、いわゆる理科系(医学・薬学系) の専門家たちである。 でもそっちに逃げてもムダだと思うぞ。 だって逃げ込んだ先のサイエンスっていう言葉・概念って 「薬が効く」 の概念と同じくらい難しいんだもん。 難しすぎて科学哲学という学問領域があるくらいだから。 哀れ。 (注 1) 

(注 1) そういえば最近読んだ業界紙で 「(薬価算定時の) 費用対効果評価はサイエンスの世界だ!」 と力説していたおじさんがいたっけ。「サイエンスとは客観性のあるものだ」 などと語っておられたが、客観性という一言で科学の説明がすむのなら科学哲学の研究者たちは皆失業しますね。 あとさ、おじさん、客観性って何? 

いわゆるワクチン擁護派、批判派、お役所、企業、学会、すべての方々の口から盛大に 「有効性」「安全性」 に関する意味不明な言明が飛び交っている。 それらすべてを批判しているわけだから、やはり誰にとってもサル的なヒトは敵なのだろうね。 それで構わんが。 

余談だが、カーっと血が上った頭で思いついたことを脊髄反射みたいにすぐに書き込む twitter って、なんかとても気持ちが悪い。 実名なのに、なぜか匿名の (昔の) 2ちゃんねる並みの腐臭がするのはなぜだろう。 「ばーか!」 「お前こそバカ!」 「お前のかあちゃん出べそ!」 「なにぃ? お前のかあちゃんも出べそじゃないか!」 みたいなやりとりが、自己顕示欲丸出しのプロフィール写真 (昔のお見合い写真みたいだったりする) とともに繰り広げられているのを見ていると吐き気がする。 ・・・ いや、むろん分かってます。 そんな醜悪なもの見なきゃいいのよね。

というわけで、まともで健全な本ブログの読者の皆さんは、脊髄反射で生み出された twitter の醜い応酬など見るのは止めて、作者がじっくり題材を検討し文章を推敲するがゆえに更新がひと月に一、二度にまで減ってしまったサル的日記を、何度も反芻しながらお楽しみいただくのがよかろう ・・・ い、いや、更新回数が減った言い訳をしてるわけではない。

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「運び屋 The Mule」。 クリント・イーストウッドじじい、カッコよかったです。 点数をつけるとすれば、そうね、6億7千万点かな。 つまりサイコーってこと。


クリント・イーストウッド監督&主演!映画『MULE(原題)』US予告【HD】

 

背中が丸まったイーストウッドじいさんの姿がとても味わい深い。 映画の主人公の姿のとおり、年を取るといろんなことに 「腹をくくることができる」 のは私自身の実感としても分かる。 だからこそ、世の中のくだらんことに迎合しない、スジを通したカッコいいじじいにならんとな。

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ショーケン、おかみさんを殴り倒して廃業した北尾、なっちゃこパックの白石冬美さんの訃報を目にする弥生の終わり。 さびしくて夜空を見上げる。