小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

出征兵士を温かく見送ろう

う、うわぁ! 汁が! じる が! おいなりさんのねっちょりした汁がバックパックの中で飛び散っておる! ・・・ などと明らかに気が動転しているサル的なヒト。 コンビニで買ったおいなりさん(3個入り)をバックパックに放り込んで走って学校に着いたら、稲荷汁が漏れてたのである。 買ったばかりの経済学のテキストがベトベトに。 稲荷汁ってぬるぬるでちょっとたまらんぞ。 おいしいけど。

というわけで、皆さんお元気ですか。 涼しくなっていい気分ですね。 キンモクセイの香りがふんわりと外から舞い込む季節。 昨日は空からも匂いが頭上に降ってきた。 東大の構内ではこの季節、銀杏がポトポトと文字通り降ってくるのだ。 頭の上にポトリと落ちてくるビミョーな臭いの銀杏。 今、東大は近所の人たちの入構を禁止しているので、銀杏を拾ってくれるおばさんたちがいない。 なので、大量の銀杏が路上に散乱しているのである。 もったいない。 ちなみに構内を散歩するワンコもいない。

レジ袋禁止も、コロナへの過剰防衛も、どっちもクソくらえ。 と小さな声で呟く。

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コロナ、みんなの辛抱のタガが外れてしまいましたね。 毎晩通勤で通り抜ける繁華街は、コロナ以前の状態にほぼ戻ってしまった。 さらにニポン人って、お上の Go-To キャンペーンに絶賛協力中なんだってな。 みんなニコニコして大口開けて外食したり、密室の乗り物に長時間閉じ込められたりしておる。

誤解してほしくないのだが、私はキャンペーンに反対してないし、キャンペーンに乗せられた連中をバカチャレンジャー呼ばわりする気も毛頭ない。 若くて身体が丈夫で勇気のある人たちが、死にかけている外食産業、旅行産業、そして地方の観光地にお金をじゃんじゃん落としてくれるのは実にありがたいことに決まってる。 ただ、私自身はその手のキャンペーンに協力する気は一切ない。 すまんね。 だって自分、身体が弱くて感染が怖いビビりーなんだもの。 貧乏だから旅行・外食する金もない。

今の気分をたとえるとすれば 「先の戦争で出征兵士を見送る隣組のおじさん」 って感じ。 お上の赤紙一枚 (クーポン券) で召集され、生きて帰れるとは限らぬ戦地に赴く若者に万歳三唱してやりたい。 「お上に協力するのは名誉なことだから精一杯がんばりなさい」 なんて声をかけたりしてね。 内心 「お気の毒に・・」 って思ってるが、むろん口には出さぬ。 無事に生きて帰ってほしいと願ってますよ。

だけど賢明な読者の皆さんは、太平洋戦争と今回のコロナ騒動では大きな違いがあることにもう気づいてますね。 戦中の出征兵士が生きながらえて故郷に戻るときには武装解除されてるけど、コロナ禍で出征する兵士たちの一部は、武装解除どころか、重機関銃でウイルス弾を敵味方関係なくぶっぱなしながら職場や近所に戻ってくるんだよな (笑)。 そこが問題。 まぁしかしそれも仕方あるまい。 なんたって彼らは危険を冒して自ら出征してくれたのだ。 オトナの流儀は、温かい目で彼ら出征兵士を見守ってやることだろう ・・・ 唾が届かない、うんと遠くから。

東京駅や羽田空港で出征兵士を見送るときには、こんな歌を歌ってあげると喜ばれよう。 


<軍歌>出征兵士を送る歌

 

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政治家がここまで愚劣なのは、私たち国民自身が愚劣だからだよな。 サル的なヒト並みに薄っぺらい知性しか持たぬ阿呆が政治家や役人になっている気がする。 ダメだろ、それ。

米国大統領選のテレビ討論会でのトランプの振る舞いに吐き気を覚えてたら、ニポンでも少し前から 「政府の気に入らんことを言う学者はニポンの正統な御用学者に認定しないことにする」 というニュースが。 ハハハ。 純度100% の意地悪、嫌がらせ。 おまえら、小学生かよ。

各省庁のお役人が特定分野の政策や方針を正当化するために、政策を支持してくれる御用学者のみを審議会の委員にするのは日常茶飯事である。 むろんそうした振る舞いは不透明、不公正、醜悪で、かつ当の政策意図の達成の意味からも非効率であることが多いのだが、そこには政策実現の現場ならではの一応の (鼻クソくらいの) 合理性はある。 ところが今回の学術会議委員の決定にはそうした合理性はどこにも見当たらない。 背景にあるのは、権力を持って何かを勘違いした官邸まわりのおっさんたちの 「学者の野郎ども、ちょっと自分たちが賢いと思って、オレら権力者にたてつきやがって。 気に食わん」 という卑小な復讐心だけ (他にある? あるんだったらぜひ教えてください)。 自らの料簡の狭さ、けつの穴の小ささを告白してるだけ。 あーあ、いい年して情けない。 

私のまわりにも (お役所・業界、そして大学にも)、この手のミニ独裁者の腐れオヤジが何人もいる。 「ちっきしょー。 あのサル、若造 (あるいは元木っ端役人) の分際で、このオレ様に逆らいやがって」 と、何(十)年もネチネチと私に嫌がらせをしてくださっているのだが、そいつらにだって、嫌がらせは公には見えぬところで陰湿に行うくらいの知恵はある。 だって衆人環視の下で露骨に嫌がらせしたら、大人物然とした権力オヤジが実はケツの穴の小さい小心者だってバレちゃうもんね (実際そうなんだけど)。 しかし今回の嫌がらせは全国民に公開生中継されておる。 相当にカッコ悪いことになってますよ。

仮に政権の側に立って考えても今回の件はダメダメである。 学術会議のメンバーを見れば (医学、薬学のメンツをご覧ください)、「ああ、なるほど。 いつもの、そういう類の、政府御用達の委員会なのね」 と一目で分かる。 ニポン政府の委員会・審議会なんてすべてそうなのだし、誰も特段気にもとめてなかったのに、官邸自らが火のないところにガソリンまいて放火しておる。 愚かなり。 

政治家も、役人も、専門家も、サルも、国民一丸となってみーんなトランプ並みの愚劣。 芥川先生、この令和の御代、良心を持たぬバカはもはや国民の9割どころじゃありませんぜ。

一国民の九割強は一生良心を持たぬものである。

芥川龍之介. 「侏儒の言葉」)

 

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うっ、ゲロ吐きそう。 そんな気分を味わいたい方におすすめの映画がこれである。 「ミッドサマー」。 遅くなったけど、やっと見ました。

 


『ミッドサマー』本編映像&予告編(15歳未満は見ちゃダメ)

 

うっかりしてたのだが、これってあの「ヘレディタリー Hereditary」 の監督の作品なのである。 「ヘレディタリー」 って 「エクソシスト並みに怖い (つまり、素晴らしい)」 と評判だったので、ビビりーなサル的なヒトはついネタバレ映画評を読んでしまったのであった。 それで映画を見た気分になってしまって、映画館に行きそびれてしまったのである。 不覚であった。

で、この 「ミッドサマー」だが、とにかく気持ちが悪い。 監督は確信犯で観客を 「気持ち悪く」 させようとしてます。 時々登場するグロ描写もそう。 恐怖映画には 「気持ちのいいグロ描写」 と 「気持ちの悪いグロ描写」 があるのだが、この映画に登場するのは典型的な後者。 (注: 前者はたとえば 「死霊のしたたり」 とか。 興味のある方はぜひどうぞ (笑))

うつ病パニック障害のヒトは、この映画見ちゃいけない。 危ないのは、話が盛り上がる後半ではなく、むしろ前半。 映画館で見てたら私も相当にやばかったと思う。 そういう意味での問題がない人はぜひどうぞ。 なかなかの怪作ですよ。 3億点くらいはつけてあげたい。