小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

更新サボってたのにエラソーに語らない

皆さんお元気?

・・・ ん? そこの君は元気がないなぁ。 元気出しなよ。 なーに、どうせ数十年後にはみんな残らずあの世に行っているのだからさ。 あとね、ほんの数十年後には、数人の家族以外、誰一人としてあなたのことなんか一ミリも思い出すことはないのだから。 職場の同僚? 学校の友人? あんたね、そんな連中のことは数十年どころか、数年単位でほとんど忘れちゃってるでしょうが(笑)。 地位や身分なんて関係ない。 東大の構内には昔の偉そうなおっさんの銅像が何十体も鎮座してるけど、あんな気持ちの悪いもの誰も見向きもしないのよ。 ハトの糞を掃除のおじさんが拭いてあげてるだけ。

人間って皆そんな絶望的な人生を生きてるのだから、小さなことでクヨクヨしても仕方ないのよ。

・・・ などと、数カ月ぶりのブログがこんな意味不明な書き出しでよいのかとも思うのだが、いいのよ、これで。 ・・・ いいのか?

 

私の方は相変わらず。

朝、ファミマでいつものおねいさんに 100円のコーヒーを淹れてもらいながら、映画の Dirty Harry の砂糖たっぷりコーヒーのシーン (下の YouTube をごらんください) を思い出して 「フフフ」 と笑ったり、

昼、生協食堂で新メニューの中華旨煮(うまに)丼を食べながら、「前からあったフツーの中華丼の方がうまいのに。 生協さんってどうしていつも斜め上に逝っちゃうんだろう?」 と不思議に思ったり、

夜、大声で喚(わめ)きまくる阿呆どもで溢れかえる渋谷の街を歩きながら、「少し前の静かな渋谷の方がずっと良かったぞ」 と力なくつぶやいたりしておる。

醜い政治家どもや騒がしい芸人が出てくるテレビ番組はすぐに消す。 ラジオで聴くのは Jet Stream(東京FM 12:00-。 福山ましゃ兄の思い入れ過剰なナビゲーションが楽しい)とジャズ番組のみ。  

要は、グラン・トリノ(Gran Trino) でクリントイーストウッドが演じたウォルトのような頑固ジジイをひたすらに目指す毎日なのである。 我ながらかっこいいぞ。

 

・・ い、いや、正確にはラジオのニッポン放送 「鶴光の噂のゴールデンリクエスト」 は欠かさず聴いておる。 70歳を超えた鶴光師匠が、40年ほど前に流行させていた品性下劣なギャグ (例: ○頭の色は何色だす?) をいまだに炸裂させているという驚くべき番組なのである。 これを聴かずして何を聴くというのだ。 

 


www.youtube.com

 

上のシーンでは、40年前の男子の 83%が真似したと言われている名台詞、

' Go ahead. Make my day.'

(人質を撃ってみろよ。 そうすりゃ、お前を射殺してすっきりできる。)

が登場。

僕がまだ大学生だった頃、教養学部の英語の先生がこのセリフを知らず (米文学の先生。 この手の流行ものの映画を見るセンセーではなかったらしい)、新聞記事を取り上げた講義で ' Make my day ! ' についてピント外れの解説をしていたので、「センセー、これって Dirty Harry のセリフ。 はやり言葉ですよ」 と指摘したら不愉快な顔をされたことを思い出す。

 

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最近、涙もろくなっていかん。 コロナ禍で世の中みんながうつ病っぽくなっていると言われているが、サル的なヒトの場合はそれに老化も加わる。

Jet Stream の冒頭の JALのコマーシャル (短縮版をテレビでも流してますね) で毎晩ボロボロと涙がこぼれる。 コロナ禍で会えないおばあちゃんと孫の電話での会話。 JALのやつら、CMになんか妙な細工してるんじゃないかと思えるくらい涙が止まらないのである。

最近始まった連続テレビ小説 「カムカムエヴリバディ」 で、主役の女の子が古い大きな真空管ラジオを前にして、意味もよく分からない英語講座をうっとりしながら聴いているシーンでも涙が出て、家人に爆笑される。 『アメリカ』 への素朴なあこがれが今でも自分の中にくすぶっているのである。 浜田省吾の 「アメリカ」 の世界。 笑わば笑え。

まぁその辺までは泣いても許されよう。 ヒトに人生の歴史あり、ってなもんだ。

しかし、モノには限度がある。 あるテレビ番組で、はらみちゃんという女の子が 「アンパンマンのテーマ」 を長調から短調に変えて即興ピアノ演奏してくれたのだが、それを聴いているうちに涙がこぼれ始めてしまった。 悲しげなアンパンマン(笑)。 これでは世界の平和は守れないぞ。 どうするんだよ、アンパンマン ・・・ などと思案しているうちにとても悲しい気持ちになってしまったのだった。 これは完全にビョーキである。 自分でもそう自覚せざるを得ないのである。

 

*****

 

11月27-28日に開催される恒例のシンポで、今年もこんな感じの話をします。 要旨を勝手に転載。 興味のある方はぜひご参加ください。 僕の話は冒頭10分くらいだけど。

 

母さん、「ニポンのドラッグラグは解消した」とか言ってた能天気なおじさんたちはどこに行ったのでしょうね

 

小野俊介

 

前略

 コロナが未だ心配ですが、母さんお身体お変わりありませんか。 テレビに新聞に週刊誌に国会にとお忙しい K先生の 「現場からのシンポ」 も 16年目を迎えるのですね。

 コロナ禍以前、政府・業界のおエライさんの講演は「ドラッグラグが解消されつつあります」という枕詞で始まるのが常でした。 「あんたら気は確かか?ドラッグラグが解消するわけなかろうが」 と主張してきた某大学のサル的なヒトは奇人扱いされ続けてきたのですが、どっちが正しかったかはもう明らかですね。

 コロナ禍でニポンとニポン人の実力が見事に露呈しました。「新薬やワクチンのことなら大丈夫!ニポンは欧米と同時に新薬が使える安心の先進国だからまったく心配する必要ないよ」 などという与太話を信じてる人はさすがに絶滅したと思うのですが、もしかしたら霞ヶ関日本橋あたりにはいまだにゾンビのように生き続けているのかも。

 業界人が勝手気ままに臨床試験をやって、当局が勝手気ままに承認を与えたり与えなかったりしてきた新薬承認文化もコロナ禍で一斉にあだ花を咲かせました。 令和元禄、百花繚乱。 お上と裏でにぎってたはずなのに最後にハシゴを外された気の毒な方々もいたりして。 おかげで「承認審査は神事」という事実を国民のほとんどが知るところとなりました。 素晴らしい。 母さん、今や一憶三千万人が新薬承認のプチ専門家です。

 専門家といえば米国では、アルツハイマー病薬の承認をめぐる政府のテキトーな決定に抗議し、諮問委員を辞めた科学者がいましたね。 お上まわりに侍(はべ)り、お上の寵愛を受けることに命をかけるニポンの医学・薬学の専門家たちの文化とはだいぶ違うようです。

 研究開発政策をめぐるニポン人の意味不明なスタンスも相変わらず。 つい先日も、中国に研究拠点を移す研究者の大先生を政治家のおっさんがこき下ろす光景を目にしましたが、世界のR&D市場(医薬品を含む)における日本と中国の現在の力量を根本的に誤解してるのではないかと心配です。 いまだに「新薬開発の目利きを集めて政府が音頭をとればなんとかなる」と喚き続けている人たちが霞ヶ関や大手町にはたくさんいるから。

 しかし、あれこれ言ってみたところで僕たちパンピーは蚊帳の外。 在宅勤務が標準になり、ネットの視聴者参加番組(講義、会議)を自室で視聴して今日も一日が終わります。 「K先生、あちこちに出てるなぁ。いつも怒ってるけど疲れないのかなぁ」 なんて呟きながらディスプレイを眺めてますが、ネット接続を切れば別世界。 薄汚れたお布団と生乾きの洗濯物に囲まれた僕の部屋。 どちらがホントの世界なんだろ? 
 

 母さんも引き続きコロナに気を付けてください。

 

草々

 

追伸
国産ワクチンとやらがそのうち出てくるそうで、ニポン国民が皆大喜びしてるのだそうです。 国産っていうくらいだから、外国産とはまったく異なる素晴らしいワクチンなのでしょうね。 中国産うなぎと国産うなぎくらい違うんでしょう。 きっと。

 

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やる気と興味のある方はぜひご応募ください  ・・ あ、いや、やる気はそんなには要りません。 なんせ講師自身が 「うう ・・  世界が青く見える。 土曜日の朝ってどうしてこんなにテンションが上がらないんだろう」 などと講義の朝に寝ぼけ眼でブツブツ言ってるくらいなので (笑)。

ちょっとした好奇心と、今の業界や規制への素朴な疑問(例: 「規制当局の連中ってどうしてあんな変なこと言うんだろう?」 とか 「製薬企業でエラソーにしてる方々って、どうしてあんなに短絡的に自分たちが善いことをしてると信じられるんだろう?」など) を持っていればOK。

ホントは、そういった素朴な疑問を一切持たない社畜的な方々にこそ聞いてもらいたい講義なのですが、そういった連中はそもそも私の言うことになど耳を貸さないし、このブログなんぞ読まぬからなぁ。

参加したい方は、氏名・所属・簡単な楽しい自己紹介を添えて、東大・薬・医薬品評価科学教室のホームページにある事務局アドレス

prstokyo あっと mol.f.u-tokyo.ac.jp

まで。

 

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というわけで、どうせ数十年後にはあの世に行ってしまう僕らであっても今日明日とやることは結構あるのだから、元気だして生きていきましょう。 ほれ、あなたのまわりのあの人、この人、そこのワンコ、ニャンコの幸せのお手伝いをしてあげればそれでOK。 それでもさびしくなったら、ブログへのコメントでも入れてください。 一番さびしいのは、結局、サル的なヒトだったりする(笑)。