小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

マトリョーシカに激突しない

いやぁ、すまぬすまぬ。 なんとなく日々をのほほんと暮らしていたら、前回のエントリーからだいぶ時間が経ってしまった。 皆さんお元気ですか。 無料なんだから怒らないでね。

いや、本当のことを言うと、例のアレだったのある。 アレ。 スケジュール帳が真っ白の状態。(なんのことかわからん人はこれ読んでね → 寒いから、ま、こんなもんで - 小野俊介 サル的日記)  本業 (学生さんの研究指導) があまりに楽しく、忙しすぎて、金を一銭も払いもしない読者の皆さんのことなんぞすっかり忘れてしまっていたのだ(笑)。 

社会人学生さんの一人が薬の有効性と関係する諸要因を分析しているのだが、その分析の中で見事な collider (因果関係論でいう二者の関係をブロックする因子。 擬似的な関係が成立してしまったり、あるいは元々の関係にバイアスが発生してしまう) が出てきたので、楽しくていろいろ遊んでしまっていたのであった。 回帰分析を商売のタネにしているプロには常識ではあるが、collider が存在する場合の結果の解釈はややこしく、せっかくの新発見がぬか喜びであることに気づかせられたりするのだが、でもね、自分たちがやっている研究の中での collider の発見自体が結構楽しいのよ。 ムフフ。 変態かもしれない。

ちなみに、いつも例に出すモンティ・ホール問題 (これ → 暑いから、クイズでお茶を濁そう - 小野俊介 サル的日記) にも collider 構造が出てくる。 司会者によって collider の情報が提供されることで、もともと選んだ箱(X1) と 賞品が入った箱(X2) の関係(というか、ここでは嬉しい情報)が発生してますよね。 おわかり? 

人間の頭って、このパターンの (因果) 関係を認識するのがとても難しいようにできているらしい ・・・ などという認知心理学の研究もとても面白いのだが、この話は今日はこの辺にしておこう。

*****

今朝テレビのニュースを見ていたら、キャスターが 「4人が誤認逮捕」 って真剣な顔をして言っていたのである。 よにんがごにんたいほ。 そりゃ大変なこっちゃで。 悪い人の方が警官よりも一人多いぞ。 でもさ、激しい逮捕劇の中で、その悪人の一人は、残りの4人が捕まるのを見て観念しちゃったんだろうなぁ、きっと。 本当はさ、その人、根っからの悪人じゃあないんだよ ・・・ などと考えてしまったわけである (ここまで 0.6秒)。 楽しいぞ、この光景。

で、「あ、あのさぁ、よにんがごにんたいほ、だってさ。 フフフ」 と傍らに鎮座する家人に向かって目を輝かせて呟いたら、「だから何なのよ?」 と撃墜される。 うーむ。 この面白い状況があんたにはどうしてわからないんだよ(怒)。 もどかしいぞ。

つい先日、オリンピックのスノボのスロープスタイルという新しい競技がありましたね。 なんかいろんな障害物があるコースをジャンプしたりするやつ (←なんと大ざっぱな説明だ)。 障害物の一つにマトリョーシカのでかいのがあって、解説者によると 「それをスタイリッシュに(笑)使うと点数を上がる」 んだそうですね。 手で触ったり、ボードでチョンと触れたり。 ふーむ ・・・ でもさ、一番かっこいいのは、マトリョーシカに激突するパターンではなかろうか? 激突して鼻血を出しながらも、必死で競技を続ける選手がいたら、俺なら感動のあまり最高得点つけちゃうもんね。 いや、大阪出身の選手ならその絵をむしろ積極的に狙うでしょ、・・・ (ここまで 0.72秒)。 

マトリョーシカに次々と激突する選手たちの姿を想像すると笑いが止まらなくなってしまった。 隣に座って競技を見ている家人に、

「あ、あのさぁ、この選手たちがビターン!とど根性ガエルのピョン吉みたいにマトリョーシカに張り付いたらどうなるんだろうね。 マンガみたいにペロペロになって、ヒラヒラ飛んでいくのかなぁ。 フフフ、フフフ 愉快だねぇ」 と呟いたら、「そんなバカなことは誰も考えません」 と瞬殺。 うーむ。 どうしてこの面白い絵面 (えずら) がわかってもらえないんだろう。

妄想癖があるほうが、人生は楽しいと思うぞ ・・・ たぶん。

*****

昔は良かった、と呟くおじいさん・おばあさん。 皆さんも、会社の部下や若手社員に 「我々が新人の頃はこんなにひどくなかったぞ!」 なんてグチグチ言ったり、心の中で思ったりすることがあるでしょ? そういう方にお勧めなのがこの本。

「昔」をどのあたりに設定するのかが人によって違うのだが、著者は戦前 (第二次世界大戦前) あたりの日本人のマナーを紹介する。 これがすさまじい。 電車内のマナーなんぞ、今の50倍はひどかったらしい。 車内でお化粧をする若い女性は当時からいて、「こんな恥知らずな行動は、昔は無かった」 と当時の良識あるおぢさん・おばさんたちが嘆息する ・・・ という構図である。

私のまわりの学生さんを見ていると、今の若者は本当に素直で、真面目で、良い子たちだと思う。 親の教育・しつけも確実に行き届いているのがわかる。 彼らと比べると、私たちの世代ははるかにサルっぽく、野蛮だった。 バブルというくだらん世相もあったし。 でもね、それが分かっていても、おぢさん・おばさんは 「近頃の若いもんは・・・」 と愚痴をこぼしたい生き物なのだ。 許してちょうだいね。