小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

バナナはどこへ行ったかな

この2年半にわたって、人生の様々な局面に応用可能な教訓や有用な科学的事実を読者に提示してきたこのサル的日記。 人類の知の構築に役立っているのではないかと思う。 自分でそんなことを言うのもなんだが、誰もそうは言ってくれないから、自分で言うしかないのだ。 薬効評価における目的の不在、学問における立場主義の陥穽、承認審査における意思決定の歪みなど、本ブログが指摘してきた教訓・事実は数え上げればキリがないわけで 「自分で自分を誉めてあげたい賞」 があったら自分を推薦したいくらいだ。

しかし、それも昨日までの話。 こうした数々の実績のすべてがあっという間に霞むほどの 「真実」 を私は偶然知ってしまったのである。 この真実、そしてこの真実がすべての人々の人生に与える影響の大きさに思いを馳せたたとき、感動のあまりしばし呼吸ができなくなったほどだ。(注 1)

(注 1) 本筋とは関係ないのだが、夜、仰向けに寝ると、時々呼吸が止まっていることに自分でも気づくことがある。 喉が詰まった感じで。 「んがっ!」 とかいう音と共に呼吸が再開するときは心底ホッとする。

出し惜しみしたいくらいだが、読者思いがサル的なヒトの取り柄である。 ここにその真実を紹介しよう。

「人間は遺伝子の40%をバナナと共有している」

・・・ あはははは。 あんたも私も40%くらいはバナナだってさ。 ほら、鏡を見てごらんよ。 飲みすぎてちょっと肝臓やられた感じの黄色い肌とか、どうやっても消えなくなったお肌の黒いシミとか、しゃくれた感じの顎のあたりとか、なんとなくシュガースポット出まくりの完熟バナナそっくりではありませんか。

どうですか。 この事実を知ると、人間のやることならたいがいのことは許してやろうか、という気持ちになりませんか。 「あの憎たらしい部長め、どうして俺の出張だけ認めないんだ!」 とお怒りのあなた。 仕方ないのよ、だって部長の40%はバナナなんだから。 ね、バナナの判断なんか、たかが知れてるさ。

「○○先輩、どうして私にだけ辛く当たるのかしら。 何か私に落ち度があったのかしら ・・・」 なんて悩んではいけません。 だって○○先輩って、大雑把にいえばバナナなんだから。 甘くて、柔らかくて、栄養満点なんだからさ。

ほら、そう考えていけば、私たちの周囲にいるわけのわからん傲慢なおっさんたち、言うことを聴かない不愉快なあなたの部下たち、みんな許せる気がしてきませんか。 だって、そいつらみんな結構な割合でバナナなんですよ。 バナナの言うことに目くじら立てなさんなって。

イライラしたら 「♪ バナナン、バナナン、バナナ。 人間ってだいたいバナナ」。 これを3回呟こう。

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バナナの話 (p35)だけではない。 もっといろいろためになる面白いエピソード満載の本がこれ。

双子の遺伝子――「エピジェネティクス」が2人の運命を分ける

双子の遺伝子――「エピジェネティクス」が2人の運命を分ける

流行のエピジェネティクスの一般人への啓蒙書である。 といっても、内容は全然固くなくて、「一卵性双生児は、顔はそっくりなのに、様々な身体的・精神的特徴において相当に違いまっせ」 という単純明快なメッセージを、従来の双生児研究の成果に基づいて紹介した本。 

遺伝子の配列がわかったくらいでは、ヒトはまだまだ神様にはなれないのですね。 何よりも素直にそれが嬉しい。 また医薬品関係では、有名な例のハワイの日系2世・3世研究をさらに続けていく必要があることもわかる。 環境が変わると人間の身体も変わるなんて (当然ではあるけど)、楽しくてワクワクするなぁ。 地球上のいろんなところで、いろんな暮らしをしてるもんねぇ、人間って。

・・・ あれ、そこでイヤーな顔している人がいるぞ。 ああ、あなたは製薬業界人だね。 あなたの業界では、顧客は遺伝子の配列で説明できないと困るらしいね。 地理的要因とか環境とか宗教とか信念とかで身体が変わってもらっては困るのね。 でもさ、神様は世界を製薬会社のために創ったわけじゃあないんだから。 そんなところで不機嫌な顔をしていないで一緒にワクワクしましょうよ。 費用の観点から (笑) 人類を、そして社会を一色に塗りつぶしちゃうような、そんな料簡の狭い製薬産業では、顧客からの本当の尊敬は得られませんぜ。

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昭和中期型ロボ、福山雅治が例によってカッコつけて出演しているNHKスペシャル 「ホットスポット 最後の楽園 season 2」 (これね → NHKスペシャル ホットスポット 最後の楽園 season2) を見てたら、この地球には樹齢3000年のメタセコイアなんていうおそろしいヤツが生きているのですね。 うーむ。 3000歳。 孔子とか、クレオパトラとか、イエス様とも話をしたのかもしれん。 すご過ぎて、もう訳がわからん。 参りましたというほかはない。

メタセコイアさん。 3000年の間、あなたが見てきた光景について少しばかり話をしてはくれまいか。 ところで、人間というサルは、もう少ししたら滅び去ると思いますか?