小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

久しぶりなのに業務連絡から始めない

久しぶりなのに、まず業務連絡で申し訳ない。

 

毎年恒例の大学院 (薬学系研究科) の入試説明会が 5月7日(土)13:00- に開催されます。現地会場と Zoom の併用です。 参加するには事前登録が必要です。 希望者は東大薬学部のHPから5月5日(木)までに登録をお願いします。 とのことです。

説明会で各研究室に与えられる時間は3分しかないので、それを聞いただけで研究内容が理解できる人は、残念ながら誰一人いないだろうなぁ。 説明会の後できちんと詳しい話を聴きたい方は、遠慮なくオフィス(薬学部本館2階、206号室)に直接お越しいただくか、Zoom で。  5月7日(土)当日でも、後日別途でも OK。

 

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というわけで皆さんお元気ですか。 サル的なヒトは毎朝 NHKの朝ドラみてチムどんどんしております。

主人公たちの貧乏具合を見てると、なんかしんみりと涙がこぼれてしまうのよ。 私自身がまごうことなき貧乏人の倅なので、子供の頃に欲しいものがあっても親に 「あれを買ってほしい」 と言った記憶は一度もないのである。 もちろん欲しいものはたくさんあった。 皆が着てるトレーナー (と称する服) だとか、アディダスとかのスポーツバッグとか、ラジカセだとか。 だけど、親には言えぬ。 「○○が欲しいなぁ」 と口に出してはいけないのである。 貧乏家庭の子は黙って我慢する。 自慢でもなんでもない。 貧乏だから、何も言わずに我慢する。

ぜいたく品どころか、必需品だって我慢する。 中学校のときなんか全校生徒数百人の中で僕だけ違う色の体操着(ジャージ)を着ていたのである。 色だけではなくて、ジャージに入っている白線の数も違っておる。 みんなは白線3本、僕だけ2本(笑)。 うちの親、学校指定の体操着販売店スポーツショップ)ではなく、安い衣料品店で特売のジャージをテキトーに買ってくるからそういうことになる。 だけど、それを買い直してほしいなどとは言わない。 我慢する。

「おいおい、そんなやつ、今なら即いじめの対象になっちゃうぞ ・・」 と心配してくれる心優しい読者もおられよう。 安心してください。 当時だって立派にいじめの対象である(笑)。 ちょっと勉強ができたものだから、完璧にいじめ・嫌がらせの対象。

オトナになって、就職して、公務員並みの給料はもらっているわけだが、日銭は稼げていても貧乏に変わりはない。 資産と呼べるものが一切ない都会の乞食だからな。 骨身に染みついた貧乏性が抜けることは決してないのである。

数か月前、腕時計が壊れてしまった。 腕時計は教員には必需品。 むろん代わりが必要なのだが、何万円もするものを買う勇気がなかなか出ない。 で、今どうしてるかというと、嫁さんの女性用のかわいい腕時計を着けておるのである。 女性用の腕時計ってちっちゃくて、頼りない。 当然これもまた安物だから、金属ベルトをカチッと腕に留めるところのつくりがいい加減である。 留めるときに時々皮膚をがっつり挟んでしまい、「うぎゃあ!」 と叫んでいる。 けど、まぁいいのだ。 時計なんて、時間さえ分かればそれでいい。 だって貧乏なんだから。 貧乏は不便で時々ちょっと痛いが、なんら恥ずかしいことではない。

そんなサル的なヒトなので、チムどんどんに登場する娘さんたちには過剰に思い入れを抱いてしまう。 今朝の回、良子ちゃんが新品のブラウスを家族に内緒でこっそり買ってしまったことを泣きながら謝っていた姿を見て、またも涙が。

 

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前回の薬剤師国家試験の問題をチェックする。 毎年恒例のことだが、全ての大学の薬学部の先生が試験問題の出来・不出来を確認し、問題点や感想を厚労省にフィードバックしているのである。

講義をやっている関係上、私は薬事関係法規などの問題を解いてみる。 今年は少し易しかったような印象だが、難しさのレベルも質もまぁこんなものかなと思う。

ただ、いくつかの問題文の日本語のぞんざいさ、テキトーさが気になったのである。 たとえば、「製造業者・製造販売業者・卸・薬局・患者 の間の取引の中で、薬価どおりの取引はどれか」 という問題(問77)。 出題意図は分かるが、「『薬価どおりの取引』ってなんだよ、それ」 と突っ込みを入れたくなる。 経験的事実を問うているのか、制度(に伴う義務)を問うているのかの区別がつかない意味不明な表現なのだが、出題者(と問題をチェックした人たち) は日本語を母国語とする者として気持ち悪くなかったのだろうか、とむしろそっちが不安になる。

プラセボとワクチンの接種後の成績から 「このワクチンの増分費用効果比 (ICER) を求めよ」 という問題(問150)も、「いや、あんた、『このワクチンの ICER』 ってなんだよ、それ。 比なんだから 『プラセボに対するこのワクチンの ICER 』 とちゃんと書かないと意味不明だろうが。 さほど面倒なことでもあるまいに」 と思う。 ICER がプラセボとの比較のみで定義されるなんてナンセンス。 ちなみにこれって、「有効性」 の意味を一ミリも定義せずに 「この薬の有効性が示された」 と書くことに何の違和感も覚えない現在の業界人の鈍感さとまったく同じ臭いがする。

こうした気持ち悪い問題文がはびこるのは、単に出題者が横着なせいだけではあるまい。 ニポンの業界人 (産官学すべて)たちがふだんこうした概念をいい加減に・テキトーに使っていることの現れだと思うよ。 なんだか情けない。

 

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ロボット漫画の「PINO」、とてもよかったです。 心を持ってしまったロボット(AI)が、ほとんどの人間がろくな心など持たないこの社会でどういう目にあうか、のお話。 おすすめですよ。

何年か前に紹介した 「ロボ・サピエンス前史(上・下)」 とテーマは似ているけど、「PINO」 の方がストーリーが分かりやすい。 村上たかしセンセーだから。 でも「ロボ・サピエンス前史」 も感動的なマンガだから、未読の方はこの際一緒に読まれてはいかがでしょうか。 

 

 

 

東大キャンパスは、本郷も駒場も子供たちがだいぶ戻ってきて、にぎやかになってきました。 子犬みたいにうるさくてイライラするけど(笑)、それはそれでなんだかとてもうれしいのである。 一方で、相変わらず部屋に閉じこもらされている在宅勤務の医薬品業界人たちの前頭葉が、5年後、10年後に縮小していないことをお祈りします。

 

さて連休だ。 のんびりしましょう。

じゃまたね。