小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

ヘッドハンター

加齢と環境の影響により、頭は呆け、集中力・持続力は衰え、おまけに社会常識と良識は日に日に失われていく、という辛い毎日を送っているが、そんな私にも、時々、いわゆるヘッドハンターから電話がかかってくる。 「製薬企業で働かないか?」というありがたいお誘いである。 外人さんが多いが、日本人の時もある。 

先日も、外人の女性ヘッドハンター(以下HH)から電話があった。 以下の会話は英語だけど、翻訳します。

HH: 「オノさん、あなたはいろいろな領域の知識をお持ちのようですね」
私: 「いや、それほどでも・・・(ちょと嬉しそうなサル的な顔で(笑))」
HH: 「オノさんのような方を求めている製薬企業と医療機器の会社がいくつかありますよ」
私: 「ほぅ、そうですか。 興味あるなぁ」
HH: 「一度、我々のインタビューを受けてみませんか?」
私: 「うーむ。 今すぐというわけにはいかないけど、そのうちね」

ここまでは、よくあるいつものパターンである。 しかし、今回はここから先が通常のパターンとは少し違った。

HH: 「ところでオノさん、あなたは、これまでどのような仕事をしたことがあるのですか?」
私: 「・・・ は?」
HH: 「だからぁ、あなたがこれまでどの製薬企業で、どのくらいの期間働いていたかを教えてください」
私: 「・・・ は?」
HH: 「(イラっとしながら)『は?』じゃなくて、オノさんあなた、この業界で働いたことがあるんでしょ? それを教えてくださいよ」
私: 「・・・ すんません。 ボク、製薬企業で働いたことありません ・・・」
HH: 「・・・ は?」
私: 「だから、ないんです、業界の経験 ・・・」
HH: 「・・・ は?」
私: 「・・・ すんません。 私は 1989年に大学を卒業して、厚生省に入って、なぜか宇宙ロボットの開発やって・・・(ひととおり、私の職歴を説明)・・」

あいやー。 なんと驚いたことに、このヘッドハンターは私のバックグラウンドを全く知らずに、誘いの電話をかけてきているのであった。 なんとも光栄というべきか、それとも、なめられているというべきか(笑) 

電話を切った後、この業界には 「俺はこの業界の要人なんだぞ」 「私を知らないなんて、あんた業界のモグリだわよ」 といった勘違いをした自称「大物」がうじゃうじゃいるから、もしそういう自称「大物」にこんな電話をかけたらきっと修羅場になるだろうなぁ、などと想像すると、なぜか愉快な気分になったりして。 (2012-06-04 - 小野俊介 サル的日記 も読んでね。)

あるいは、例えば私が、たまたま製薬企業の本社敷地の植林を担当した庭師であることが電話で話しているうちにわかったら、このおねいさんはどんな顔をするんだろうなぁと妄想したりして。

情けないことなのだが、このサル的な人は、職業人人生で屈辱的ないじめを数多く経験しているおかげで、自尊心や人間の誇りがかなり擦り減っており、この程度の出来事では嬉しくも悲しくもならないが(注)、ただ、「このヘッドハンティング会社、これで生き残っていけるのだろうか?」と心配になったのでした。

(注) ウソです。 本当はブログのネタができたので、嬉しくなりました。 すみません。

この話を友だちの業界人にしたら、「そういうヘッドハンターって、珍しくもなんともないよ。 小野さんは大学にいるから、さすがに経歴調べてから電話する奴らが多いんだろうね」 とのこと。  なぁーんだ、そういうことね。 ヘッドハンティング会社の人たちって、歩合制・成果主義だから、電話で話してナンボ、面接までこぎつけてナンボ、契約締結してナンボ、という世界なんだそうですね。 つまり、今回のケースでは、

(1) HH: よし、名簿に載っている順に電話するか。 最初は、このサル的な名前のおっさんからね。
(2) HH: しめしめ、電話がつながったぞ
(3) HH: このサル、自分の職歴をべらべらと全部話してやがんの。 無警戒っていうか、頭わりーっていうか・・・ 

と思われていたわけか。 心配されるべき阿呆は、むしろ私の方だった(大笑) ヘッドハンターのねーちゃん、good job や。 職場にかかってくる不動産の悪徳電話セールスよりもずっと悪辣だぞ(笑)

しかしまぁ、こんなにユルーい感じで医薬品業界の方々の転職市場が成立していると世間の人々が知ったら、「医薬品のプロ」とか「新薬開発の専門家」とかいう看板に対する目がちょっと厳しくなるかも、と思ったりする。 いや、そんな看板を一般人が信じていると思うこと自体が、すでに過去の幻想かもしれんなぁ。

皆さん、頑張って良い転職をしましょうね。 同じ会社で働くことになったら、いぢめないでね。