小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

晩秋の一日の感慨など

寒くなってきました。 皆さん元気でやってますか? 例の「借用書」 を職場のパソコンでふざけて作ったりしてるそこのあなた、廊下に立ってなさい。

昨日は都内某社さんでも新たに出張講義開始。 どの会社でもそうだが、まずは道徳原理の樹から始めます。 皆さん目を白黒するが、ここから始めないとこれまでの自分の 「バカの壁」(by 養老先生) を乗り越えられない。 また、倫理に関する若干の知識がないと、あなた自身の意見を、理屈を踏まえて正当化して、相手に伝えることができないのです。 つまり倫理って、意思決定や意思伝達の技術という意味合いもあります。 武田の社長が外人さんになるこのグローバル化のご時勢、医薬品ビジネスにおけるそうした技術の重要性はますます高まってます ・・・ なんだか機を見るに敏なコンサルのようなことを言ってるな、自分(笑)。 一銭にもならないのに。 

いつも申し上げているが、私の講義は所詮欧米のビジネススクールや公衆衛生大学院のそれの(劣化版)焼き直しに過ぎない。 残念ながら。 でも (だからこそ) 内容はちゃんとした学問・教科書に基づいてます。 ご安心を。

受講生の一人でも二人でも 「学ぶことの楽しさ」 と 「学問によって正当化された自分の意見を、自分の意見として、つまりちゃんと世の中に顔を出して、胸を張って語る喜び」 に気づけばよいと思います。 40代でも50代でも60代でも遅くはありませんよ。 若くしてすでに向学心を失った人、職場の限られた仲間内でしか自分の本心を語れない可哀そうな人も多いのです。 残念だけどこれもまたご時勢。 そういう可哀そうな社会人を一人でも救いたいというのも、一銭にもならず、時間を食うだけの研修を仁義ベースでお引き受けする理由の一つ。

楽しく頑張りましょう!

・・・ と思っていたら、受講生から前回のブログに早速コメントを頂いた。 経済学の枠組みを治験というサービスの生産・取引に適用するとどうなるか? についてのきわめて核心的な質問である。 はっきりした問題意識を持って、それを自分の頭で必死で考えてやろうじゃないか、という熱意が見えるのが素晴らしい。 講義やってて良かった、と思えるのはこういう反応をもらった瞬間である。 嬉しいなぁ。 本当に嬉しい。

確かに質問の文面からみて、STATister さんは今の時点で経済学の体系を深くはご存知無いかもしれない (怒らないでね)。 でもね、素晴らしいのは、あなたが自分自身で問題意識を明確にして、それを他人任せにせずに自分の頭で考え、自分で考えた手段で解決しようとしているところです。 世の中には、STATister さんとは逆のヒト、すなわち分からないこと・納得できないことがあると、それを無視して見ないようにしたり、逃げたり、あるいは逆切れして分からないことを語る他人を攻撃するような輩の方が多いのですよ。 質問には、規範的 normative な部分(べき論)と実証的 positive な部分(そうなっている) の両方が含まれているので、講義では概念としてそれらを区別して理解できるようにしっかり説明しますね。 乞うご期待。 

*****

岩手に住む旧友のK君から近況とともに懐かしくも心温まる写真を送ってもらった。 「今、家の軒先で干し柿つってますよ」 とのこと。 そうそう、田舎ではそういう時期だ。 

せいぜいが気温と落ち葉、そして人工的な催し物 (例えばバカ騒ぎするだけのハロウィーン) でしか季節を感じられない都会のネズミとしては、こうした便りが本当に嬉しい。 K君は子供の頃の友人。 ここ30年ほど直接会ってすらいない。 このブログの読者の多く (そして私も) が憑りつかれている仕事だの、人脈だの、学閥だの、ネットワークだの、そういう生臭い欲得がらみとは一切無縁の関係だ。 単なる子供の時の友だち、それだけで続いている関係。

彼は僕のためだけにわざわざ家の外に出て、干し柿の写真や懐かしい近所の堤防の季節写真を撮って、ときどき僕に送ってくれる。 facebook のような自己顕示欲が透けて見えるところにアップするとか、そういうのではなく、ただ僕のために写真を撮って、それを僕に送ってくれる。 だから僕も、大事に大事に、何十分もその写真を見つめる。 写真をじっと見つめていると、彼の優しさに涙がこみあげてくる。

K君、ありがとね。 会いたいねぇ。 田舎はシャッター通りや就職難で大変だよなぁ。 でもね、都会のネズミの生活もそう楽しいものではないんだよ。 お互いつらいねぇ。

*****

将棋の森内名人が竜王というタイトルを奪取。 森内名人はご近所に住んでおられて、時々ママチャリに乗ってフラフラ買い物に出かけるところをお見かけすることもあって、当然私は森内ファンである。 小学校で子供に将棋を教えてくれたりするのだが、真面目で優しい人柄に接すると、子供も親もすぐにファンになる。

渡辺竜王も無茶苦茶強いので、どっちが勝つかドキドキして勝負の行方を見守ったわけだが、今回は森内さんの勝ち。 でもきっと渡辺さんはまたすぐに再び挑戦者で出てくるだろうと思う。 勝負の世界は大変だ。 昔の小学校の運動会などで 「赤勝て! 白勝て!」 なんていう結局どっちを応援してるのかわからない応援があったが、そういう気分。 どっちも頑張れ! ついでに羽生さんも頑張れ!

・・・ などと呟きながら、パソコンにインストールした bonanza という将棋ソフト(無料)と対局しているサル的なヒトの週末なり。 bonanza 強すぎ。 さっぱり勝てん。

*****

自分がアル中だと心の中でこっそり自覚している方におススメの一冊。 大笑いしつつも、精神的に弱い自分は、自分のことのように息が詰まりそうになってしまった。

失踪日記2 アル中病棟

失踪日記2 アル中病棟