小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

ウラジオストクに帰国しない

毎年この時期に、某国際機関への出張があるサル的なヒト。 そして出張のたびに毎年無茶苦茶なことが起きる。 過去のブログにも悪戦苦闘の一部を描いているので、興味のある方はぜひどうぞ。

毎回痛感するのは、国際機関、そしてそれにくっついて寄生虫のようにメシを食っている腐れ旅行業者による事務手続の信じられないほどのヒドさである。 日本では信じられないようなことが毎回毎回起きるのよ。 こいつらに比べたら、あの 「てるみくらぶ」 だって立派なもんだと思うぞ。 たぶん。

国際機関の手続きは最初からエラソーなのである。 Invitation letter (会議やるから来い、のお手紙) に 「国際機関御用達の〇〇という旅行代理店でお前のフライトをとれ」 と代理店のメルアドが書いてあるので、その代理店に 「名前、用務、いつ・どこからどこまでのフライトをお願いします」 と丁寧に書き込んで送ると、数時間後、事務的なメールが返ってきた。

「メールでの申し込みは受け付けておらん。 わが社のサイトにアクセスして、お前の名前、用務、国際機関の保証人、希望の日時などを登録せよ」

それならそうと最初からお手紙に書いておけよ。

忙しい最中にイライラしながら、もう一度最初からすべての情報を入力し直す。 そうするとまた数時間後、事務的なメールが返ってくる。

「うちの会社のビジネスアワーで処理してやるから、待ってろ」

待つ。

・・・ 2週間待っても返事が来ない。 この代理店の所在地は時空が歪んでいるのだろうか。 こっちは出張のことなぞ半分忘れてしまっていたよ。 マジで、このままではヤバい。


焦ってこっちから 「あのー、私の申請はどうなっているのでございましょうか?」 と代理店にメールを入れると、2日後にメールでフライト旅程表 (itinerary) が送られてきた。

「お前のフライト予定は次のとおりである。 これを受け入れるならば accept ボタンを押せ。

往路:10月10日 成田発  〇〇経由  10月10日 ××着
復路:10月15日 ××発  〇〇経由  10月17日 ウラジオストク

・・・

・・・

・・・ ( ゚Д゚)ハァ?

お願いした帰国先と相当に違うように思うのだが、気のせいだろうか? もしかしたらニポン政府の粘り強い外交交渉のおかげで、北方四島だけでなくウラジオストクあたりもおまけで日本に返還されて、今やウラジオストクは日本領になったんだったっけ? いや、もしかしたら、自分は国粋主義者の傾向があるから、シベリアに抑留されて赤化思想教育されるのか ・・・ などという妄想を頭の中で否定するのに数分。

というか、それ以前に、帰国日が17日ではダメなのである。 講義が待っているのだ。  「私は16日に帰国しないといけない」 ってしっかりそう入力したのに。

ふざけんなよ、おまえら。

「どうなってんだ。 こんな予定、受け入れられん。 お願いしてたのと根本的に違うじゃないか! 誰がウラジオストクを日本領にしたんだ? あとな、おれは16日までに日本に帰らなければならんのだ」 と怒り心頭の返信メールを代理店と国際機関の事務担当者に打ち返す。

数分後、代理店から機械的な事務メールが返ってくる。

「親愛なるお客様へ: 旅程の変更に関する返信メールは受け取れません。 変更を希望する方は、新たにメールを送ってください」

そのまた数分後、国際機関の事務担当者からメールが届く。

「Dr.小野へ: ウラジオストクから成田への便を追加するのを忘れてたので、追加するよう代理店に指示した。 これでお前の望むとおりのフライトになったな?」

・・・

・・・ おい、国際機関のお方よ。 あんたの国の学校では 「ウラジオストクから成田に飛ぶと、時間の流れが逆転する」 と教えられているのか? ・・・ とつぶやきつつ、代理店への抗議メールを一からすべて打ち直す。

沸々と湧きあがる 殺意 にも似た感情。

*****

こういうバカげたやりとりが 毎年必ず 起きるのである。 この連中に3個の不都合を指摘し、対応を依頼すると、ご丁寧に1個だけしか対応しない。 「残りはどうなってんだ?」 と怒ると、また次の1個だけを対応する。 で、こっちはまた怒る。 そこで最後の1個を対応してくれるのだが、そのときにはたいてい1個目の対応を忘れてやがる。 結果、3個目は治っても1個目の対応が元の木阿弥になる。 で、また怒る ・・・ のエンドレス。 猫並みの記憶力である。 そうこうしているうちに出発予定日が近づき、予約が埋まってしまい、ますます身動きがとれなくなる。 これを毎年繰り返す。 書いててめまいが ・・・。


他にもビジネスクラス・エコノミークラスをめぐっての攻防や、追加料金を自分で払って便を変えることを認めるかどうかなどのもめごとも 毎年必ず 起きる。 ルールがあるんだから、ルールに従えよ、とやつらを怒鳴りつけてやりたくなる。 毎年もめているから、こっちも国際機関の旅費規程を、幸か不幸か、熟知するに至ってしまったという笑えない現状。

去年なんか、代理店と事務担当者がグズグズしていたものだから、安いフライトがいつの間にか埋まってしまって、結果的に高いフライトを選ばざるを得ず、 「Dr.小野。 あんたのせいで高いフライトしか取れなかった。 規程との差額はあんたが払え」 などという、誰が誰に仕事を頼んでいるんだか意味不明のことを言われたりもしたっけ。

ホントはこういうバカ連中とは心底付き合いたくないのだ。 人生の無駄遣い。 でもこれって世界各国の専門家が参加する大切な会議だ。 トラベルのトラブル (てへ) は我慢するしかない。 日本の製薬企業の方々も、外国にいるケタ外れの阿呆ども (それが上司だったりして) と仕事するご時世だろうから、きっと日々イライラしてるんだろうなぁ。 お互いしんどいことである。

しかし、私もお役所で働いていたからよく知っているが、これが世界諸国の、お役所・お役人系の標準的な事務処理レベルである。 日本在住の私たちは皆、日本人による優秀な事務処理サービスを受けられることを心から感謝すべきである。 そりゃ日本でもチョンボは時々起きるが、ここまでひどくはあるまい。 少なくとも今現在は。 もっとも20年後くらいには国際レベルに落ちてるかもしれんがな。(注 1)

(注 1) ここで書いているのは短期的な事務手続きや窓口業務のことである。 長期的・持続的な知恵や見通しが必要な業務についてはニポンも結構壊滅してるよな。 ほれ、年金だとか ・・・

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ロバート・レッドフォードの新作がもうすぐ公開される。 「The Old Man and the Gun」。 予告編を見るまでもなく必見でしょ、これ。 5億点。

銀行強盗のおじいさんの話。 むろん多くの人々の心にいつまでも残っている 「Butch Cassidy and the Sundance Kid (1969)」 の長い年月を経た続編でもある。 それにしても相変わらずかっこええのぉ、ロバート・レッドフォードは。 こういうジジイに私はなりたい、と心底思うのだが、顔の造作が基本的に違うという事実をどう克服するか、それが問題である。