小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

スマホはサルをも解放する

スマホデビューしたのである。

ガラケーが壊れてしまった。 液晶ディスプレイが真っ黒になって何も映らない。 つまり何一つ操作ができないのである。 電源が入っているのかすら分からない。 これはもうダメだ、スマホに買い替えようと、家人とともに渋谷のドコモショップへ。

私とてインターネッツの時代を生きるサルである。 ドコモが最近いろいろな料金プランを提供していることくらいは調べて知っておる。 そう、ギガ ってやつだ。 家族で ギガ をシェアすると安くなるのな。 何のことかよく分からんが。 あと、ドコモの機種限定・囲い込み戦略に乗ると、また少し安くなる。 わが家は子供だけがスマホで、親がガラケーというよくあるパターンなので、トータルで毎月の支払い総額がかなり減るぞ、これ。

で、渋谷のドコモショップに行く。 相当に混んでいる。 番号札を取って待っていると、最初に用件を聞く係のにいちゃんが寄ってきて、ぞんざいな口調で話しかけてきた。

にいちゃん: 「ご用件は?」
サル的: 「ガラケーからスマホに代えたいんですが、契約のことが分からなくて・・・」
にいちゃん: 「あー、とにかく機種決めてください。 機種。 それで待っててください」

と言うなりどこかに行ってしまう。 「忙しいのに、何をトロトロしてるんだ? このジジイたちは」 というオーラ丸出し。

こっちとしては、ドコモの機種限定・囲い込みプランとそうでないプラン、それらの内容を比較して、どちらが得かを考えないと機種が決まらん ・・・ のだが、店員のにいちゃんはこちらの話をまったく聞こうとはしない。

家人と二人、ファンシーな最新機種を眺めながら 「困ったね、どうしようか」 と悩んでいると、5分後くらいにまたそのにいちゃんが寄ってきた。

にいちゃん: 「機種、決まりました?」
サル的: 「いや、あのー、よく分からんのですが、家族が既にスマホなので、ドコモ with っていうのにして、セットでどういう契約にすれば安くなるかを教えてもらいたくて ・・・」
にいちゃん:
「はぁ? ガラケーからスマホにしたら値段は高くなるに決まってるでしょ? 安くなるわけないじゃないですか」

サル的: ムカ・・・(-_-メ) 

プッチーン ・・・ と何かが切れましたね、久しぶりに。 こいつ、客商売やっている自覚がまったくないのな。 しかしまぁ百歩譲ってそれは許そう。 こちとらなんせ大学教員という因果な商売をやっており、近頃の若いにいちゃんが礼儀知らずなのはよく知っている。 私が本格的にイラついたのは、この男が自分の会社の商品をろくに知らないってこと。 まともに仕事をやる気がないってこと。 社会をなめてやがる。

しかし私は人間 (human being) みたいに醜くて凶暴ではない。 冷静で心優しいサルである。 「おまえ、客に向かってその態度はなんだっ! 店長呼べ、店長!」 などと騒いだりはしない。

「店を出よう」 と家人に目配せをする。 家人も僕がブチ切れているのが分かっているので 「うん、帰ろう」 と一緒に店を出た。

で、その足で近くのヤマダ電機へ。 高飛車なドコモショップの店員と違って、この手のお店の店員は腰が低い (一般論)。 ドコモのジャケットを着てる店員のにいちゃんに、先ほどと同じように料金プランの分からない点を尋ねたら、一瞬で分かりやすく答えを教えてくれて、さらに、わが家向けに最も安い料金プランを提示してくれた。 すべて解決。

結局、ドコモが宣伝している新しい料金プランにしたら、家族トータルの支払い額が従来よりもだいぶ安くなった。 当然である。 安くなるから 「安くなる」 と宣伝してるのだから。

で、そのままヤマダ電機スマホ買って、手続き一式して、相当にいろんな特典 (含ポイント) つけてもらって、サル的なヒトもご機嫌になって。

そんな感じのスマホデビューであった。

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こういう経験をたまにするのは良いことだ。 独占・寡占企業やお役所のサービスがいかに歪むか、つまり、トランプを含むネオリベ (libertarianism) 系の人たちが 「もっともっと競争が起きるようにしろ! そうでないと市場・社会が腐る」 と主張することの意味が、生活実感として分かるから。 どちらかというと私は、ネオリベとは反りが合わない egalitarian 系のサルなのだが、「独占者・寡占者が効率においても倫理においても腐敗する」 という歴史的事実の認識においてはネオリベの皆さんに完全に同意する。

昭和を生きたジジイだから、腐ったサービスや旧ソ連を彷彿とさせる不愉快きわまりないお役人的対応の例は山ほど知っているぞ。 たとえば、国鉄電電公社。 昔は塩やタバコも専売店が決まっていて、そういった専売店の店主のオヤジがことごとく不愉快な奴だった。 お役所のサービスが高飛車で、かつ、根本的にお客さん(=国民)不在な臭いがプンプンすることは、規制産業の王様たる製薬産業の人たちは肌身に染みて知ってますよね (口に出しては言わないけど。 仕返しされるもんね (笑))。 最近では一般の方々も、歴史的に繰り返される不祥事・改ざん事件を前に呆れている。

ちなみにスマホ本体の料金も、まわりのお店に比べてドコモショップはべらぼうに高い。 むろんそれは何ら悪いことではない。 お金持ちにとっては1万円や2万円の価格差なんぞ気にもならないだろう。 ドコモ直営店という安心感 (意味不明ではあるが)にプレミアムを払う人たちもいるだろう。 僕もこれまでは 「ドコモ直営店なら、他の量販店とは違って、説明だけはきちんと丁寧にしてくれるはずだ」 と思ってドコモショップを使っていたのだが、今回の件でまったくの勘違いであることが判明。 サービスの質も悪いし、価格も高い。 そんな二重苦を抱えたお店にはもう絶対に行かない。

こういうことを繰り返して、次は別のスマホ会社に移るのかもしれん。 きょ、競争、バンザイ (・・ と力なくつぶやく egalitarian ザル)。(注 1)

(注 1) 逆に 「競争が激しすぎるせいで質が低下するのだ」 と主張する人たちもいる。 国際貿易や市場分析を学問としてやっている先生方のそうした主張はむろん傾聴に値する。 しかし電電公社由来の会社の横柄さについては、それが競争の結果として新たに生じたものであるわけがあるまい。

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それ以外にも、スマホデビューして分かったことがある。 それは、

私にはスマホは要らない ってこと(笑)

買ってから3週間くらい経つが、まだ1回しか充電していない。 なにせ一日中電源を切っている からな (笑)。 スマホって要は小さなパソコンである。 一日中パソコンの前で仕事をしている私にとっては、スマホの情報は不要、むしろ不愉快なのである。 電車では本を読まないと、ただでさえ悪い頭がもっと悪くなるし。

スマホって電源入れていると、バッテリー残量がやたらと減るのよ。 あとね、よくわからんのだが、スマホって使うと ギガ 食うらしい。 ギガ は減らすとまずいらしいから、スマホは使わないようにしている。

緊急時に私の携帯に電話をかけてきても無駄である。 電源、切ってある から。 ごめんね、みんな。 携帯メールも見てないから。

2018年 3月。 私はスマホを買い、ついに自由を取り戻した。