小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

三四郎池のまわりから出てこない

あまりに疎遠にしてると、友達でも顔を合わせるのが気まずくなったりするものだが、このブログもそんな感じになりかけてしまってたよ。 自分のブログなのにログインするのが怖い(笑)。 ログインしたら貞子のようなヤツが出てくるんじゃないか、と・・・

またしても記事の間隔があいて、すみません。 twitter でテキトーなことを呟くクセがついてしまい、人生のガス抜きはそっちでいいか、などと愚劣な SNS 社会の典型的住人に堕落してしまったサル的なヒト。

・・・ などと自ら記事のハードルを高くしてはいけない。 ブログなんてテキトーでいいのよ。 テキトーで。 だいたい読んでる連中がみんなテキトーなんだから(笑)。

というわけで、皆さんお元気? 私はこの時期恒例、路上のセミの亡骸(なきがら)を土に還してやる仕事で忙しくて、学生の論文直しなどする時間もない毎日であった。 いや、開き直ってはいかんのだが。

セミがうるさい三四郎池のまわりって結構ワイルドなネイチャーなのよ。

昨日はコロコロ太った青虫がデローンと通路に落ちていたので、小枝でツンツン突きながら元の草っぱらに戻してやった。

で、今日は、1メートルくらいあるシマヘビさん (学食への行き帰りに時々お会いするヤツ) が通路にデローンと寝ていたので、昨日と同じように、でも少し長めの棒で(笑)ツンツンして移動してもらった。 暑すぎるのか動きがのろかったので、生まれて初めてヘビのしっぽをつかんで持ち上げるという荒業をやってのけたのである。 ヘビさんも、ひ弱なお受験坊ちゃま・お嬢ちゃまの巣窟の東大キャンパスでまさか直接手づかみされるとは思ってなかったらしく、びっくりしておったよ。

アリストテレスの伝統論理学にもあるとおり、人間は「ヘビを掴んだことがあるヒト」と「ヘビを掴んだことがないヒト」に分類可能なのだが、2023年9月5日、私は前者に分類されることになった。 イモトアヤコと同じカテゴリーに属する。 うらやましい?

 

いや、学者たるもの、仕事もちゃんとしています。 グローバル産業の新薬開発や薬効評価の論理研究に日々明け暮れていますよ。 夏休み期間とはいえ、いろいろ報告すべき研究実績もあるぞ。 たとえば三四郎池のほとりに、ピンク色のちっちゃなお靴が片方だけ落ちていたのをジップロックに入れてやったりとか、三四郎池のまわりで蚊を叩き潰そうとして、秘書さんのおやつに買った大福もち4個を盛大に地面にばらまいてしまったりとか。  ・・・ なんか出来事がアカデミックでもグローバルでもないような気もするが、三四郎池は世界に通じているのだから、これでいいのだ。

 

 

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「八月、大学は夏休みですか? うらやましいです」 などとよく言われるのだが、それってなんか勘違いがある。 八月の大学って全然うらやましがられるようなものではない。 多少短くても、企業のすっきりした夏休みの方がずっとマシですよ。 確かに講義やセミナーはこの時期はないのだけど、大学院の入試や科研費の応募などの講義以外の恒例の仕事(事務仕事。雑用) がダラダラとある。 私の場合はそれらに加えて、例の社会人向け研修(レギュラーコース)が8月も当然に開催されるので、事務局としてそのお手伝いをしないといけない。 夏休み感はほとんどないです。

「学生のいない真夏のこの時期に教員は命がけで自分の研究をする。 この時期を逃すとあとはもう研究ができないから・・」と嘆いている教員もいるらしい。 その状況にいる教員(たとえば講義をたくさん受け持っている教員)の気持ちも十分理解できる。 要は、日本の大学って悲惨な状況にあるってこと。

 

肩書・形だけの役職の会議はほとんどない私(下っ端だから)にしても、頭を使った仕事をするまとまった時間は平日にはまったくとれぬ。 平日は朝から晩まで、研究を進める環境整備(笑)のための仕事、人と会うための準備、人と会う仕事、会議・研修・講義の準備、そして、三四郎池の傍らに落ちてるちっちゃなお靴をジップロックに入れる仕事、ヘビのしっぽをつかむ仕事に忙殺される。

教職員の仕事を妨害しようとしてるとしか思えない業務指示がたくさん来る(皆さんの会社でもそうでしょ?)。 たとえば、毎日のようにメールで「○○研修を受けろ」だの「○○の書類を出せ」だのと指示が教員に来る。 が、メールで指示は完結せず、「詳細については別に ×× を読め」 などと書いてある。 が、その ×× がどこにあるのかがさっぱり分からない。 で、その ×× を四苦八苦して探すこと小一時間 ・・・ なんてことが毎日当たり前に起きる。 「研修を受けろ。 そのためにまず登録せよ。 登録には、まず△△にアクセスし、そこからの指示を待て」なんてのも日常茶飯事。 この手のアホのような事務作業を日々忠実にこなす、単なる事務作業員と化した僕のような学者が、将来の人類を幸せにするような大発見をするとはとても思えないのですが。

物理的にも 30分に1回くらい誰かからコンタクトがあり、対応しないといけない。 知恵の要る仕事がまったく進まず、負債(締め切りを過ぎた仕事)は蓄積する一方。 疲弊。 憲法第25条が保証する健康で文化的な生活なんてもうとっくに諦めた。 なにがワークライフバランスだ。 土日もすべて大学の図書館で仕事をしてます。 頭を使う本来のお仕事は、土日にしかできないんだもの。 ちなみに教科書を読めるのは地下鉄の車内にいる数十分だけ。

役所と大学、両方の経験があるから言っとくが、悲惨な労働環境・哀れな知的環境にいるのは霞が関のお役人だけじゃないぞ。 医療機関、研究機関、配送業界 ・・ いろんなセクターが無茶苦茶だ。

この国は本当に貧しく哀れな国だ。 国が亡びかけている理由は単なる人口減少だけではあるまい。

 

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そんなわけで今晩もオフィスで投稿論文の査読をしているわけである。 まだ10時過ぎ。 まったくフツーの勤務時間内だ。 査読の締め切りはとうに過ぎている。 が、隅から隅まできちんと読む。 論旨が無茶苦茶で学問に一ミリも敬意を払っていないことが明らかな連中の論文も、きちんと読む。 ご存知のとおり、査読はボランティア活動なので一銭にもならない。 査読は匿名で行われるので名前もどこにも出ない。 だけど、忙しい中必死で出来の悪い論文を読んでスジの通った批判・批評をしてあげるのは、もはや学者としての「意地」だけ、である。(注)

 

(注) 最近は歪んだハゲタカ誌(50-60万円払えば、テキトーな査読で質の悪い論文を載せてくれる学術誌もどき)からの査読依頼が毎日数件来る。 むろんお断りしてるのだが、ハゲタカ誌とまともな学術誌の境界がビミョーになっていて危険な状況。 学術誌の歴史をまったく知らぬ学生がハゲタカ誌に平気で投稿しようとしてしまい、慌てることもある。

 

こんな絶望的な環境にいるのだから、仕事中に Youtubeを聴いて、ゆく夏を惜しむくらいのことは許してもらおう。

 


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サーカスの代々のおねいさん方の声のなんと色っぽいこと。

 


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麗美といい、ユーミンといい、盛大に昭和である。 昭和で何が悪い。 文句があるなら、うちの秘書のおねいさん方に言ってください。

 

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というわけで、今日はこの辺で。 久しぶりなのになんだか意味不明の記事ですみません。 九月に入ったのにこの猛暑だから仕方ないのだ。 依然意味不明。

なお、理屈っぽいことは twitter で呟くことが多いので、そっちをご覧ください。たとえば、やけくそのように 「患者集団に位相(開近傍)を入れないと、薬効評価の人種差問題は論理的に議論できないよね」 などと呟いたりしてるのだけど、それを読んだ誰かが私の思いを理解してくれるとは一ミリも期待してません (笑)。 でもね、いいのよ、それで。

 

暑い日がまだ続いてますが、皆さん無理しないようにね。 三四郎池のほとりを歩くときにはでかいシマヘビを踏んづけないように気を付けて。 ちゃんとしっぽ持たせてくれるし、悪いヤツじゃないからいじめないでね。

じゃまた。