小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

夏休みなり

夏休みは読書と映画でのんびり。

まずはこの季節ものの定番。 山本五十六 連合艦隊司令長官

山本長官は、米国と戦争しても勝てるはずがないことを熟知しており、一貫して早期講和を目指していたとされている。 部下の南雲司令官と見解が合わなかったことが映画では強調されているが(南雲が頑固で無能な悪役にされている)、当時も今も、その手の話はよくあることだ。 山本長官は、南雲をはじめとする敗軍の将に情をかけ、再度チャンスを与えようとしたらしいが、このあたりが米国とは大きく違うわけですね。 米国の軍隊は、司令官が失敗したら当然クビ。 配置転換。 失敗を犯した無能な司令官が排除されず、何度も繰り返し悲惨な状況を引き起こした旧日本軍の伝統は、現在も脈々と生き残っていますね(笑) いや、笑っている場合ではない。

戦記物の雑誌がこの時期にはたくさん出てくるが、今年は、ミッドウェイ海戦での「運命の5分間(注)」という言い訳が、どうも相当に嘘くさいこと(生き残った当事者の責任逃れっぽいこと)が記録から明らかになっていることの特集が多かったように思う。 南雲艦隊は、敵機が来るはずがないと朝からずっと気を抜いていた、との記録ね。

(注)爆弾と魚雷との載せ替えでグズグズしていたため、攻撃機の出撃が遅れたのがミッドウェイ海戦の敗因だという説。 あと5分でも時間があったら、攻撃機が無事出撃できたはずだ、という主張。

山本五十六の伝記で読みやすいのは、最近出たこの本ですね。 これとは別に、著者半藤一利氏によるもう少し詳細な記録が平凡社ライブラリーから文庫本で出ています。

聯合艦隊司令長官 山本五十六

聯合艦隊司令長官 山本五十六

廣田弘毅モノにも手を出す。 情けないことに、このベストセラーを今まで読んでなかった。

落日燃ゆ

落日燃ゆ

廣田弘毅(戦時中の外交官、首相、外相)は、極東軍事裁判で死刑になった唯一の文官(軍人さんでない人)。 城山三郎さんは、廣田を軍部と闘った平和主義者ととらえ、その人となりを同情的・共感的に紹介する。 この時期に役人や政治家をやることは、文字通り命がけであったことは確か。 少なくとも今は、憲兵はいないもんなぁ。 公安はいるけど。

山本五十六も、廣田弘毅も、超有名人であるだけに、上に挙げたような応援団的な伝記がたくさんある一方で、「山本五十六 凡将論」 「廣田弘毅は軍人の後追いをしただけの凡人だった説」 もたくさんある。 例えばこちらの本では、城山三郎によって戦後美化された廣田弘毅の実像が、かなり厳しく紹介されている。
広田弘毅 ― 「悲劇の宰相」の実像 (中公新書) [新書] 服部 龍二 著.

広田弘毅―「悲劇の宰相」の実像 (中公新書)

広田弘毅―「悲劇の宰相」の実像 (中公新書)

人の評価なんてそんなものである。 「大化の改新中大兄皇子に討たれた蘇我入鹿が、実は素晴らしいヒトだった」なんて本を読むと、いかに歴史上の人物に対する我々の(学校で教えられる)評価がステレオタイプかに気づいたりする。 大化の改新ムシゴヒキ とか年号を覚えている場合じゃないぞ、と思ったりする。

などという歴史考証のあり方を、日本人の一人として考えた夏休み。 稲穂実る国ニッポンに生まれたことを感謝しつつ、心豊かな、有意義な時を過ごしたのであった。 

・・・

・・・ いや、すんません。 お盆にウソつくと、ご先祖さんに怒られそうなんで、ホントのこと言います。 ホントはこんなくだらないヤンキーの映画を見たりしてました。 すんません。

ゾンビランド [DVD]

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こりゃくだらん。 大笑いするくらい、くだらないぞ! でも映画って、見てみないとそれがわからないんだよなぁ。