小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

僕らはいつでも次の悲劇待ち

やっぱり東山演じる原島課長はカッコよかった。 先週の放送を見終わった時点では悪いヒトになったのかと疑ってたよ。 正直スマンかった。

毎週ネタにしているNHKドラマ 「七つの会議」。 結局、品質不良ネジのリコール隠しに、社長以下おエライさん全員が関係してたのだった。 親会社の取締役まで。 20年前にも同じ手口の不正をやらかしていたから(そしてそれがうまく隠蔽されたから)、今回も隠蔽が指示されるのは当然だったわけだ。 お客さん無視・安全無視の会社の体質に堪忍袋の緒がブチ切れた原島課長は、ついに新聞社に内部告発 ・・・ というお話でした。

さぁ、そこのあなたも、組織の悪事の証拠物件を握りしめて、新聞社へ向かおう(笑)

実際に世の中に起きていることは、ドラマの状況よりも複雑怪奇である。 特に医薬品という商品は、ネジの品質(強度規格)のような線引きでは品質の良否が判断できないものね。 しかし、「いろんな人たちがいろんなことを言う」 という薬の評価の本質に悪乗りして、企業も当局も本来判断すべきことを判断せずに放置しているのが現在の状況なのだという事実からは目を逸らさないように。 今は、日本中の患者、いや世界中の患者が誰でも 「私はひどい目にあっています。 私の身体に起きたことは 『薬害』 です」 と裁判所に訴え出ることができる状況だ。

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殺伐とした仕事がらみの話はこのくらいにして、そろそろ夏休みモードに入ろうか。

わんこ好きの方はご存知ですね、この写真集 「ことばはいらない」。 絶賛肉球発売中。 もうたまらんっす。

ことばはいらない 〜Maru in Michigan〜

ことばはいらない 〜Maru in Michigan〜

著者(写真の一茶くんと柴犬マルちゃんのおかあさん)のジョンソン祥子さんのブログがこちら → Maru in Michigan

洋犬と比べて、柴犬ってヒトに対する愛情表現が少しそっけないところがある。 が、それがまたかわいいのである。 知らん顔をしていても、しばらくするとそーっと寄ってきて傍に座ったり。

あー、ワンコ飼いたい。 誰か、俺にワンコが飼える一戸建ての家を譲ってくれないだろうか。 

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そして、夏休みは恒例の戦記物の読書にとりかかる。 毎年繰り返し読む本もあれば、新しく買い込む本も。 太平洋戦争当時を生きた人たちの多くはもう亡くなってしまい、当時の悲劇を語る声は年々弱々しくなる。 しっかり聴いておかないと。 戦争に関しては、「自分の身体には鉄砲の弾がほとんど飛んでこない連中」 の考えることが、いかにいい加減で、非論理的で、人の道を外れたものになるか、のエビデンスがその辺にゴロゴロと落ちている。 我々は学び続けないといけない。 学ばずして、集団的自衛権憲法改正の問題を正々堂々と論じられるはずがない。

戦争って大昔のような気がしてしまうが、ほんの68年前の話だ。 よく「30年前には日本の製薬企業は抗生物質ブイブイ言わせてたよなぁ。 当時はGCPなんてなかったから、テキトーにデータ作ってたよなぁ」 なんて昔話を医薬品業界人はしているが、その少し前に我々の祖父たちは、徴兵されて戦争に駆り出されていたのだ。

インドくんだりまで駆り出されて、阿呆で無能の司令官(牟田口)に 「食い物も弾も持たずに、根性でとりあえずイギリス軍に勝ってこい!」 と熱帯の山林に放り出されて、3万人の兵隊さんが死んだインパール。 うじ虫がたかる死体と白骨街道。 作戦失敗の責任は誰もとらず (諸施策の失敗の責任を誰もとらないのは今の日本も同じ。 日本の伝統なり)。

兵隊さんだけでなく、民間人もバンザイ突撃させられて7万人が散り果てたサイパン。 追い詰められたおかあさんが幼子を抱いてバンザイクリフに飛び込んだのは、ほんの69年前のことだ。

技術者・科学者も同罪だ。 例えば、日本の戦闘機・爆撃機には防弾装備が無いから軽量で、米国機と比べてやたらと航続距離だけは長かったのをご存知だろうか。 貴重な熟練パイロットを守るという発想が無いからね。 で、結局どうなったというと、マリアナ沖海戦の頃には、空母を飛び立った航空機が空母にまともに着艦することができず、訓練で死亡するパイロットが続出。 それを見ていた小沢司令長官が 「これ以上事故で(本物の戦闘前に)人命を失うことは忍びない。 もう着艦訓練はやらないくてもいい ・・・」 と呟いたほどの情けなさだったらしい。

そんな世界が、ほんの68年前。 自分の生きてきた年数を 1.5倍して逆向きに戻ると、もう戦争の時代に到達してしまうのだ。 気付いてましたか? 驚きの近さだ。

夏休み、じっくり勉強してみましょう。 特に若い人たち、どうですか。 あの時代は遠い昔でもないし、自分より劣ったダメな日本人が生きていた時代なんかではありませんよ。

太平洋戦争の話全体を読みたい人には、次のシリーズが文庫で安いし、また、読み易いのでおすすめ。 紀伊国屋とかの大きな本屋で、全6巻を大人買いすることをお勧めします。

太平洋戦争 日本の敗因1 日米開戦 勝算なし (角川文庫)

太平洋戦争 日本の敗因1 日米開戦 勝算なし (角川文庫)

夏が来るたびに、山本七平氏のベストセラー 「日本はなぜ敗れるのか」(角川 one テーマ21)、「一下級将校の見た帝国陸軍」(文春文庫) などを読み返し、そして戦争当時の呆れるばかりの問題点が、今の政府・企業・大学にそのまま残っていることに気づかされ、暗然たる気分になる。

日本人って、いつでも次の悲劇を待っているだけの国民なのかね。 次の悲劇はなんだろう。 2011年から今も続いている悲劇に涙が枯れ果てたばかりなのに。