小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

連休狭間の英語あれこれ

これまでの人生で、「くっそー、あのアメリカ人め。 英語をペラペラと完璧に話しやがって、この野郎!」 などとワケのわからんことを呟いたことはないだろうか。 サル的なヒトは、ある。 英語が完璧なヤツを見ると、それがアメリカ人やイギリス人であっても、「負けた・・・」 という気がして、悔しくて悔しくて、涙がじーーんと滲んでしまった経験はないだろうか。 サル的なヒトは、あるぞ(笑)。 まったくもって意味不明である。 サルそのものである。 しかし、真面目に考えると、まさにこれこそが70年ほど前の、アメリカ軍の占領政策の究極にして最大の効果なのであろうな、とも思う。 恐ろしいほどの効果だ。 貞子の呪い並みに時空を超えて効いてやがる。

日本人は英語を勉強し続ける。 でも、どうやっても英語は母国語にはならない。 微妙なニュアンスを伝える術がわからないから、本気で使う気も無い。 辞世の句を英語で詠むことは決してないし、このブログですら英語で書く気などさらさら起きぬ。 例えば、「さらさら」 って英語でどう表現するんだろう? ってなもんだ。 ・・・「ってなもんだ」 っていうニュアンスの英語ってあるのか? おととい来やがれ、ってなもんだ。 あんたらアメリカ人はおとといは来られないだろ? え? ・・・ ますます意味不明だ。

でも、面白いんだよねぇ、英語を勉強するのは。 正確に言うと、英語が面白いというよりも、英語を成り立たせている英語圏の住民の発想が面白い。 

そこで紹介したいのが 「日本人の英語」 の著者マーク・ピーターセン先生の最新刊 「実践 日本人の英語」 である。 25年前に 「日本人の英語」 で、「なぜアメリカ人は冷蔵庫に the をつけるのか」 といった目からウロコの解説をしてくれたのだが、今回の本も面白い。 あっという間に読めるから、学生さんは必ず買って読むこと。

実践 日本人の英語 (岩波新書)

実践 日本人の英語 (岩波新書)

「実践 日本人の英語」 の中から、いくつか出題ね。

次に挙げるのは日本人がよく書く英語の例です。 外人さんが読むとどこかに不自然な引っかかり(というか、英語の間違い)を感じるらしいのですが、それがどこか答えなさい。

(1) The kiosk sells newspaper.

(2) Let’s visit USA.

(3) ‘Dear My Friend’(by Every Little Thing)

(4) I went to Thailand with my friends.

(5) After I graduate, I enter a bank.

(6) ♪ もともと特別な ‘only one…’

(7) Studying English is so hard for me.

どうでしょうか。 これらすべてに違和感を覚えるようなら、あなたも立派な欧米人・・・かもしれない。 違和感を覚えないようなら、760円を払って勉強しましょう。 ちなみに私は、7つのうち4つが目からウロコ(つまり知らなかった)、残りの3つは、感覚ではなく知識として知っていた。 どれが目からウロコだったかは恥ずかしいから言わない(笑)

本研究室の学生で、外見は明らかに外人、中身は相当に日本人的なF君(オランダ出身)にこの本を見せて 「どう、わかる?」 って尋ねたら、やはり欧米言語が母国語の人ならではの感覚としてわかるところ(日本人にはわからないところ)があるらしい。 特に冠詞(a とか the とか)や名詞の単数・複数の感覚。 女性名詞・男性名詞なんていうのが存在する国の出身者だから当然か。 でも、 

く、悔しい ・・・

「い、今に見てろよ、F君。 こっちにはな、中国四千年の歴史に支えられた漢字ってゆう切り札があるんだ。 難しい漢字を使って見返してやるからな ・・・」 と逆切れぎみに復讐を誓ったのだが(注 1)、ふとF君から来たメールを見たら、

「小野先生、明日のディスカッション前までに論文の考察に関して忌憚ないご意見を頂ければ大変嬉しいです」

・・・ あかん。 ワシ、日本語でも負けとる ・・・

(注 1) 教員が学生に復讐を誓うことは、好ましいこととは言い難い。

とまぁ、そういう連休の狭間の出勤日でしたよ。 連休後半、みんなで楽しみましょうね。 ちなみに、「死霊のはらわた」リメイク版、明日公開よ(笑)