小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

夏、あれこれ

夏ですね。 

蝉しぐれに包まれる夕暮れ。 日本の夏の風情をしみじみと感じる。 日本人でよかったなぁ、自分。

ところで、欧米人にセミを説明するのって、結構難しいのである。 英語では cicada だが、今まで一度もアメリカ人にすんなりと通じたことがない。 ボストン留学中に世話になったローラおばちゃんに 「ボストンではあまり "シケイダ" の声を聴きませんねぇ」 などと話しても、「・・・・ what ?」 という感じだった。

後から知ったのだが、セミは locust の方が通じるらしいな。 イナゴもセミも区別なく locust 。 セミは樹の上にいるイナゴ、がアメリカ人の感覚。 むろん、トノサマバッタショウリョウバッタ、オンブバッタ、・・・ なんてものの区別はつかない。 下手するとゲンゴロウもカブトムシも locust になってしまうらしい。 それはそれで、その大雑把な感じがなんか楽しいぞ(笑)。 ビバ、アメリカ人!

一般人が昆虫の種類(名前)をこれほど細かく言える日本人がすご過ぎるのかもしれぬ。 緑に恵まれた東大の構内では、週末、子供がお父さんと一緒に虫かごをかかえて走り回っている。 そういえば、悠仁さまも皇居の中でカブトムシ捕まえていたっけ。 皇居の中は、陛下が自然をそのまま残す方針で、昔の武蔵野の森がそのまま残っているらしい。 悠仁さまとお友達になれないものだろうか。

ということで、カブトムシは今が旬である。 夜な夜な、シャカシャカ、ブンブンと飼育ケースの中で元気に暴れまわっている。 なんと今年は、もう既に大量に卵から幼虫が孵化しているのだ。 「熊本さん」(注 1) と名付けた、ひときわデカい屈強なメスがいるのだが、こいつがすでに 30 個近く卵を産んでおり、今後も卵を増産しそうな勢いなのだ。 少子化問題はここには存在しない。 読者で 「カブトムシの幼虫、飼いたい!」 という方がいたら連絡してください。

(注 1) これ読んでね → 熊本さん - 小野俊介 サル的日記

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医薬品開発のプロの研修コース(東大医薬品評価レギュラーコース)は、半年間のやっと折り返し。 先週は恒例のイタリアレストランでの懇親会でした。 受講生の皆さん、お疲れ様です。

受講生の皆さんは頑張っている。 なにせ、毎週、通常の仕事が終わってから3時間も講義を受けなければならないのである。 さらに毎週末にはレポートを書かなければならない。 「どうして週末なのに仕事なんかしてるのよ!」 と旦那さん・嫁さんに愚痴られたり、 「ねぇ、おとうさん、どうして遊びに連れて行ってくれないの?」 と子供に泣かれたりしている受講生もいるのだ。 

そこで、である。 企画者は考えました。 懇親会でもアナウンスしましたが、受講生の皆さんの頑張りが少しでも報われるように、昨年から 「あなたが研修を頑張って修了したことを、あなたの指定する上司(誰か)に、あなたの好む形でお伝えするサービス」 を始めました。

あなたの頑張りをお伝えする上司は、社長でも、開発本部長でも、研究所長でも、K理事長でも、OKです。 誰でも、何人でも、OK。 あなたが指定してください。 (注 2) あ、そうそう、海外の目の青い方々にも送りますよ、マジで。 成績が良かったことを会社に誇りたい方は、成績を送付します。 「He has got exceptioanlly high marks.」 とかね。 成績がいまいち(笑)だった方は、成績ではなく、研修で頑張った・グループワークに貢献したといった事実をお伝えします。 皆さんの要望に応じて伝える内容は変えますので指示してください。 具体的で appealing な案文を送ってくださるとありがたい。

(注 2) ただし、あなたの上司や同僚が、視野が狭く、心が狭く、被害者意識に満ちた方の場合には (つまり、あなたが研修に参加することを不愉快に思っている場合には)、うかつに 「研修を楽しんできました!」 なんて報告をすると、とんでもない大惨事になることもあるのでご注意を。 そういう地雷のような上司・同僚は、あなたのまわりに、結構な数いるはずです。

送り先は上司限定ではありません。 研修に参加するあなたを温かくサポートしてくれた同僚や、週末の貴重な時間にあなたがレポート書きするのを見守ってくれた旦那さん・奥さんでもいいですよ。 ご要望があれば、主催者である財団法人薬学振興会だけでなく私自身も名前を連ねて、旦那さん・奥さん宛のお詫びと感謝の文章を書きますぜ。 お役に立てるのであれば(笑)。 そういうところにフレキシブルに対応するのが、情が通った研修を提供する東大レギュラーコースなのである。 すばらしい講師陣と、おやつとして受講生に提供する菓子パンの種類が豊富なだけが売りではないのである。 

また、「頑張った自分自身を誉めたい」 方がおられたら、どうぞご自分宛に。 それはそれで、人生の一区切りとなる、実に味わい深い自分へのご褒美だと思いますよ。

ということで、コースが終わる12月までに、あなたの苦労をお伝えする相手をぜひ考えておいてくださいね。 ほんのちょっと、研修が楽しくなるでしょ?

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今日もNHKドラマ 「七つの会議」 を見て、ため息。 ついに、東山演じる原島課長は、会社の品質不良ネジの隠蔽に自ら手を染めてしまったのであった。 原島課長いわく 「品質不良を隠蔽し、会社の急場をしのぐ以外に、普通の社員である私に、何ができるって言うんですか?」。 それと同様の台詞がいろんな人の心の中で(あるいは堂々と)呟かれるのを、私の人生においても何度か経験してきた。 皆さんはどうだろうか。

ここ数日、企業や研究者によるデータの改ざん疑惑や研究費をめぐる不祥事が、本当に呆れるほどたくさんメディアで報じられている。 背景は様々だろうし、十把一絡げにしてコメントする気はない。 が、これらの事件を眺めていると、共通して得られる教訓はありそうだ。 組織や制度の中でこのような不祥事やイレギュラーな出来事に巻き込まれてしまう可能性がある若い方々に向けて、実践的に役に立つアドバイスをしておくとすればこうだ。

あなたが本当に困っていたとしても(正確には、本当に苦境に陥った時には)、あなたの属する組織や上司や部下は、あなたを守ってはくれない。 あなたを守るのは、常日頃から頑なに正義のスジを通してきたはずの、あなたの良心と信念である。

医療ムラ(村)、企業ムラ、学者ムラ、役人ムラ、・・・ の独善的な論理や慣習に染まらないで、良心と信念に従って、生き延びよう。 難しいが、あなたならできるさ、きっと。