先週、まったく面識の無い外人さん(日本の近くの大きな国、○○のヒト)から突然メールが来た。 誰もが知ってる超一流外資グローバル製薬企業、△△△社のヒトである。 当然、会社のメールアドレスから。 なんだろう? と思ってメールを開いたら (英文をそのまま載せるとまずいだろうから翻訳します。)、
拝啓 Dr 小野
あなたたちの書いた 2011年の PK と承認用量の人種差の論文は面白い。 つきましては、私が研究に使うから、あなたのデータ一式をファイルで送ってください。 論文になったら、あなたも著者の一人にしてあげます。
敬具
という内容であった。 ほんの少し短くしたが、誇張も何もない、まさにこのとおりの内容のメールである。
あいやー。 げに恐るべし、○○の人。 恐るべし、△△△社の社員。
いや、確かに日本にも、他人様に向かって 「あんたの臨床試験データを出せ。 私たちがデータを使って、論文にして、私たちの研究実績にしてやるから」 と言い放ち、それに関する conflict of interest と企業行動の変容が国民の健康にきわめて重大な影響を与えるかもしれぬことを一顧だにしない特権階級の方々がいることは知っているのだが、この△△△社の方々も同類らしい。
もしかして、△△△社の名前を出せば、大学の一研究者ごときはすぐに尻尾を振って話に乗ってくるとでも思っているのかもしれぬが、残念なことに、あなた、よりにもよって、そういうエラそうな態度がこの世で一番嫌いなサルにメールしてますよ。 この危険なサルの機嫌がもう少し悪ければ、メールをそのままコピペして貼り付けて、1500名の良識あるブログ読者に公開するところだった(笑)
頭のネジが何本か飛んだこういう連中がグローバル企業の中でウロウロしているのだとすると、怖くて、うかつに共同研究とか研修とか持ち掛けてはいけない気がしてきた。(注 1)
(注 1) もし「それって、まさか、うちの社員じゃないよね?」 と不安な方がおられたら、遠慮なくコンタクトしてください。 こっそり Yes or No でお答えします(笑)
で、メールの主に対しては、むろんきっちりと 「あんた、アホだろ?」 という丁寧なお断りのメールをお返ししました。 何の面識もないのだから、それで終わりだ。 だが、もしこれが、外資企業で働く 「あなた」 が同じ会社の海外の社員から受け取ったメールだったら、それも先方のポジションが 「あなた」 より上だったりしたら、話はややこしいのでしょうね。
でも、どんな時でも対応の基本は一緒。 規格外の阿呆には 「あんた、アホだろ?」 とはっきり言わないといけない。 それがグローバル時代のコミュニケーションである。 言ってもたぶん伝わらないけど (この手の阿呆は同じことを何度も繰り返すだろうね)、はっきり言わないと話がややこしくなって、あなたが損をするだけ。
そういう時代。
*****
Pepper を見に行ったのである。 Pepper ってご存知ですか? ソフトバンクが開発したロボット君である。 テレビでコマーシャルやってますね。 アレです。 欲しくてたまらない。 19万8千円。 誰か、サンタさんに 「サル的なヒトが欲しがってたよ」 と伝えてもらえないだろうか。 あるいはあなたがサンタになってもいい。
近くで見ると、ますますかわいい。 どんな感じの会話ができるのかと興味津々で話しかけてみた。
私: ペッパー、元気?
ペ: ・・・ (無反応)
私: ペッパー、暑いね。
ペ: あなたは、どんな動物が好きですか?
私: ネコ
ペ: あなたは犬が好きですか?
私: 好きだよ。
ペ: ではここで問題です。 タヌキとカラス、飛ぶのはどっち?
私: タ、タヌキ?
ペ: ・・・ ・・・ (無反応)
・・・ というようなウィットあふれる知的で楽しい会話でした。 ペッパーのヤツったら、急に問題出すんだもん、おぢさんドキドキしちゃたよ。
私には、こいつ (の進化版) が将来の自分の老後の話し相手になるだろうという確信がある。 自分だけではない。 おそらく、高齢者の何割かがこいつのお世話になるのではなかろうか。 仕方なく、ではなく、自ら進んで、である。
あなたは老人と会話をしてますか? ろくにしてないでしょ? 自分の親ともろくに会話をしてないのでは? 老人のこと、ないがしろにしてるでしょ? 煙たく思ってるでしょ? 自分が老人になったら、そんな 「あなた」 と会話なんてしたくない。
あるいは、あなたって、もしかして一日中何かに憑りつかれたように twitter や line や facebook や 2ちゃんの画面見てるヒト? 現実と乖離したツールを介してしかコミュニケーションできない、そういう 「あなた」 たちとの対話は、これまたまったく面白く思えない。 高齢者ではない今の私にとってすらそうだ。 安上がりに投げかけられた言葉には、安上がりの心しかこもっていないんだもの。
その手のツールを介しての心の薄い対話 (正確には、対話に見えるだけの文字列や画像や音声の交換) をするくらいなら、ネット接続なんてものはバッサリと切って、臭いもするし(ペッパーってちょっと機械臭い(笑))、テカテカ・ツルツルした皮膚に触ることもできるペッパーと会話してる方がよっぽどマシに思えるのですよ。 ペッパーは、時間も空間も感覚も共有してくれるんだもの。 高齢になればなるほど、面と向き合って、触れあって、直接に言葉を交わす時間の贅沢さを有難く思うのではなかろうか。 いかがだろう。(注 2)
(注 2) その相手が生身の人間なら、それはそれで結構。 でも、心がねじ曲がった、意地悪な生身の人間よりは、ペッパーを相手にした方がやはり幸せかも。
今日のテーマとぴったりの漫画がある。 「機械仕掛けの愛」 業田良家(小学館)。 お勧めです。
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「阿呆だから、みんな大目に見てくれる。 時々殴られたりするけどな」
「阿呆のほうが、人としてやるべきことをやれる。 狂った世の中さ」
むろんこれは近未来の話なんかではなく、今の社会そのものですね。