小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

泣かない

最近どうも涙もろくて困っている。 正確には涙もろいなんてもんじゃない。 四六時中泣いているという表現が正しい。

特に危ないのが最近のNHKの番組である。 ほれ、読者の皆さんもよくご存知の番組があるでしょ。 あんたも泣いてるんでしょ? あれですよ、あれ。

ドキュメント72時間

この番組が始まると、たいてい5分後くらいには目に涙がじんわり滲んでいる。 10分後くらいに鼻水が止まらなくなり、番組終了直前、松崎ナオさんの 「川べりの家」 が流れ始めるときには、ほぼ間違いなく号泣してるサル的なヒト。 それを気持ち悪そうに眺めている家人。

番組作成スタッフの中には、間違いなく、泣かせのプロがいるな。 それも達人レベル。 そう、たとえるならば、昭和を代表する名番組 『それは秘密です!!』 の司会者、桂小金治並みの ・・・ あ、小金治さんは泣く方だった。 すまん、間違えた。(注 1)

(注 1) 「ご対面コーナー」で、感動のあまりもらい泣きするから、「泣きの小金治」 と呼ばれたものである。 それにしても懐かしい。

昨年末12月29日には 「もう一度見たい72時間」として、2016年放送の新作36本の中から、視聴者の投票で選ばれた人気作ベスト10が一挙再放送されたのである。 素晴らしいぞ、NHK! 見直した。 最近の会長がちょっとアレな人だったから心配していたのだが、安心した。 この 「72時間」 だけで受信料の元は十分取れている。

ちなみにベスト10はこんな感じ。

第1位 長崎 お盆はド派手に花火屋で
第2位 ゆきゆきて 酷道439
第3位 四国 海だけの小さな駅で
第4位 冬・津軽 100円の温泉で
第5位 囲碁の魔力に囚われて
第6位 京都 青春の鴨川デルタ
第7位 札幌 聖夜のバスターミナル
第7位 さらば!俺たちの船橋オート
第9位 福岡・中州 真夜中の保育園
第10位 真冬の東京 その名は”はな子”

第9位の中洲の保育園の回。 中州で働くおねいさんたちの子供たちの深夜保育。 夜12時を過ぎると目が覚めて、むっくりと起き上がっておかあさんが来るのを待っている男の子。 深夜勤務のおかあさんが上手に海苔で作ってくれたキャラ弁ミニオンズの顔がペロンと取れちゃって、シクシク泣き出すタカちゃん。 わかる、わかるぞ、タカちゃん、その気持ち。 お、オラも涙が止まらない。 

第2位の 「ゆきゆきて 酷道439」 も名作であった。 高知の山道、国道439号線をNHKの取材のおじさんを乗せた車でただただ走っていく回である。 カメラが過疎地、限界集落で暮らす人々の姿を淡々と切り取っていく。 後半に登場する85歳のおばあさん。 取材のおじさんが 「世の中はゴールデンウィークですね」 と尋ねたが、おばあさんにはゴールデンウィークの意味がよく分からない。 見ず知らずの取材クルーに、「これ、持っていきなさい。 気を付けてね」 と栄養ドリンクを2本、持たせようとするおばあさん。 あ、あれ? なぜ涙がでてくるんだろう。 

ゾウのはな子の回では、はな子に話しかけるおばあさんの姿に泣いた。 花やしきのジェットコースターの回では、病気のおじさんの笑顔に泣いた。 囲碁クラブの回では、帰る家もなく囲碁クラブで生活しているおっさんの姿に泣いた。 何年か前に放送された、秋田のうどんの自動販売機の回はもはや伝説になっている。 厳冬の屋外の自動販売機のうどんをご馳走と言いながら、うれしそうに車で食べにくるカップルや子供連れ。 あんたら、いいなぁ。 僕らのような都会のネズミよりずっと豊かだ。

ふつうの人たちが、ふつうに暮らす姿を見ていると、涙が出るのである。 むろんそれは自分の姿そのもの。 鏡に映った自分の姿を見て、泣いている自分。 辛い人生送っているんだなぁ、自分。

前にも書いたが (これね → youtube に頼らない - 小野俊介 サル的日記) サラメシ (NHK 月曜夜) でも涙が止まらない。 亡くなった人たちが愛した昼飯を紹介する 「あの人も昼を食べた」 のコーナー。 毎回毎回、もう号泣である。

昨年の小田さんの 「クリスマスの約束」 (の再放送) も大変だったなぁ。 小田さんの歌が素晴らしいのは当然として、問題はCM。 明治安田生命。 あんたら、視聴者そんなに泣かせてどうするんだ。 CMのたびに涙が止まらなくなり、家人に笑われる。

何を見ても涙が出てくるのは、じじいになったということだろうね。 笑わば笑え。 100年もすればあなたも私も、全員この世にはいないのだ ・・・ と、強がりを言ったら、また泣けてきた。

*****

泣かなくてもよい映画もしっかり見てきたのである。 「Don't Breathe」 本日のここまでの記事とのあまりの温度差に驚くがよい。

こいつには泣きどころが全くないから安心 (笑)。 ホラームービーらしいが、なんだかつまらない。 前評判の割には大したことなくて残念でしたよ。 ドキッとしたのはワンコが登場したシーンだけであった。 この映画、中学生くらいの子供には面白いのだろうが、オトナにはお勧めできません。

最近の映画はネタ・アイデアが枯渇している説に一票。