小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

ニポンの業界人はトランプさんと似ている件

すまんすまん。 ブログをだいぶほったらかしにしてしまいましたよ。 別に何ということもない日々を生きております。 イライラのタネは絶えぬが、それが日常なのだと思えばどうということはない。 アメリカ様の大統領が完全にアレな人だが、あんなのを選ぶとどういうことになるかをジッと観察する壮大な社会実験をやっていると思えばよかろう。 4年後には、誰が次の大統領になっても世界中の皆が確実に幸せになるのだから、確実に値上がりする株を買ったと思えばよいのである。

そう長くもない人生なのだから、無駄なことはできるだけしない、という方針で最近は生きている。

頭のつくりが根本的に歪んだ人とは口をきかない。 何を語っても話が通じないのだから。 賢い人であっても、他人を見下した態度しかとれないヤツ (大学にたくさんいますね) とは接点を持たない。 目の前の人を不愉快にしていることに無自覚なヤツは、やはりバカなのだ。 会議と称するものにはできるだけ出席しない。 だってニポンの会議って、ぬいぐるみのリラックマに 「おの しゅんすけ クン」 と名札を付けて座らせておけばそれですむ会議がほとんどなんだもん。 出席者 (たとえば私) が発言しないことが期待されている会議になんぞ出る必要はない。

となると、ろくに読者もいない無駄なブログも書かない ・・・ のが一貫した生き方なのだろうが、多少の無駄は心のゆとり。 ヨシとしよう(笑)。

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最近の学会誌や業界紙で見かける医薬品業界人 (産学官すべて) の書いた日本語のひどさに、うんざりしている。 ほんと、ひどいぞ。 まともな学識・良識を持っていることが疑われるレベルである。

たとえば、こんな文章、よく見かけるでしょ?

(日米の医薬品の保険適用について)
・・・ 日本では、医療の提供の平等が重視されるため、承認された薬剤はすべて保険償還されることになっている。 ・・・

・・・。 医療の提供の平等ってなんだろう? 意味不明。 たぶん、システムの中で同一の保険点数 (お上が設定した取引価格) を使っていることを 「平等」 とでも思っているのかな? そんなもの 「平等」 とは関係ないぞ。 このヒトの頭の中では、承認した薬剤のいくつかを保険償還しないのは 「平等」 じゃないのか。 共産主義にしても変である。  

こういう主張も多いよね。

(薬価改定に関して)
薬価の改定を頻回に行うと、企業は高い薬価を設定する。 簡単に値段が下がるのであれば普通に考えてそうする。 このような薬価改定の仕組みでは、製薬企業の新薬を開発する意欲・研究費が失われる。 日本再興戦略で創薬分野は成長産業に位置づけられていることとも反する。 ・・・

言っていることは確かにそれらしいが、ちょっと待って。 今のニポンの医薬品産業は (トランプさんが望んでいるような) 鎖国の中にあるのかね? ニポン国内からの利益だけを会社の金庫の中で保管してあって、その一万円札に 「研究開発用」 と書き込んであって、その書き込みがある一万円札をニポン人向けの薬の研究開発にしか使わない製薬企業がニポンにはあるのだろうかね。

オプジーボなどの新薬について)
日本人が発見した新薬のシーズなら、日本企業が育てるべきだ。 それが流出して、外国の人たちによって製品化されるのは恥ずかしい。

・・・ いや、全然恥ずかしくもないし、異常でもない。 化合物や抗体にもし口があったら、「オレ、別にニポン人じゃないし」 って言うと思うよ。 医薬品業界って、どうしてこんなふうな国粋主義者のような主張が大好きなのだろう。

もっとも、ニポン政府の「○カ年戦略」 などの序文がたいてい 「医薬品・医療機器について、ニポンは輸入超過で、けしからん」(注 1) などという根本的に意味不明でバカげた文章で始まっているから、どうにもならないのだけどね。 ほれ、これってトランプさんの主張そっくりでしょ?

(注 1) これを言っているのが、その辺のお役人ではなく、クルーグマン先生だとかメリッツ先生だとかだったら話は別だが。

政府は、ニポンの海岸にも医薬品専用の国境の壁 border wall を造ったらよいと思うよ。 Made-in-Japan の医薬品シーズと有能な人材は決して国外に逃亡しないように監視して、外国の有望なシーズと有能な人材 (注 2) だけが入ってくるような、妙に都合のよい選択透過性を備えた壁 ね。 大笑い。

(注 2) ただし、外国人は 「ニポン人の重要なポストを決して奪わず、威張りん坊ばかりのニポンザル社会の序列は乱さず、ニポン人のボスの言うことには常に従順に Yes と答え、ニポン人並の安月給と超過勤務と事務的雑用を受け容れる」 という条件を満たす有能なヒトだけ受け容れる、ってなところが本音だよね。 そんな外人さん、来るわけねーだろ。

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どこか異常なのは医薬品の世界だけではない。 名古屋闇サイト殺人事件 (ネットの闇サイトで集まった3人の凶漢が、縁もゆかりもない女性を殺害して、金をむしり取ろうとした事件)を皆さんは覚えているだろうか。 「一人殺しただけでは死刑にならない」 という量刑の常識があるニポンで、この野獣3人に厳刑を、という署名に私もサインをした記憶がある。

一審では 「2人死刑」 という判決が出たが、二審では、そのうちの一人が無期懲役減刑されてしまった。 その二審判決での減刑の理屈 (の一部) がこれだそうだ。

・・・ 本件において、殺害の様態が残虐性を増したのは、被告人らが想像したよりも被害者が簡単に絶命しなかったため、殺害の手段を次々に変えた結果である、という側面があり、・・・

・・・。

被害者の女性が必死で生き延びようと頑張ったから、残虐な殺し方をしたのは仕方ないんだそうだ。 法曹界の頭の良い人たちの考える理屈はすごいものだね。

ふざけるな。

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「ニポンを取り戻す!」 「アメリカ第一!」 などと喚 (わめ) いている人たちは放っておけばよい。 僕たちはそんなにバカじゃない。 私たちが愛すべき人、守るべき人たちは、そんな薄っぺらいスローガンなんぞとは無関係に私たちのまわりにいて、誇りをもって日々を生きているのだから。 そうですよね、Sullenberger 機長。

「Sully」。 クリント・イーストウッド監督、トム・ハンクス主演とくれば、もう鉄板である。 円熟の技。 話の結末は分かっているのに、涙が止まらず。 この映画も、点数をつけるとすれば5億点だ。