小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

さくらストロベリー風味ソースを要求しない

いやー、すまんね。 忙しくなるとブログの皆さんのことなど後回しになってしまう。 だっておまいらオレに一銭も払ってないからな。 しょせんこの世はゼニよ、ゼニ。

 

・・・ などと、しばらく会わない間に嫌な臭いを発する守銭奴に成り下がってしまったサル的なヒトだが、皆さんお元気? 実はこの2週間ほどの間にまた風邪をひいてしまい、また喉が腫れて声がでなくなっていたのである。 皆さんも気を付けて。

 

この守銭奴ザル、相変わらず企業への 完全無料出張講義 シリーズを続けている。 始めてもう10年くらい、のべ30社で実施しましたよ。 最近は2回目の会社も増えてきた。 全10回で、倫理・道徳、経済学、ゲーム理論、社会選択論、統計学、論理学、分析哲学言語学社会学の観点から、医薬品そして新薬開発の姿を追究するという信じられないほど豪華でワンダホーな講義である。 ここまで視野の広い講義が聞けるのはニポンでは (いやたぶん世界でも) 間違いなくここだけだよ。 

 

で、謝金ゼロ。 初めての会社の人たちが 「あのー、小野センセ、ホントにゼロ円でいいんですか? ホントは裏で何かお金を取ってるんぢゃないかとみんなが噂してるんですが。 たとえば研究費とか、寄付金とか ・・・」 などとおそるおそる尋ねてくるのが笑える。 ゼロはゼロだ。 一銭ももらわぬ。 最初の2社なんて、忘れてたらしくて、交通費すら払わんかったぞ (笑)。

 

ゼロ円だろうとなんだろうと大学の兼業手続きは必要なので毎度手続きをするのだが、事務のヒトから 「これ、謝金ゼロ円って書いてますが、違いますよね? もらっている研究費をちゃんと書いてください」 と怒られたこともある。 ははは。

 

 あのね、本当に大切だと自分が思うことを実行するときには、銭カネなんてまったく要りません。 謝金を欲しいと思ったことなど一度もない ・・・ い、いや、少しは欲しいけど、やせ我慢ができるのである。 そういうもんだろう。

 

*****

 

大学や病院の医師・薬剤師などが製薬企業からもらっている謝金・原稿料などの金額が検索できるサイトが評判になってますね。 これ →

www.wasedachronicle.org

 

医師、大学の先生の名前を放り込むともらっている謝金の額がポンと出てきて、確かに興味深い。 お医者さんだけでなく、薬学部の先生・薬剤師にも結構な大金をもらっている人たちがいるのね。

 

で、ここに名前が挙がったセンセーたちとその金額をどう考えるのか、なのだが、私は 「こうである」 「こうあるべきだ」 などと簡単に自分の意見を申し上げるつもりはない。 とてもややこしい問題だからな。

 

いろいろ考えるべきことがあるよね。 ほんの一つだけ挙げるとすれば、たとえばこのリストに名前が挙がることの意味。 たとえば、ここに名前も金額も挙がっていないサル的なヒトは本当にクリーンなヒトなのか、といった問題である。 謝金ももらわずに企業に協力するようなヤツの名前は載らないんだよ。

 

謝金はゼロでも、たとえば裏で 「センセーには後でスタバでフラペチーノおごってやるから。 それでいいよね」 とか企業のヒトに言われるだけで企業の言うなりになってしまうサル的なヒトのような人がいるかもしれん。 「あ、あの、それクリーム多めにしてもらえますか? あ、あと、今の季節はさくらストロベリー風味ソースもかけてもらっていいですか?」 などと言い出す悪いサルがいたりすると、「ほう、そうきましたか ・・・ フフフ、センセーも悪ですなぁ」 などと企業のヒトが言ったりするのかもしれん。

 

私が絡む悪事の貸し借りはせいぜいがスタバのフラペチーノくらいだが、これが 「子供の入学」 だったり、「天下りポストの約束」 だったり、「学会の会長ポスト」 だったり、「審議会の委員ポスト」 だったりすると謝金よりもずっと社会的に影響の大きい貸し借りである。 国民のパブリックヘルスにも影響するかもしれん。 でもそうした貸し借りって誰も公表しないんだよな (笑)

 

豊かなニポンにおける閉鎖型の席取りゲーム社会では、組織の地位・ポスト、肩書・勲章なんかの名誉の方が、多少の現金よりもずっと効果のある賄賂になるはずである。 癒着を語るにしても、現金を介したそれよりも、むしろたとえば学閥とか出身地域閥などの方が昔から大きな役割を果たしているように思う。

 

ところが学閥や地域閥 (例: 山口県出身) の人間関係 (というか、コネ) となると、ニポンの皆さんは、それを暗部・ ダークサイドではなく、誇らしいもの・素晴らしいものとして語ることが多いのな。 世の中的に成功したじいさんたちが、大学・高校のかつての同級生と誇らしげに写真に写ってる文藝春秋の 「同級生交歓」 なんてのがそうしたメンタリティの典型。 他にも役所・会社の同期とか、司法修習の同期とか。 そういう人たちの間の貸し借りは、癒着などという汚い言葉ではなく、「ヒューマンネットワーク」 などというきれいな言葉で表現されるよね。 変なの。

 

そういうことを日々考えているから、謝金をもらっている人のリスト 「だけ」 を見て、けしからんとか言ってキーッと怒る気も起きないし、逆に 「謝金の額はむしろ社会貢献の証だ」 と開き直る奴らを擁護する気も起きぬ。 どっちもビミョーに短絡的ですよね。

 

でもね、白黒を明らかにしないスタンスを取っていると、批判派・擁護派のどっちの連中からも嫌われるんだよな。 嫌われるだけでなく、いろんなところで意地悪される。 「身内じゃない奴はみんな敵」 扱い。 なんせ総理大臣が、自分を批判する国民を「敵」 扱いする国だから。

 

素晴らしいね、ニポンは。  あ、今のアメリカ様もおんなじくらい素晴らしいか (笑)

 

*****

 

海街 diary の最終巻が出ましたよ。 すずちゃん、中学校を卒業。 最終話の後のおまけストーリーがとてつもなく素晴らしい。 シリーズ第一話ですずちゃんが 「捨てた」 弟たちに、大人になったすずちゃんが会いに行くお話。 登場人物たちに経過した時間の重みは、実はそのまま、この漫画を読んでいた読者の僕たちに経過した時間の重みでもあることが分かる。 こんなに味わい深い読後感は久しぶり。 涙が相当に出ちゃう。

ありがとう、すずちゃんたち。 またどこかで会おうね。行ってらっしゃい!

海街diary 9 行ってくる (フラワーコミックス)

海街diary 9 行ってくる (フラワーコミックス)