小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

現実の方がずっと怖いからさ

ツンツン、ツンツン (とそのあたりの人たちを棒でつつくサル的なヒト)

・・・ ねぇ、みんな生きてる? 死んでない?

在宅勤務で心が病みそうな皆さん。 こんなときにも地下鉄で出勤せざるを得ない皆さん。 生きてるか? ちゃんとメシ食ってるか?

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ニポンの政治家・役人が 「おままごと」 をしていることは、さすがにもう皆さんも骨身にしみて理解しましたね? 「おままごと」 は 「フィクション (虚構)」、「幻想の王国」、「出来レース」、「お花畑」 と読み替えてもOK。 何十年間もずーっとそうだったのに、そして、それを警告する人たちがちゃんといたのに、それをみんなずーっと無視してきたのだから、今になって急に政府に罵声を浴びせても仕方ないのよ。 気持ちは分かるけど、数か月して騒動が落ち着いたら、どうせおまいらまたお花畑の住人に戻るのだから、まぁそうカッカするなって。 

あとね、ニポンの専門家って肩書や経歴だけはやたらと分厚いけど中身がどうも薄っぺらいことも露呈してますね。 これにはいくつか理由があるのだが、個々の専門家の教育・訓練をうんぬんする前に、ニポンの専門家の絶対数が少なすぎることが背景にある。

前にも書いたけど (これね → お医者さんには幕の内よりもうな重がお勧め - 小野俊介 サル的日記 )、ニポンってどの領域にも一応の専門家と称する人たちがワンセットしかいないのよ。 お役人や新薬の審査をする PMDA の審査官もそう。 エラそうな方々がワンセット、席に座っているだけ (笑)。 仮にそのワンセットが役立たずであることが判明したときに、代わりに登場し活躍すべき専門家の一群、いわば野党の専門家セットがほとんどいないのである。(注 1)

(注 1) もっとも、お役人・審査官といった、単に 「人事制度 (採用) に守られた稀少性」 をエンジョイしていた人たちについては、代わりはいくらでもいることがバレましたね。

奇妙なことに、ニポンの専門家ってなぜか皆 「自分は与党の一員だ」 と信じ込んでいる気配がある。 それって単なる幻想なんだけど。 ニポンの専門家は数が少ないから、米国のような野党ビジネス (例: 政府と逆のスタンスのシンクタンクが常にスタンバイし、政権交代機能を担う) が成り立たないのは確かだが、だからといって、有象無象の専門家が本当に全員 「与党」 の一員であるわけがない。 彼らが与党 (お上、学会の重鎮) にすがりつくビジネスモデルしか知らない、というのが実際のところなのだと思う。 気の毒なニポンの専門家たち。

「我こそは与党」 という幻想を抱いた専門家たちは、お上に重用され、政府審議会やアドバイザーの椅子を授けてもらいながら幻想を強化する。 国内の肩書・経歴はどんどん立派になるし、ニポン代表という特権的地位をもらえるから、実力とは無関係に、国際的な肩書も自動的に増え、立派になる。 肩書・経歴の割に中身が薄っぺらい専門家がニポンに多いのはそういう背景があるから。 実はニポンではまともな競争がない、という見方もできる。

その手の人たちって必然的に専門領域での行動も政治的になる。 なんたって自分たちは与党メンバーなんだから。 自分の主張やスタンスの誤りを認めなくなるし、多様な学問・科学の規範の存在を認めなくなる。 そうこうするうちに彼らが完全に 「おままごと」 の一員になって、「おままごと」 世界を死守し始めるのは、今皆さんが目にしているとおり。 「PCR検査を抑制することで医療が守られる」 と称する理屈不明の 「おままごと」 を延々と続けているのが分かりやすい例ですね。 (注 2)

(注 2) 医薬品の世界だと、ほれ、何かというと 「れぎゅらとりーさいえんす」 を念仏のように唱える人たちの行動が典型的にそうである。

むろん政府スタンスとは異なる自らの意見を堂々と発する先生方もいる。 が、そうした先生方がおそろしく卑屈な物言いを強いられていることに皆さん気付いてるでしょ。  象徴的なのが、あの山中先生。 コロナ対策について自分の思うところを述べるときに、

「批判を恐れず、勇気を振り絞って5つの提言をします」

などと書いておられる。

いや、山中先生さ、 パブリックヘルスって、何を提言したところで、倫理・効率などの観点から常に批判が存在するに決まっている領域なんですけど。 批判の起きない提言があるとしたら、それは無意味な提言なんですよ (単なるトートロジーとか)。 あとね、この程度の至極まっとうな政策提言するのにどうしていちいち勇気を振り絞らないといけないのかがさっぱり分かりません。 「理論・学説を批判的に論じることが科学的な姿勢である」 ってどんな教科書にも書いてありますけど。

つまりは、山中先生は野党に転落 (笑) するのが怖いのだろうな。 与党ど真ん中を自他ともに認めているからこそますます怖いのかもしれん。 週刊誌ネタになったように、役所に予算の意地悪をされたことがトラウマになっているのかも。 でもさ、理由は何にせよ、ノーベル賞受賞者が 「勇気を振り絞らない」 と、きわめてまっとうなコロナ対策の私的提案 (それも、宗教的信念や政治的信条に関する主張ではなく、単なる医学的な提案) すらできない国ニポンって恐ろしいよな。 そんな国、とてもフツーの国ではない。 あの独裁国家と大して変わらん。

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今後、感染者・死亡者爆発コースをたどるのか、それとも韓国・台湾的な比較的落ち着いたコースをたどるのかは私には分からない。 与えられた環境の中で黙々と自らを再生産してるだけのウイルスの気持ちを理解するのは難しい。 確率の言葉でそれを表現することは可能だけど、その 「確率の言葉」 の意味がこれまた難しく、それならむしろウイルス君に直接気持ちを聞いた方がいいのではないかと思えるほどなのだ。

でもね、そうした世界の実態を必ずしも反映しない人間社会のふるまいとしては 「おままごと」 って相当に強靭なのよ。 何が起きても融通無碍、どうとでも後付けの理屈で開き直り、自己弁護ができるから。

このブログでも何度も繰り返して恐縮だが、「瀬戸際」 だの、「ギリギリ」 だの、「正念場」 だの、「接触の8割減」 だの、「医療崩壊」 だの、「経済を取るか命を取るかの選択」 だのと、意味がまったく分からない 「おままごと」 用語が次から次に登場してますね。「薬の有効性」「安全性」 「臨床的意義」 といった意味不明語と同レベル。 言葉の意味が分からないから、文の意味も分からない。 言っていることが正しいのか誤っているのか確かめようがない。 もはや我々にできることは、失笑しながら専門家の表情や演技を見守ることだけである。  

ちなみに、「おままごと」 ってポパーのいう似非科学そのものである。「ないよりはあった方がいい布マスク」 理論とかも同様。 細木〇子の予言と同じで、決して間違えないことになっている。 政府・与党の専門家の人たちは、たぶん最後の最後まで 「自分たちは正しいことをしている (してきた)」 と言い続けるだろうから、よーく観察しておこう。 後世の教科書に載せる格好の事例がたくさん生まれたという意味では、コロナのドタバタってとても有意義な科学史的経験である。 

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ほんの数行だけコロナについて書くつもりだったのに、頭に血が上って、うじゃうじゃとつまらんことを書いてしまったな。すまんすまん。 で、ここからが今日のブログ記事の本番 (笑)。

こんなときだからこそ、作り物のパンデミック映画でタフな現状に立ち向かう心を鍛えておいた方がいいと思うのである。 パンデミック映画は、コロナ時代の心のワクチン。 不純物(B級お下劣要素) がアジュバントとして混入したワクチンほど精神的抵抗力を高めてくれる (はずである)。 先日の宇多丸のウィークエンドシャッフルでも特集をやってたっけ。

ここに紹介する映画、すべてサル的なヒトが自信をもっておすすめするラインアップである。 在宅勤務で煮詰まっているやつらは Amazon PrimeNetflix などで見てください。 夜、眠れなくなっても責任はとらんがな。 あと、小さい子供には見せるなよ。

 

サル的にストライクど真ん中はこれ。 「28日後」28週後。 「28週後」 は前にも紹介したとおり、最初は 「Under control」 (どこかで聞いたセリフだな) などと余裕をこいていたアメリカ軍 (NATO軍) が、すばらしい (むろん皮肉です) 危機管理能力を見せてウイルス感染を再爆発させ、最後は住民を皆殺しにするという、とても心温まるストーリー。 

28日後... (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 
28週後… (吹替版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

正統派の (メジャーな) パンデミック映画はたくさんある。 ちょっと古いが アウトブレイクコンテイジョンコンテイジョン って Netflix でやたら順位が上がっているらしいな。 邦画だと古くは草刈正雄緒形拳が出てる 復活の日、妻夫木くんの 「感染列島」。 これらは皆見てると思うから、説明は省略。

忘れていたのだが 復活の日 もウィルスものだったのね (当時の地球滅亡モノって核戦争モノが多いから勘違いしていた)。 昭和のおじさんおばさんには、ボロボロの恰好をした草刈正雄がヨロヨロと杖をつきながら歩くシーンが心に焼き付いてますね。 草刈さんは今も活躍しておる。 すごいなぁ。

 

ゾンビものの大御所ジョージ・A・ロメロ監督の感染モノ 「クレイジーズ」 も見逃せませんね。 軍がこっそり作っていた、人を狂わせるウィルスが墜落した飛行機から漏れちゃったというストーリー。 「The Night of the Living Dead などに見られる初期のロメロ作品のニオイが香ばしい。

ザ・クレイジーズ 特別版

ザ・クレイジーズ 特別版

  • 発売日: 2009/12/21
  • メディア: DVD
 

 

ゾンビものには名作が多いのだけど、名作が多すぎて挙げるのが難しい。 あえて変化球を挙げるとすれば 「マギー」。 娘さんがゾンビ (感染者) になってしまったシュワルツェネッガーの苦悩のシリアス演技が素晴らしい。 

マギー(字幕版)

マギー(字幕版)

  • 発売日: 2016/08/26
  • メディア: Prime Video
 

 

なおゾンビ映画を今までまともに見たことがないヒトは、まずは一番クラシックなロメロ監督の 「ゾンビ」 を見ておくこと。 「怖いのはゾンビ (感染者) ではなく、人間 (非感染者)」 という基本スタンスは、今の現実を考える際にも深い含蓄がある。 エンドロールの明るい音楽と最後の時報が死ぬほど怖いんだよなぁ。 


Dawn of the Dead - Ending "The Gonk"

 

何年か前にヒットした韓国映画 「新感染 ファイナル・エクスプレス」 はフツーの観客をターゲットにした映画なので、安心して見られる良質のエンターテインメント。 怖いというよりも感動してしまうタイプの映画ですね。 ラストのトンネルのシーン、サル的なヒトは泣いてしまったよ。 

新感染 ファイナル・エクスプレス(吹替版)

新感染 ファイナル・エクスプレス(吹替版)

  • 発売日: 2018/01/01
  • メディア: Prime Video
 

 

韓国映画といえば、実は私も未見なのだけど、宇多丸のウィークエンドシャッフルで激賞されていたのが 「FLU 運命の36時間」。 危機感のない政府を動かすために、鳥インフルエンザの感染者たちがソウルに向かって大行進を始め、軍は 「この線をあいつらが越えたら、殺せ」 と命じるあたりは、上の 「クレイジーズ」 「24週後」 と同じニオイがする。

FLU 運命の36時間(字幕版)

FLU 運命の36時間(字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 

「もうっ、サル的なヒトってホント趣味が悪いんだから。 こんな怖い映画なんてまともなオトナが見るわけないでしょ!」 という声が聞こえて来たぞ。 ふふふ。 サイコーな誉め言葉である。 でもそういうフツーの読者のために、少しユルい感染モノも一つくらい紹介しておこう。 猿の惑星: 創世記」。 この正々堂々たるSF大作も、ゼニ儲けをたくらむバイオ企業がつくったウィルスが人類を滅ぼす、というストーリーだったのを思い出した。 最後、空港で感染者から鼻血がタラー、のシーンが印象的。

バイオ企業や製薬企業って映画においてはろくなことしないのな。

猿の惑星:創世記(ジェネシス) (字幕版)

猿の惑星:創世記(ジェネシス) (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

最近の若い者は知らんだろうが、「遊星からの物体X」 とかも広義の感染モノである。 完全に外部とは遮断された南極基地の中で妙な宇宙生物が次々と感染していく恐怖はけっこうなものなので、気分転換にどうぞ。 

遊星からの物体X (字幕版)

遊星からの物体X (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

・・・ というわけで、他にも何か思いついたら書き足していきますね。 そういえば「リング」 「らせん」 なんかも感染モノか。

じゃまたね。