小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

年末だからね

うーむ。 これはいかんぞ。 いかん気がする。

紅白歌合戦見ながらこれを書いているのだが、AI さんがカムカムの主題歌を歌っているのを聴いたとたんに、涙が出てきて止まらない。 カムカムの歌を聴くと涙がこぼれるというパブロフの犬になっておる。 横で見てる家人に笑われているが、条件反射とはそういうものなのだから仕方あるまい。 舞台上のあんこちゃん (主役の上白石萌音ちゃんね) も泣いてたからな。 これはこれでいいことにしようか。

 

また一年が終わり、次の年が始まる。 この繰り返しに対する感慨も若い頃とは違うよなぁとしみじみ思う。 若い頃は考えもしなかったこと、たとえばあと何年生きることができるのだろうとか、あと何年気合を入れて働くことができるのだろうとか、あの人にあと何回年賀状を出せるのだろうとか、そんなことばかり考えている自分。 しかし何をどう考えてみたところで、人間の人生が順送りなのは変わらない。 順番に生まれ、順番に年をとって、順番にこの世からおさらばする。 それだけのことである。

 

*****

 

時々、神様が順番を間違えることがある。

 

昔の同級生宛の年賀状に一言を書き添えていた時に、やはり同じクラスメートだった女の子のことをふと思い出したのである。 すぐ後ろの席に座っていた、背の高い利発的な子。 面長で大人びていて、足が速くて、友達がたくさんいて、幼稚な僕ら男子を笑っていた。 どうして彼女の順番が違ってしまったのかは僕には分からない。 たぶん永遠に分からない。

卒業して何十年も経ったのに、教室の後ろの席を振り返ると今も彼女が笑っているのである。 幼稚な男子のいたずらに少しあきれたような顔をしながら。

僕のこの記憶の世界は一体どこに存在するのだろうと考える。 どこにもないのかもしれない。

 

*****

 

ネクサス6型のレプリカント(人造人間)ロイは ' All those moments will be lost in time like tears in rain.'  と呟き、微笑みながらこの世を去った。

 


www.youtube.com

 

' Skin job (人間もどき)' と呼ばれたネクサス9型の K は、最期の時、ただ黙って粉雪の舞う空を見上げていた。 誰かに創られた記憶と本物の記憶を両方とも大切に抱きながら。

 


www.youtube.com

 

*****

 

ロールズ先生の思想形成を語る伝記の新刊が出ましたよ。 ちょっとしたエピソード(ボストンの日本食屋でのやりとりなど)が興味深い。 いわゆる「ロールズ本」 が出るとどんな本であろうとつい手が伸びてしまうリベラルザルの私としては、1990年代、ハーバードで先生の講義・講演 (不定期だけどあったのだそうだ) に潜り込まなかったことを死ぬほど後悔しているのである。 

 

 

ロールズといい、天才ナッシュといい、同時代を確かに生きていた人類の知の巨人って実際どんな姿をしていたのだろう。 動いている実物をこの目で見たかったなぁ、と凡人の自分はつくづく思うのだ。

 

あ、正義論の改訂版も生協の本屋に平積みになっているので買いましたよ。 この分厚さがなんと心地よいこと。 ロールズ先生の誠実さの証でもある。

 

もう一つ、言語哲学に近い本。 最近よく耳にするブランダムの推論主義の入門書がとても面白かったですよ。 要は、文や言葉の意味をどう捉えるかの理屈の一つなのだが、ガチガチの外在的な意味論をまずは勉強してきた僕のような初心者の目にはとても新鮮。 デイビッドソンの意味論を読んだときと同じような感動でしたよ。

 

 

*****

 

というわけで、今年のブログはここまで。 時刻ももう 23:29 だから、本当に今年も終了だ。 来年は、皆さんにとって悲しいことはほんの少しだけ、嬉しいことがたくさん起きますように。

 

じゃ、またね。