小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

医薬品産業のマクドナルド化

寒いっすねぇ。 夜、足が冷えて、よく眠れないサル的なヒトである。 朝までずっと冷たいぞ。 今晩から湯たんぽ入れるか。 低血圧だわ、冷え性だわ、胃弱だわで、自分が男とはとても思えない。

皆さん、インフルエンザとノロウィルス大丈夫でしょうか? 手洗い頑張りましょう。 特に男性陣! トイレに入って用を足した後で、手を洗わない人たちがたくさんいますよね。 学会の会場やホテルなどで、私はいつもおぢさん・おにいちゃんたちの手洗い状況をチラチラと観察してるのだが、だいたい6割くらいの男性しか手を洗ってないぞ。 頼むから、石鹸水でちゃんと手洗ってくれ、な。 後生だから。 デフレ経済だとか、新薬グローバル開発とかを力説するのは、その後でいいから。 頼むぞ。

今日は宣伝です。

来年2月2日(土)、東大医薬品評価科学講座(サル的なヒトが所属する講座)が企画する講演会があります。 詳細は次のホームページをご覧ください。

クリック! → Intensive Course | 医薬品評価科学講座

企画の趣旨はこんな感じ。

≪趣旨≫
 1990年代以降の新薬研究開発活動の指標は、日本及び日本人の占める地位が徐々に沈下していることを示しています。 政府・企業のこれまでの対応は、 過去の負の遺産(未承認薬など)の解消には一定の役割を果たしていますが、日本の新薬R&D活動の沈滞状況が長期的にどう動くかは未だ不明です。 日本と日本人が直面している状況は、これまでの産官学の産業政策のパラダイムやアプローチを漫然と適用し、その延長線上で解決が図れる類のもの ではないのかもしれません。日本・日本企業・日本affiliate・日本人は10年後、20年後にどのような姿でこの世界にいるのでしょうか?  どのような役割を担って?

 同時に、日本・日本人の中での世代・階層・組織間の格差・不平等の問題も今考えねばならない問題です。 就業機会、組織内でのポスト、教育・訓練機会をめぐる格差は、もはや取り返しのつかない状況に至っている可能性もあります。 我々はこうした状況をどう考えればよいのでしょうか?

 今回の東京大学医薬品評価科学集中コース(Intensive Course. IC)では、新薬開発の現状を、グローバル開発・申請戦略の技術論・方 法論などにいきなり矮小化するのではなく、日本という国・日本人・日本の企業という視点(注:立場ではない)を忘れずに、大きく議論したいと思います。 他のシンポジウムでは区別されない「日本・日本企業・日本affiliate・日本人」といった区別も明確にした上で、有意味で実効性のある話をしましょう。 さらに日本の若手(「自称若手」も歓迎)が現在の困難を乗り切れるよう、若手が受けたい・受けるべき教育・トレーニングのあり方についても、 具体例を挙げて議論します。

医薬品業界では、グローバル化とは、思考停止してでも(笑)前提として受け容れるべきもの」 といった雰囲気があるが、むろんそんなに簡単なものじゃないですよね。 例えば、マク○ナルドのグローバルビジネスが普及する様を、社会学者の George Ritzer が「マ○ドナルド化 McDonaldization」 と命名したのは有名な話だ。 むろん、人間性・家族の絆・伝統などの喪失と結びついた、批判的な文脈において、である。

マクドナルド化する社会

マクドナルド化する社会

マクドナ○ド化を特徴づけるのは、「効率性」、「計算可能性」、「予測可能性」、そして「支配」。

「効率性」はすぐにイメージできる。 マニュアル(SOP)に従って、最適化された手順で調理して、お客に提供する。 製品を単純化してまでも、そうする。 要は誰が調理しても同じ。 自律性を放棄して、従順にSOPに従ってくれるヒト (例:若者) を雇用するのが良いらしいですね。

「支配」 も分かり易い。 お客さんを支配する。 「お客は、マクドナル○が用意した超限定ラインアップの中から選べ!」 と言われますよね。 最近ではメニューをカウンターに置くことすら止め、商品情報は後ろの壁に書かれているのを読め! ときたもんだ(近眼の私は苦しくて仕方ない)。 素晴らしいのは○クドナルドの椅子。 固くて、プラスチックぽくって、狭くて、座り心地が異様に悪いよね。 あれは、居心地を悪くしてお客の回転を良くする工夫らしい。 いやはや。

ファーストフードを否定したり、マク○ナルドの商品にケチをつけているわけじゃないから、誤解しないでね。 私も時々バクバクと食べますよ。 問題は、グローバルビジネスモデルとしての話である。 こういうビジネスの仕方、商品の提供の仕方、雇用のあり方、そしてグローバル化との関係をどう考えるか、である。 

そしてね、多くの人が指摘しているとおり、いろんな領域・業種でこの「マクドナルド化」が起きているのですよ。 私も、そういう業種を自信をもって一つ挙げることができる。 それは 「製薬産業」 (笑) 上の「マクドナルド化」の説明文を、製薬企業の日本人社員・日本の患者 (お客) が置かれている文脈に置き換えると ・・・ なんと、そのまま成り立つじゃあないか、おい(笑)! どうなってんだ? と思ったりしませんか?

うーむ。

「マ○ドナルド化」は切り口の一つにすぎません。 我々が議論すべきは、もっと広範で深刻な問題、例えば、民主主義の問題だったり、官僚主義 (民間だって官僚主義の問題があるのよ) の問題だったり、自由の価値の問題だったりする。

こういうことも、タブーなしに、喧々諤々と話しましょうよ、というのが企画者(私)の意図です。 今回の講演者の先生方は、皆、サル的なヒト厳選のツワモノ揃い。 こうしたややこしい問題にも鋭くコメントしてくれます(くれるはずです)。 よそのセミナーや研修会では絶対に聴けない話が聴けますよ。 あ、そういったややこしい話だけじゃなくて、学問やビジネスの王道ど真ん中のような話もちゃんと聴けますので、ご安心を。

楽しそうでしょ? お待ちしてますよー。