小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

イライラ

どーも体調が良くない。 正月は田舎で規則正しい生活をしていたのに、東京に帰ってきて、ダイエットペ○シなんぞをガブ飲みして、食後すぐにコタツで寝てしまう悪い子の生活をしてたら、酸っぱい胃酸がのど元に逆流してくる病気が復活してしまった。 逆流性食道炎というヤツですね。 胸のあたりが不愉快なり。 年に数回、こういう状態になる。

家の薬箱を見たが、困ったことに H2ブロッカーが切れていた。 仕方ないから本郷三丁目のドラッグストアでガ〇ター10を購入。 いつも思うのだが、一般薬って高いよなぁ。 1錠 150円以上。 月々の料金が高くてスマホが買えない私のような貧乏人には、ちょっとビビるほどの価格である。 命の沙汰も金次第、を痛感する。  薬の 「作用機序」 なんて言葉を一生に一度も使うことのない人たち (つまり世の中の大多数の人たち) の中には、「このガ〇ター10って薬は高いから、そっちのパ〇シロンでいいわ」 という薬の選択をしている人が、何万人かはいるんだろうね。

そういう話をしてたら、やさしい友人が 「あ、そうそう、アメリカで買ってきたランソプラゾール(日本では「まだ」医療用の良く効くお薬) のOTCがあるから、少しあげますね」 と着色が妙にどぎついアメリカ風のカプセル剤をくれた。 おお、米国はそういう状況なのか、とまた少し衝撃を受ける。 日本胃弱連盟東京支部長の私の目からすると、なんともうらやましい状況である。 今度アメリカに行ったときに、商売できるくらい買ってきてやろう。 (注 1)

(注 1) 商売ができるほど買ってくると薬事法違反でつかまる可能性があるので、良い子のみんなは注意すること。

ただでさえ胃の調子が悪くてイライラしてるのに、今日のセミナーで読んだ論文にまたイライラ。

「添付文書の改訂はPMDAが命じている」 とか、「添付文書の改訂が規制当局が採った措置の指標になる」 とか書いてある。 著者はこの業界のプロたち。 プロなんだから、添付文書に関して、最近どこがどう揉めているのか、なぜ揉めているのかを知らないわけないだろうに、こういうことを前提も、仮定も、モデルもなく、(政治的な)腹も括らず、当然のようにサラッと書いてしまうお気楽さ(無責任さ)にイラッと来てしまう。 大学にいる私ですら、副作用がらみの規制の政治的な背景、そして社会科学的なメカニズムを論じる際には、無い頭をウンウンとひねって、少しでもまともな表現をいろいろと考えるのに(にもかかわらず、しっくりくる表現に出会えることはほとんどないのに)、どうして現場にいるはずの業界人がこれほどナイーブな(幼稚な)表現をするんだろう? 学術誌だから、とか、英語の論文だから、ということが免罪符になるわけがあるまい。

業界紙の記事や一般紙の社説に見られる、思考停止の産物としての、前提や背景を無視したユルい結論が、最近では立派な学術誌の論文にすら溢れかえっていることに目眩を覚えることがある。 例えば

  • ドラッグラグが短縮した。 良かった、良かった」
  • 「副作用数が減った。 良かった、良かった」
  • 「審査期間が短縮した。 良かった、良かった」

とかいった類ね。 日本語でこう書けば、どこらへんが幼稚園児並かは皆さんにもすぐにわかりますよね(ヒント: トレードオフを考えよう)。 でもね、日本人が書いた英語の論文には、こういう表現がゴロゴロ出てくるんですよ。 読んでるこっちが恥ずかしくなる。

そういえば、今朝の読〇新聞の社説もひどかったなぁ。 空疎な文章の見本。

・・・最大の問題は、安全性、有効性を確かめる臨床試験をどう効率化するかだろう。 日本の臨床試験は海外に比べ、承認に年月がかかると批判されている。 厚生労働省は、臨床試験制度の改善に本腰を入れるべきだ。

何を怒っているのか、何を提案してるのかが、さっぱりわからん。 これを書いてる人って新聞社のエライ人なんだろうが、たぶん誰かが言っていることの聞きかじりで、この領域の問題の構造が本当は全くわかっていないのが丸わかりだ。 私が、ろくに知りもしない金融政策について書いたら、きっとこんなふうな情けない文章になるぞ(笑)

いかんいかん。 出来の悪い社説の文章をタイプしてたら、イライラしてきてまた胃酸が逆流してきた。 のどが酸っぱい。 1錠150円のガス〇ー10飲んで寝ることにしますよ。 某社の利益率の向上に貢献しましょう。