雪ですね。
週末フラフラと遊びに出かけていた人たち、ちゃんと自宅に帰り着いたでしょうか。 東大の構内では、べっとりとへばりついた雪の重みのせいでかなり太い樹木までバキバキと折れてしまい、道をふさいでましたよ。 週末で人が少ないもんだから、雪が積もるままになっていて、長靴がないと歩けない状況。 センター試験のある来週じゃなくて良かったかも。
諸般の事情が重なって、連休は3日とも大学の図書館で仕事。 これを充実した連休と呼ぶか、あるいは、廃人への道を着々と歩んでいると見るかは、見解が分かれるところである。 All work and no play makes Shaun a dead boy.
というわけで、今週末に見た映画はこれね。 「Shaun of the Dead (2004年、英)」。 勉強ばかりのようなことを言っておきながら、実はフラフラと超くだらん(褒め言葉である)映画をしっかりと見ているのであった。 この手の映画を見てワクワクしてるサル的なヒトって、さっきとは別の意味でちょっと廃人っぽい。
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ストーリーを話しても意味がない類のホラーコメディである。 さえない独身男性のショーン Shaun が、ゾンビであふれかえったロンドンで友人たちと共にサバイバルを図るが ・・・ という、まぁそれだけの話なのだが、全編に散りばめられたテンポの良いギャグが素晴らしい。 恐怖と笑いは紙一重であることを痛感。 未見のヒトはぜひどうぞ。 むろんゾンビ映画だからグロいシーンが出てくるので、そういうのがダメな人は見ないでね。
ロンドンを舞台にしたホラー映画っていうと、あのダニー・ボイル監督の「28日後 (28 days later)」、その続編の 「28週後(28 weeks later)」 が有名ですね。 有名なロンドン橋の界隈が無人の廃墟と化した 「28日後」 の冒頭のシーンは一見の価値あり。
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この2つの映画をゾンビ映画と呼ぶ阿呆が多いのだが、これらに出てくるコワーい連中は 「怒りウイルス rage virus」 に感染して狂暴化した人間ですからね。 勘違いすんなよ。 すごい勢いで走りながら襲いかかってきて、ガブリと噛みつく人たちって、オロオロと歩いてモノのあわれを感じさせるゾンビよりもはるかに恐ろしいぞ。
「28週後」の主人公のおっさんは、自宅で襲いかかってきた感染者にビビッてしまい、助けを求める嫁さんを見捨てて、スタコラと逃げだした。 「ムキー、俺もアイツらの顔を見たら、もうその時点でダメだな。 見捨てるだろう、これは ・・・」、と心の中で呟いていたら、映画を一緒に見ていた家人から冷たい視線が。 なんで考えていることがわかったんだろうか。
ホラー映画なんてのはキャアキャア言いながら楽しめば良いのだが、中には優れた文明批判や都市批判になっているものもある。 上述のロメロ監督の Dawn of the Dead のラストシーン、荒れ果てた巨大ショッピングモールを目的もなく彷徨うゾンビの群れの俯瞰は、くだらん消費文化、あるいは現代文明と称するものの中で死人のように生きる我々に対する痛烈な皮肉である。 (こういう指摘も陳腐だなぁ。)
最近ニュースになった事件や自分自身の身の回りに起きていることを見ていると、「生きている人間の方が、死人や幽霊よりもずっと恐ろしい」 と心の底から思うようになった。 近い将来、作り物のホラー映画を誰も楽しめなくなる日が訪れるかも、という恐怖。 いやはや。