小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

いや、正直すまんね

大学のそばの交差点に、と〇豚テジという焼肉屋さんがある。 美味しい豚焼肉屋さんなので、時々ランチやコンパに使っているのだが、ちょっと困ってしまうことがある。 時々お店の前で、お店のマスコットキャラクターのユルキャラ、ピンク色のかわゆい豚さんが手を振ってくれているのだ。 こちらとしては、あんたを食っちまおうと食う気満々になっているわけである。 そこでニコニコした豚さんに愛想良くされてしまうと、

「 ・・・・ いや、正直すまんかった。 あんたを食っちゃいかんよな、食っちゃ。 人間は菜っ葉食っても生きていけるんだもんな。 顔洗って出直してくるわ」

という感じで、完全に出鼻をくじかれた気分になってしまう。 ステーキ屋さんの看板に、ペロリと舌を出したかわいい牛さんが描かれているのを見ても、同じ気分になるよね。 「 ・・・ いや、正直すまんかった。 そのかわいい舌を塩コショウで食っちまおうと思ってたオレが悪かった。 顔洗って出直してくるわ」 となってしまう。 半分は冗談だが、半分はマジである。 読者の皆さんはいかがだろうか。 

こうした話は、食文化のそもそも論に近いところに登場するごくありふれた問題だ。 食文化に関する私の感受性や意識が特段高いというわけではない ・・・ いや、そう言えば、ゾンビ映画や宇宙人が出てくるSF映画で、人間がパクパクと(あるいは怪物によってはジュルジュルと(笑))食べられてしまう、なんていうシーンをよく見かけるから、というのはあるかもしれんが。

そういえば何十年も前の、あの有名なアメリカのテレビSFシリーズ The Twilight Zone で、突如でかいUFOに乗って変な顔をした宇宙人がやってきた話があったのを思い出した。 最初は人間もおっかなびっくり接していたのだが、機械の翻訳機(笑)を介して会話ができることがわかったので、人間が 「あなたたちは、なぜこの地球にやってきたのか?」 と尋ねたのである。 そしたら、その宇宙人の答えが、

「To serve man (人間にご奉仕するため)」

というものだったので、人間は大喜び。 で、たくさんの人たちがUFOに乗って宇宙人の星に行くことになったのだが ・・・ 皆さん、もうお分かりですね。 「To serve man 」 って英語には 「人間を料理(エサ)として提供するため」 って意味もあるのだ。 ああ、勘違い(笑) 哀れ、主人公のおっさんたちは、エサとして宇宙人の星に連れ去られたのでした。 「なんだよ、その一発ギャグのようなネタは」 という気もするが、白黒映画で深夜にこれを見せられると、なんとも気持ちの悪いものであった。

The Twilight Zone シリーズには、こういう一発ネタだけでなく、もっとどす黒い、人間の心の闇を覗いた素晴らしい話がたくさんあるので、見たことの無い若者はぜひ TSUTAYA で何作か借りてみてね。

話をガッツ石松風に言うと 380度戻す。 まともな「食」の話だ。 自分で飼育した豚さんを自分自身で食べるこのお話はお勧め。 後半の淡々と抑えたトーンの文章が、筆者の誠実さをとてもよく表していると思う。 

飼い喰い――三匹の豚とわたし

飼い喰い――三匹の豚とわたし

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おっと、ラジオ野郎どもへの告知を忘れるところだった。 今日は、久々の中島みゆきさんのオールナイトニッポンの日ですぜ。 例の月一で再開するヤツ。
中島みゆきのオールナイトニッポン月イチ|毎週日曜日3:00~5:00|ラジオFM93+AM1242 ニッポン放送 

日曜日の深夜3時から5時まで(つまり月曜日の早朝)。 「一体誰がこんな時間に起きてるんだ? そんな時間に眠れないで鬱々としている奴は、だいたいどこか危ない野郎どもだぜ(含自分)」 ってな時間帯に、生放送。 サル的なヒトは、当然起きていて生放送を聴く気でいるのであるが、しかし翌朝月曜日1時間目の講義を抱えている身でもある。 さて、結局どうなるのかは神のみぞ知る。(注 1)

(注 1) 実を言うと、何百時間も録音可能なソニーのラジオを最近買ったんですよ。 録音して聴くっす。 みゆきさん、正直すまんです。 俺も齢をとりました。 あなたと同じく。

で、皆さんがこのブログを読んでいるのは、すでに翌週の月曜日以降だろうから、この告知は、みゆきさんの放送を聞き逃した一部のラジオ野郎どもを悔しがらせるためだけのものともいえる。 もう少し早く書くべきだったね。 いや、正直すまんかった。 聞き逃した方は、また来月に。

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毎年毎年、新緑の美しさに心を奪われつつ、それを眺める自分自身の心の変わりように、驚く。 難しいなぁ、今この時をただ生きるというのは。 考えすぎるお年頃だ、我々は。

オフィスの机の中で賞味期限が1週間ほど前に切れたサツマイモ入り蒸しパンがあるから、新緑が映える三四郎池にいる鯉と鴨に食べてもらおうか。 いや、正直すまんね、いつも撒くエサが賞味期限切れのパンばかりで。 大丈夫、あんたらを太らせて、捕まえて、食ってやろうとは思ってないから、安心するがよい。