小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

寒いから、ま、こんなもんで

寒い。 部屋が寒すぎて、昨年と同じく耳にしもやけができて、痛痒い。 で、部屋の中でも毛糸の帽子をかぶって、マフラーをして過ごしているのである。 夏暑くて、冬寒い、ニッポン ・・・ あ、当然か。

ここ数日、学生さんの論文の最終チェックにかかりきりで、結構大変である。 しかし、私よりももっと大変なのは、言うまでもなく、学生さん本人である。 Yさん、もうひと踏ん張りです。 頑張りましょう。

ちなみに、Yさんの研究は、市販後の医薬品の副作用発現、そして、安全性措置 (添付文書の改訂) に関するものである。 これらって、単純な因果関係のパス図が書けないし、内生性 (システムの中で因子同士が互いに影響を与え合って生じる変動) の回帰分析上の扱いが難しいし、薬剤疫学の問題を超えて、行動経済学的な問題、意思決定論の問題、社会心理学認知心理学的な問題が入り込んでいるから、そもそもの仮説の設定自体が難しい。 標準的なアプローチなんていうものがない難問に真正面から取り組んでいるのだから、それは大変だ。

しかし、そうした苦闘の中で、Yさんはいくつか面白い新発見をしてくれた。 例えば、業界人ならばいわゆる 「市販直後調査」 と 「全例調査」 というヤツ、知ってますよね。 この二つの調査って、副作用発現・安全性措置に与える影響がだいぶ違うのですよ。 どう違うのか? それはなぜか? ・・・ それは、氏の論文が完成したら紹介します。 乞うご期待。

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余談だが(注 1)、こういう風に学生の指導や研究に追われているときには、スケジュール帳は真っ白である。 本業の忙しさとスケジュール帳の埋まり方は反比例する。 さらに悪いことに、大学では、会議や仕事のスケジュールをイントラネットに書き込んでくれたり、仕事の締切の接近を警告してくれる人は誰もいない。 死ぬほど忙しいときには、仕事が舞い込んでもそれをスケジュール帳に書き込むことすら後回しになってしまい、こともあろうに結局その予定の存在をすっかり忘れてしまう、なんてことがある。 そうやって反比例がますます悪化する悪循環。 ちなみに、原稿や論文査読の締切が一番やばい。 ご迷惑をかけた方々、すみませんです。 

(注 1) このブログに余談以外の何物があるのか?と疑問をお持ちの方。 あなたは正しい。

研究所などで働いておられる方々は、もしかして同じ感慨をお持ちでしょうか。 企業や役所で働いている方々の多くはおそらく逆ですよね。 スケジュール表の埋まり方が仕事の忙しさと比例するでしょ?

・・・ などと思っていたら、すずしろ日記<弐>で山口画伯も同じことを言っていた。 「予定表が埋まっていないと世間様から 『遊びみたいな仕事しやがって』 と思われているようでならない」。 うん、わかるわかる、その気持ち。 やたらと空白が目立つ自分のスケジュール帳を前にして、「世間様、ごめんなさい」 と、いたたまれない気持ちになってしまって、「19:00- 珈琲店訪問」 なんて意味不明の予定をスケジュール帳におもむろに書き込んだりなんかして(笑)。 単なるスタバでコーヒー一杯だったりする。 定年退職後、僕らニッポンのサラリーマンは、程度の差はあってもきっとそうなる。(注 2)

(注 2) そういえばこういう social self 的なメンタリティが若い人たちにも蔓延していることにイライラして、昨年こんな記事を書いたのを思い出した。 → 学生さんへのアドバイス - 小野俊介 サル的日記 一年経ってすっかり忘れてました。

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ということで、今日はちょい忙しいのでこの辺で。

あ、そうそう、ホリエモンの (たぶん) 最後の獄中記、とても面白い。 今回のは検閲無しだそうで、前歯が抜けてしまった事件の真相 (刑務所内の同僚(笑)に殴られたらしい) も書かれていた。

もう一冊。 これも定番、夢枕獏陰陽師の最新刊。 相変わらずよいなぁ、この世界観。 陰陽師の新刊が出ると、毎晩寝る前に一話ずつ読むことにしている。 何話もまとめて読むなんてことはしない。 もったいないから。 鬼、物の怪、式神、・・・ 闇の世界に跋扈する住人たちの何と楽しいこと、何と哀しいこと。 宝物のようにその一話を愛でながら読み終えて、感慨に浸りつつ枕元のスタンドを消す。 真っ暗になった部屋の隅に、昼間には姿を現さないそいつらの気配を感じながら、「フフフ、あんたらにも住みにくい世の中だよねぇ」 などと愉快な気分になって、トロトロと眠りに落ちる、その幸せなこと!

陰陽師 蒼猴ノ巻

陰陽師 蒼猴ノ巻

では、また次回。 おやすみなさい。