小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

新入生をどつかない

新年度、皆さんいかがお過ごしですか。 新しい部署や職場で、いきなり無茶苦茶な仕事が降ってきて、泣きそうになっているヒトもおられようが、生き延びてくださいね。 たいていのことは、右往左往してやり過ごしてさえすれば、何とかなるもんです。 そうこうしているうちに、ベテランと呼ばれるヒトとなり、思考停止したままでも成り行きで日々が過ごせるようになるから。

*****

昨日は大学の入学式。 雨の中、新入生約 3,100人が武道館に集結したらしい(ニュースでしか知らないのだけど)。 で、入学式を終えてやって来たと思しき新入生を本郷キャンパスでも多数見かけた。 新入生は見てすぐにわかるのよね、スーツ・ジャケット姿がやたらと初々しいから。 スーツに着られている感じ。

そしてもう一つ、誰にでも分かる簡単な新入生識別法がある。 それは、誇らしげなパパリン、ママリン (時にはババリン) が一緒にいること(笑)。 みんなしてよそ行きの格好して、お子さんと一緒に歩いている姿は、なんともめでたい気持ちになる。 「よかったですねぇ、おかーさん」 などとつい声をかけてしまいたくなるのである。

で、私は生協食堂で一人、昼飯 (タンメン 340円) を食べていたのである。 「うん、いつものことながら、この火の通っていないジャリジャリな感じのキャベツと玉ねぎの歯触りがなかなかイイもんだ」 などと呟きながら麺をすすっていると、隣にスーツを着た新入生のひょろりとした兄ちゃんと、そのお母さんがやって来て座った。 二人とも生協の定食のセットである。 「ここ、空いてるよね」 とか言いながら荷物を降ろして、席に着く。 見ていると、新入生の兄ちゃんはすくっと立ち上がって、近くの給茶機から湯飲みにお茶を二つさっさと取ってきて、黙って一つを母親のトレイに置いた。

「ありがとね」 と息子に礼を言うお母さん。 息子、沈黙。

「よしよし。 お前、やさしいぢゃあないか」 と隣でタンメンをすすりつつ、心の中で青年を誉めるサル的なヒト。 さて、新入生とそのおかあさんは一体どんな会話をするのだろうか、と興味津々で耳をそばだてた。

・・・ カチャカチャ (お箸と食器の音) ・・・ カチャカチャ ・・・

・・・ カチャカチャ ・・・ ズズ (みそ汁をすする音) ・・・

・・・ カチャカチャ ・・・ ズズ ・・・

・・・

無いぞ。 まったく会話が無い(笑)

こらっ、にーちゃん。 せっかくお母さんがこうして入学式に来てくれているのに、なんかいろいろ話してあげんかい! 

「微妙な味だねぇ」 とか、「ここは人民食堂みたいだねぇ」 とか、「疲れたねぇ」 とか、「隣でタンメン食べてるオジサン、なんだかサルっぽいねぇ、クスクス ・・・」 とか、なんか一言や二言くらい話すことくらいあろうが!

ゴルァ ヾ(*`Д´*)ノ"

・・・ と少々イラッときたのだが、ここで隣からしゃしゃり出て、武田鉄矢風に 「こらぁ、おまえ、なんばしよっとかぁ!」 と新入生のにーちゃんの頭をど突いたりすると、週刊文春あたりに 『呆れたサル的暴力教員! 入学式の日に新入生をいきなりどつく!』 と書かれたりして話がややこしくなる。 ここは黙って我慢。

周りを見渡すと、男の子のご家族は、みーんな、葬式の帰りのように黙りこくってメシを食っている。 親が浮かれて学食内の写真を撮ったりしてるのに、息子はブスーっとした顔だったり。 一方、新入生が女の子のご家族はちゃんと会話が弾んでいるのよ。 特に母親と娘の会話は本当に楽しそう。 うーむ、なんという違いだろう。 心の中で大笑い。

でも、このくらいの年代の男の子なんていうのは、みんなこんなもんですね。 何を隠そう、昔の自分自身がそうだったのだから、よく分かる(笑)。 32年前の入学式の日、せっかく田舎から東京に来てくれた母親にろくな応対もせず、まともに会話をすることもなかったバカ息子がここに約一名いるのである。 あ、そう言えばその日の朝、寝坊して迎えに行くのが遅れ、朝焼けの上野駅に母親を1時間ばかり放置してしまったことも、これを書いていて32年ぶりに思い出したぞ。 あいやー。 100%純正の親不孝者じゃん、自分。

ご、ごめんよ、かあちゃん。 マジすまなんだ。
 m(。・ε・。)m 

タンメンを食べ終えたサル的なヒトは、おもむろにケータイを取り出すと、

母上様

東京は新緑の季節となりました。
ところで 32年前は失礼いたしました。
ここに深くおわび申し上げます。

という反省のメールを厳粛な気持ちで送信したのであった。

*****

久しぶりにブラピの映画、見ましたよ。 典型的アメリカ戦争映画、フューリー(Fury)。

プラモデルの戦車をたくさん作った世代としては、戦車が主役の映画であること自体は嬉しいが、しかし、これは純然たる戦争映画。 殺し合いの映画。 メッセージが戦争の虚しさ、バカらしさであることは先日紹介したイーストウッドの American Sniper と同じだけど、こっちは軽いなぁ。 ブラピ主演だから仕方ないか。