小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

女性の言うことは、たいてい、正しい

女性の言うことは、たいてい、正しい。 52年の人生で学んだ貴重な教訓である。

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月曜日の朝。 雨がしとしとと降っている。 出勤しようとする玄関で家人が 「雨、結構降ってるから、防水靴にした方がいいよ」 と言う。 でも家にある防水靴って、実はごっつい雪用のブーツなのだ。 おまけにサイズが僕の足のサイズより2センチくらい大きいのである。 サイズが根本的に合っていないもんだから、履くと必ず足が痛くなる。 が、むろん貧乏人は、足に靴を合わせるのではなく、靴に足を合わせるが基本だから、足が痛くなろうとなんだろうと、我慢して履く。 でも、できることなら履きたくない(笑)。 そんな複雑な防水靴なのだ。

というわけで、家人が防水靴を勧めたにもかかわらず、ふだんのウォーキング靴で 「いってきまーす」 と出かけたのである。 なんとかなるさ、と愚かにも思ったのである。

が、家から50メートルも歩かぬうちに、つま先が冷たくなってきた。 さらに100メートルくらい歩いたら、靴底全体がねっとりと冷たくなって、さらに100メートルくらい歩いたら靴の中がガッポンガッポンの水浸しに。 あーあ。 絶望的に気持ち悪い。

このブログの熱心な読者ならご存知かと思うが、私が買う普段履きの靴は、例外なく、ほんの少しの雨でもなぜか盛大に水が入ってくるのである。 何回買い替えても、水が入ってくる不良品の靴しか入手できないのだ。 「10センチ防水」 とか銘打っているのに、である。 前世で靴職人に相当に根深い恨みを買っているのだろうな、自分。 すまんかったな、前世の靴職人さん。

大学のオフィスに到着。 べしょべしょに濡れた靴下を干す。 泥水まみれで、腐ったドブのような臭いがする。 この水分には、犬のおしっこやおっさんの吐いた痰の成分なんかがたっぷり含まれているのだろう。 異臭を感じて、秘書のおねいさま方は近寄って来ない。 靴にはティッシュを詰めたが、なかなか乾かない。

こともあろうに、月曜日には3つも講義を抱えているサル的なヒト。 講義中は靴を履かねばならぬ。 そんな規則はないけど、サンダル履きでの講義は自分の美学が許さんからな。

そうすると、必然的に次のような地獄の足臭サイクルに突入するのである。

(1) まだ腐った臭いのする湿った靴下をはき、まだ濡れている靴を履き、一コマ目の薬事関係法規の講義 (105分) をする。 靴下が再び水を吸ってビショビショになる。 足が異様に臭い。
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(2) オフィスに戻って、濡れた靴下を干す。 でも乾かない。
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(3) 45分後、再びまだ腐った臭いのする靴下をはき、濡れた靴を履き、二コマ目の大学院の講義 (105分) をする。 靴下が再び水を吸ってビショビショになる。 足が異様に臭い。
   ↓
(4) オフィスに戻って、濡れた靴下を干す。 でも乾かない。
   ↓
(5) 30分後、再びまだ腐った臭いのする靴下をはき、濡れた靴を履き、三コマ目の社会人向け講義 (180分) に参加する。 靴下が再び水を吸ってビショビショになる。 足が異様に臭い。
   ↓
(6) なんか薄ら哀しくて、目から悔し涙がこぼれ落ちる。

今回のRCのディスカッションでは、私からの批判的な突っ込みが妙に少なかったという印象を受講生の皆さんに与えたかもしれん。 その原因の一つが
「靴下がビショビショで、足が臭くて、なんだかとても哀しい気持ちになってしまっていたこと」
であったとしても、怒らないでいただきたい。 すべては、今朝、嫁さんの言うことをちゃんと聞かなかった私が悪いのだから。

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本の自炊を継続中。 昔ほどの勢いはなくなったが、それでも少しずつは本や資料をバラバラにして、pdf にして、本・資料をゴミ箱に捨てていく、という作業をコツコツと継続しているのである。 自宅の本棚も、大学のオフィスの本棚も、最近少しずつ空きスペースができた。 精神衛生上まことにすばらしい。

夢も希望もない真っ暗闇のこのご時世で、自分の夢を語るのはバカげてはいるのだが、実はサル的なヒトには壮大な夢があるのだ。 それは、こうやってすべての本を毎日少しずつ処分し、最後は自分の大好きな本1冊だけを枕元に置いて、死ぬこと。 「あぁ、とうとう俊介おじいちゃん死んじゃったね。 1冊の本だけを残して。 最後まで残したこの本には、いったい何が書いてあるのかしら?」 なんて遺族は深い思いを抱いたりするわけである。

あぁ、なんと素晴らしい死に方だろう。 方丈記鴨長明もかくあらんという日本人の最期の姿である。 断捨離の究極とも言える日本の美である。

・・・ という夢を、秘書のおねいさんに切々とドヤ顔で語ったのである。 そしたら、モノの道理というものが私よりもはるかによく分かっているその秘書さんは、深くため息をつきながら、こうおっしゃった。

「あのね、センセ。 毎日セコセコと大量の文書を32ギガのUSBメモリーに取り込んでサルのようにニヤニヤしている鴨長明がいったいどこにいるっていうんですか。 センセのやってることって、方丈記とか徒然草のココロとは真逆だってことに、もしかしてまだ気づいてないんですか?
┐(´ー`)┌ フッ 

・・・

・・・

・・・ ほらね。 女性の言うことは、たいてい、正しい。