小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

祖師ヶ谷大蔵にニポンの未来を見た

すまん、すまん。 日々の生活に疲れ果てて、ブログを書くのを忘れていた。 いや、リア充というわけではなく、その正反対なのでご安心ください。 皆さんはお元気? 急に寒くなって、暑かった頃がなんだか懐かしい。

先週、とある用事があって祖師ヶ谷大蔵 (そしがやおおくら) に行ったのである。 祖師ヶ谷大蔵って言っても、東京の住人以外にはピンとこないと思うのでザックリ説明しておくと、要は都会の住宅街である。 小田急線沿線で都心にも近い。 隣の駅が成城学園であることから分かるように地価は相当に高い。が、まわりの街に比べたら庶民的で住みやすいと言われる。 昔からの商店街 (ウルトラマン商店街ってヤツが有名です) や、ちょっと歩くと畑・農地もあったりして。 そんな街である。

午前11時。 用務先に直接行くには早すぎたので、ドトールでちょっと時間を潰すことにする。 かなり大きなドトールのお店が駅に隣接してる。 都心にある店舗と違って座席の間隔が広くて良いなぁ、などと思いながら店内を見渡していたのだが ・・・ なんか雰囲気がよその店と違うことに気づいたのである。 何が引っかかるのかが分からないが、何かが引っかかる。 なぜだろう?と思ってさらに店内を注視したら ・・・ 気付きましたよ。

定年退職者のおっさん・おじいさんの比率がとても高い ことに。

会社を定年退職したと思しき風体のおっさん・おじいさんたちだらけ。 数えたら、店内の客の35人中12人がそうであった。 3分の1。 彼らは読んでいるのが本か新聞という特徴がある。 誰一人スマホを見ている人がいないのね。 多くは老眼鏡をかけて、下を向きながら、活字を追っている。

うーむ。 これはいろいろ考えさせてくれる光景である。

おそらくこの人たちは皆、それなりに健康で、お金もそれなりにある恵まれた人たちなのである。 健康でないとコーヒー飲む気にもならんだろうし。 本当に貧乏なら喫茶店でコーヒーなんか飲めないだろうし (もし毎日ドトールに行く余裕があるのなら、時々飲むファミマの100円コーヒーが唯一の楽しみの僕よりも確実に豊かである)。 いやそんなことより、何と言っても、あのおじいさんたちは祖師谷大蔵界隈の住人なのだ。 その時点で僕よりは数十倍は経済的に豊かに決まってる。

でもね、このおっさんたち、なんか楽しそうじゃない。 みんな苦虫かみつぶしたような顔をしてる。(注 1)

(注 1) どんな顔していようと余計なお世話ではある。顔はあんな顔でも、実はとても充実感あふれる幸せな老後を送っているのかもしれない。 もしそうだったら、ごめんなさいね。

一組だけ店内にいるおばあさん二人組は好対照。 おばあちゃんたちは、ぺちゃくちゃぺちゃくちゃと話し、ケラケラケラケラと笑う。 アイスティーと思しき飲み物はとっくに空っぽだけど、そんなことはどうでもいいのね。

再び、うーむ。 自分も苦虫かみつぶしオヤジたちと年はそう大して離れていないのだ。 年齢的には彼らに仲間入りするのはもうすぐ。 でも、このドトールおっさんたちに仲間入りするのは、なんだか相当に抵抗感がある。 もっとも、僕の場合は金がないから、ドトール仲間にはそもそもなれないだろうけど。 毎朝、開館と同時に図書館で新聞の争奪戦をするおっさん・じいさんの仲間入りか。 制度崩壊が誰の目にも明らかな年金暮らしだと、新聞代も払えなくなるだろうからな。

いずれにせよ、抵抗しても無駄なのである。 それが加齢。 生命の、テロメアの、真理だもの。

それにしても、ニポンのおっさん・おじいさんって、どうしてあんな怖い顔してるのかね。 もう少しにこやかな顔ができんものか、とは思うぞ。 円満でやさしい顔をしたジジイがニポンにはほとんどいないのは異常である。 あれでは奥さん・子供が寄ってこなくなって当然。 もっと笑おうよ。 フフフ、とかさ。 面白いこととか、ギャグとか、もっとどんどん言えばいいのよ。 サル的なヒトなんか、頭に思い浮かんだことがあまりに面白すぎて、他人にそれを話す前に一人でムフフ化してしまう、という困った癖があるのだが、そんなふうな妄想自家発電してもいいのよ。(注 2)

(注 2) 長年にわたり、くだらないギャグをしつこく言い過ぎたため、近頃は家人も秘書のおねいさんも僕の言うことをまったく聞いてくれず、現実逃避としての自家発電を余儀なくされているだけ、とも言われている。 ムキ−

・・・ というような話を秘書のおねいさんたちにしたら、「あのね、センセー。 おばちゃん・おばあさんたちは、お友だちと女同士で、もっとおしゃれなお店で、もっと楽しくおランチしてますから、ご心配なく」 とのこと。 そうだよなぁ。 男って、威張るし、怒鳴るし、汚いし、臭いし、粗暴だし、顔が怖いし、会社の肩書の話しかしないし。 そんな不愉快な生き物に付き合う義理はまったくない。 

*****

ブレードランナー2049」。 見てきましたよ。 レイトショー、7割がた外人さんで埋まった渋谷で。 隣の席では、刺青が入った背の高い白人の兄ちゃんが、けばいニポン人のねーちゃんを連れてイチャイチャしてやがる。 なんと、持ち込んだチューハイをこっそり飲んでるぞ、こいつ。 お、おまいら ・・・ 実にいい感じじゃないか! 一億点だ! ブレードランナーの世界観を渋谷で忠実に再現するなんて、あんたたち、サイコーだぜ! 

そして至福の160分。

雪が舞うエンディング。 こ、これは、35年前のロイの最期への答えだ ・・・

感動のあまり席が立てない ・・・ 
な、涙が (´;д;`)ブワッ 

映画の中身については何も語るまい。 語れるものなら何時間でも、いや、何十時間でも語りたいのだけれど、あえて何も語るまい。 本当はあの名作 「メッセージ」 も監督したドゥニ・ヴィルヌーヴのことや、めまいがするほど美しかった(過去形) レイチェルのことを語りたいのだが、心に留めおこう。

今はただ、僕らとともに時代を歩んだ、この素晴らしいおとぎ話に感謝するのみ。

あと35年もしたら、僕らはみんな tears in the rain。