小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

夏の終わりはつらつらと

急に涼しくなって、なんだかとても心穏やかになってしまったお盆明けの週末。 皆さん、お元気?

夏の終わり、急におセンチ (これって死語か?) になってしまうのは毎年のこと。 53歳のおっさんになってもそのあたりは変わらない。 ♪ ミスター サマータイム あの夏の日 ・・・ なんて呟きながら、蜩 (ひぐらし) の声を聴く。

「今年の夏は暑いねぇ」 などとあまり意味のないメールを岩手の友人に送ったら、近況とともにこんな写真が返ってきた。 やっぱり、もうすぐ秋なのだ。

中学・高校と岩手の地方都市に住んでいたサル的なヒト。 ハンバーガーショップも、予備校も、フジテレビの電波も無い、そんな田舎である。 つまりとても幸せで心豊かな青春時代を過ごせたということ。

何年か前にも書いたが (これね → 指導者と称する方々、ありがとう - 小野俊介 サル的日記)、部活動というキチガイじみた集団行動に参加していなかった自分は、放課後必ず、学校そばの図書館に立ち寄っていた。 図書館で勉強、というのは実はタテマエ。 要は学校や同級生たちと一緒にいるのが嫌で嫌で仕方なかったのである。

図書館は川の堤防のすぐそばにある。 誰にも声もかけられず、邪魔もされない放課後の一、二時間。 二階建ての小さな図書館の窓から、山々の季節の移り変わりをぼーっと眺めている時間はとても幸せであった。

あ。 そういえば、その図書館に毎日通っていたのは、もう一つ理由があったことを、今思い出した。 それはとても素敵な司書のおねえさんがいたこと。 ショートカットのおねいさんの顔が見たくて、せっせと図書館に足を運んでいたのだった。 本の返却が遅れておねいさんに叱られたときには 「おねいさんにこのままずっと叱られ続けていたい」 と当時の純朴な自分が思っていたかどうかは思い出せぬが、とにかく相当に幸せであったよ。

・・・ などということをつらつらと思い出す夏の終わり。 読者のみんなも仕事や勉強ばかりしていると、ろくな人間にはなれないぞ。 人間は、知ではなく痴 (いや、情というべきか) に生きるのが常に正しい。 ほれ、少しぼーっとして、昔大好きだったあの子のことを思い出しなされ。 泣くときは声を出さずにな。

♪ 苦しめないで ああ 責めないで 別れの辛さ知りながら ・・・ 僕ももうしばらくの間、遠い目をしてボーっと ・・・ あ、やばい。 学生の論文の添削すんの忘れてた。

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前回の記事で 「トム様、サイコー!」 などと叫んでおきながら、なにを血迷ったか、製作費300万円のこっちの映画を見てしまったサル的なヒト。 「カメラを止めるな」。

サル的な本能というべきか、なかなかに素晴らしい拾い物をしてしまった。 映画は製作費の多寡ではないことを証明した作品。 まだ見ていない人はお早めに。 事前のネタバレは厳禁。 よろしくでーす (笑)

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8月は戦記・戦史を読むと決めている。 今年も 「レイテ戦記(大岡昇平)」、「散るぞ悲しき(梯久美子)」、「戦艦武蔵吉村昭)」、「夜と霧(VE フランクル)」 などを読み耽る。 文庫版で最近出たこの本も。

先の戦争での日本軍の軍人さんの死者数が230万人。 うち140万人が餓死(衰弱による病死を含む)。 知ってましたか?

ニポンという国の政府の、国民の命の扱いは昔からこの程度である。 いわゆる戦犯は戦後に裁かれたのかもしれぬが、同朋を餓死させた責任をとった人は誰一人いないのではなかろうか。 たぶん。

崩壊必至の年金制度を政府が放置し続けるのも、国民の命がその程度に軽いのなら、分かりやすく説明がつきますね。 医薬品の研究開発推進政策の失敗の責任を誰一人とらないことなんて、むしろ当然かもしれぬ。 ニポン人の命の値段、2銭(赤紙) の時代からあまり変わってない。(注 1) インフレに負けないという意味では鶏卵やモヤシよりも優秀だな (笑)。

(注 1) 「赤紙」 の意味が理解できない読者がいるご時世かもしれんから念のため説明しておこう。 赤紙とは兵隊さんの召集令状の葉書のこと。 葉書の郵便料金が当時2銭 (1銭5厘だった時代もある)。

HTA(医療技術の経済評価) をやっている皆さん。 1 QALY (1年間の命の価値) の価値はだいたい500万円が世界の相場だが、現在のニポン人の命の価値は 62円と想定するのが適切かもしれん (もちろん from the standpoint of the government の分析でね)。 この国ではどんなにくだらない政府プロジェクトでもなぜか正当化される理由が説明できるかもよ。 よろしくでーす。