小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

無料オンライン寺子屋、始めます

皆さん、お元気? いつものように息抜きに本ブログにやって来た方々には申し訳ないのですが、今日は告知。 というか受講者募集っす。

 

前から時々このブログでも書いてきたのですが、製薬企業の皆さん向けに無料出張講義をここ15年くらい、30社くらいやってきたのですが、今、休止中なのです。 どの会社も、こんな時期に、妙なウイルスを持ってそうなサルが自社ビルに勝手に来訪してきたら困るだろうし。 そこは理解できる (笑)。

 

で当面、代わりに、寺子屋ふうのオンライン講義をやってみようとか思ってます。 

  • 6月くらいから。 隔週土曜日 (つまり二週間に一回) の午前中(10:00-11:30くらい)に、Zoomで。(注:平日の夜の方が楽、という人が多ければ平日にするかも)
  • 講義は全13回予定。 多少増えたり減ったりするかも。 都合の悪い回はむろん欠席してもかまいません(家庭の事情もあるだろうし、大人なんだからご自由に)。
  • 想定する受講者は、製薬企業、CRO・SMO、お役所(厚労省・PMDA)、医療機関などで医薬品のお仕事に関わっている社会人。 年齢、経験は問いません (業界実務のノウハウなどとは次元の異なることを教えるので)。
  • 完全無料。 謝金や授業料は一切頂きません。
  • 受講者は10人くらいの規模を想定。 全員の顔と名前が完全に一致し、対話が十分にできる形で実施したいから。
  • まったく知らない世界の話を聞くのが楽しい・うれしい人を募集。 無知を指摘されると逆上するタイプのおっさん・おばさんはご遠慮ください。
  • エラソーなヤツ、威張るヤツ、口のきき方と礼儀を知らないヤツ、小野センセーのことが嫌いなヤツ、そんなヤツらは参加お断りだ、このやろー!
  • あと、お役所やビッグファーマの悪口批判を聴くとすぐ逆上してしまうバカユーモアとジョークが理解できない方も受講をご遠慮ください。
  • 所属する会社やお役所に受講の許可なんてものを取る必要のない形で実施します。 「勤務時間外に私が何を勉強しようと私の勝手でしょ?」 というタテマエ。
  • 以前に会社で一度出張講義シリーズを受講した方もOK。 会社でやった講義って、時間の制約もあり、一方通行で消化不良になった方々が多かったと思うので(すみません)、今回は一人一人と対話しながらじっくりやります。 気を遣う上司もいないから何を言っても安心だよ。

 

どんなことを教える講義かというと、こんな感じ。

 

医薬品開発・規制の概念の根っこを学ぶ

ー 医薬品のリベラルアーツ講義 ー

 

* 講義の概要

  • 医薬品関連の組織の中堅クラスが本来ならば知っているべき graduate school(professional school)レベルの概念スキルを紹介します。
  • やさしく教えますが、内容は実は易しくはありません。
  • あわせて勉強の仕方(世の中にはどういう学問・科学・専門があるか。どこで・どうすればそれを学べるか)を紹介します。
  • 「日々の業務にすぐに役に立つ」「PMDAの審査にすぐに役に立つ」的な know-how や how-to も講義の材料として含まれています。が、それらを学ぶことは主目的ではありません。

 

第1-3 倫理: よい・悪いを支える理論を学ぶ

  • 帰結主義の「道徳原理の樹」を基軸にして、よく知られた倫理規範の代表例を学ぶ。
  • 欧米流の決定・判断・評価(方法)の根底には必ず倫理規範があることを知る。
  • 政治哲学、生命倫理などの領域を上から眺めてみる(メタ倫理)。
  • 薬効評価の背景にある倫理・論理を明示的に意識できるようになる。
  • 「製薬企業がHPに掲げる 『高い倫理観』 ってなんだよ、それ。 意味不明じゃん」 と言える人になる。
  • 「・・・の視点」「・・の立場」を正しく使いこなせる人を目指す

 

第4-5回 効率と社会、そして企業の目的を語れるようになる(その1

  • ミクロ経済学の消費者・効用理論に考え方に触れる。
  • (第6回と併せて)医薬品という商品によるビジネスをすることの社会における意義を正しく説明できるようになる。
  • 医薬品のいわゆる経済評価の背景にある考え方(厚生経済学の基礎)を知る。

 

第6回 効率と社会、そして企業の目的を語れるようになる(その2

  • ミクロ経済学の生産者理論の基礎を学ぶ。効率的な生産量、商品の質の考え方。
  • (第3回と併せて)市場が達成すること・しないことを正しく理解する。

 

第7-8回 不確実性に関する諸概念:業界のいい加減なリスク論から卒業する

  • 不確実性をめぐる学問基盤と概念をできるだけ数多く紹介する。
  • 統計学の基本的な諸概念を確認する(頻度論、ベイズ)。
  • 新薬開発・承認審査における不確実性概念の現れ方を正しく理解する。医薬品開発とはそもそも何なのかを根本的に理解する。
  • 社会の厚生(幸せ)の関係で、企業がごまかしている統計学的な新薬開発の盲点を自覚する。
  • 行動経済学、リスク関連諸科学の入り口も紹介する。

 

第9-10回: 交渉とつきあい方の科学

  • ゲーム理論(協力型・非協力型)の基本と現実への応用の考え方を実例で学ぶ。
  • 医薬品規制の背景理論をゲーム理論等のモデルで理解する。新薬承認や時々起こる不祥事(薬機法・GMP違反など(笑))におけるお役所と企業の交渉をモデル化してみる。
  • ビジネスに役立つ交渉学の紹介も少々。

 

第11-13回: 論理と推論

  • 論理学の基本概念(論証の妥当性など)を学ぶ。「正しさ」のレベルを知る。
  • 科学哲学の基礎概念などを通じて新薬開発・承認審査・安全性評価の背景にある論理と倫理を正しく理解する ・・ というか、製薬業界や当局の論理と倫理が相当に怪しく、本当は 「何も考えていない」 に近いことを正しく知る (笑)。
  • モニタリングや監査の試みが必ず失敗する原理を正しく知る (笑)。
  • 薬効評価の論理、審査報告書やCTDにおける論理(特徴、限界)を正しく理解し、medical writerを含む皆さんがより良い文章を書く能力を身につけることを目指す。

 

 

「受けてみようかなぁ」 と思う方がいたら、5月28日くらいまでに、名前、所属(会社名とやってる業務くらいでOK)、ごく簡単な楽しい自己紹介を研究室 ( 東大・薬・医薬品評価科学教室: prstokyo あっと mol.f.u-tokyo.ac.jp )宛にメールして頂けませんでしょうか。 応募の秘密は厳守します。

寺子屋方式でやるのは初めてで、何人くらい希望者がいるのかがまったくわかりません。 応募状況を見た上で進め方を決めて (というか、そもそもやるかどうかを決めて) 個別にメールで連絡をさしあげたいと思います。 希望者ゼロなら、うちの研究室の社会人学生が強制的に犠牲になります。 たぶん(笑)。

質問がある方も遠慮なくメールしてくださいね。 うちの研究室の秘書さんも私も全然怖くないから安心してコンタクトしてください。 というか、私はそんなに怖くないのだが、秘書のおねいさんたちは実は結構 ... あ、いや、なんでもありません。

 

在宅勤務で会社にこき使われてくたびれ果てているそこのあなた。 会社に出社してたら、会社でいろんな体験(モチベーションアップの講習を含む)ができていたはずなのに、今はちょっとしんどい感じだよね。 お気の毒に。

気分転換の勉強って結構楽しいよ。 魂がリフレッシュするし。 もしかしたら人生が変わるかもしれない。 人生は変わらずとも、新しい概念を知ると世界の見え方が変わることは保証します。

興味のある人は遠慮なくメールしてください。 待ってますよ。

じゃあ、またね。